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Vol.09 福島県・小名浜

全国のマリーナでボートをレンタルして釣行脚。今回は福島県・根魚五目をご紹介。

この記事はヤマハマリンクラブ・シースタイルのレンタルボートでの釣行です。

今回のフィールドは福島県の小名浜沖。なんとスパンカーを備えたレンタル艇に、本物の漁師を迎え入れてばっちり釣査をしてくるぞ!ボート倶楽部2005年12月号 [ 文:齋藤海仁 / イラスト:名取幸美 ]

ホームページで大発見!

 2003年の12月号からスタートしたこの連載も、はや3年目。過去2年間、取材のたびに魚が釣れるかどうか気を揉んだけど、それなりのレポートをお届けできたのではないかとホッとしております。それもこれも強力なロコアングラーのおかげ。これまで登場してくれたみなさん、どうもありがとう!
ところで、この2年で格段に充実したといえば、ヤマハSRVレンタルボートクラブのHPだ。最近またリニューアルされて、特に「利用マリーナ情報」が便利になった。全国119カ所のリストはもちろん、それぞれのレンタル艇、施設、ローカルルール、クルージングマップなどもしっかり紹介されている。さすがに詳しい釣り情報はないけれど、全国のマリーナをサーフィンするだけでもけっこう楽しい。
試しに北から覗いてみると、北海道の小樽に始まって、宮城県の仙台湾でしょ。福島の猪苗代湖でしょ。おっと、こ、こりゃ大変なものを見つけちゃったぞ! 福島県小名浜の「いわきサンマリーナ」に、なんとスパンカーを装備したYF-21がある。しかも、インストラクターとして漁師さんを手配できるらしい。いよいよロコアングラーにホンモノの漁師が登場か!? こりゃ行くっきゃないでしょう。

魅惑の小名浜なまり亭

 今回は東京から車で移動した。福島といえば東北である。かなり遠いかと思ったら、都心から2時間ほどで到着。距離にして200キロ弱だ。常磐道は土日でもほぼ渋滞知らずだし、湘南方面で渋滞にハマるよりずっとラクかも。
いわきサンマリーナは小名浜港の南端に位置していた。といっても、マリーナは緑生い茂る小さな半島の陰になっており、ポケットビーチやサーフポイントもある。このへんだけまるで別世界のリゾートって感じだ。
駐車場で車から荷物を降ろしていると、クラブハウスの向こうから"いかにも"というお方が現れた。まっ黒に焼けた肌。襟なしの白い長袖シャツ。ハーフミラーのサングラスに、なぜかタオルを巻きつけた麦藁帽。なんだかヤバそうな気配......そのコワモテぶりに"気難しい漁師だったらどうしよう"と隊長は大いにビビってしまった。しかし、ここでひるんでも仕方がない。大先輩にはこちらから挨拶するのが礼儀ってもの。「よろしくお願いします」と大きな声で言ったら、
「いやあ、よく来られました。玉橋といいます。こちらこそ、よろしくお願いします」
実に柔らかい物腰。なんだ、優しそうな人でよかったよ。
聞けば、玉橋さんは遠方の漁師も教えを乞いに来るほどの潜行板の名人だという。カツオやメジが回れば200キロ、300キロは当たり前。ちょっと聞いただけでも、その緻密なシステムは相当興味深かった。当然、ボトムの釣りもばっちり。この前は水深150メートルでドンコを70キロ釣ったとか、尺メバルが何時間も入れ食ったとか、さすが本職の漁師さん、豪快な話ばかり。
でも、レンタルボートじゃさすがにそんな釣りは無理だ。40号くらいまでのオモリで、もっと手軽な釣りができないか訊ねると、
「今日はナグロさあって、底荒れしてるから浅いとこはどうかなあ。いいとこさ行ければ、ヒラメ、アイナメ、ソイなんかも出るんだけども、今日はちょっと入れねかもわからんね」
ナグロとはウネリのこと。この日はあいにく台風によるウネリが入っていた。
「40くらいのナマリでどうしてもっつーなら、メバルのつくイソがあるんで、そこへイワシかドジョウ持ってけば釣れるんじゃないですか」
ナマリはオモリ、イソは根だ。もしウネリでダメなら、港内でもメバルやアイナメが釣れるという。それにしても、玉橋さんの語り口の温かいこと。人当たりもいいし、玉橋さんと一緒に釣るだけで、今日1日幸せに過ごせそうだよ。

充実装備で超快適、驚きのレンタル艇

 スパンカーをはじめ、レンタル艇のYF-21にはロッドホルダー、ドリンクホルダーも付いていた。おまけに、エンジンは4ストローク90馬力。飲み物用、魚用のクーラーも全部無料。こんなに充実したレンタル艇は初めてだ。
予定どおりマリーナを朝9時に出航。まずは大型メバルねらいでマリーナの目の前にあるツリクライ磯に向かう。水深は20メートル前後。仕掛けはドウヅキ、エサは冷凍イワシである。
ツリクライ磯には黄色い灯標があり、周辺には岩礁が広がっていた。なかでも急なカケアガリがねらいめで、魚探をかけながら灯標の周りをぐるぐると回ってみたが、あまりいい反応がない。サオを出してほどなく玉橋さんが「どうもよくないねえ」とぽつり。やはりウネリで底荒れしているせいか望み薄のようだ。潮も濁り気味である。
次に目指したのは、一番沖にある防波堤の内側。堤防沿いに捨石が入っていて、その周りでメバルやアイナメなどをねらうという。
魚探を見ると、防波堤から数艇身離れたところに捨石らしきものがある。水深は20メートル前後。ここで玉橋さんはおもむろに自作のサビキ仕掛けを取り出した。グリーンのフラッシャーが巻いてあり、メバルには効果抜群という。
いやあ、本物の漁師ってのはやっぱり違うよ。この仕掛けの釣れること。ハリス2号とメバルにしては太めなのに、仕掛けを入れた途端にガガガっと来る。潮に乗せて堤防と平行にボートを流すだけでヒットの連続。これならポイント選びも楽チンだ。同じメバル釣りでも瀬戸内海とは大違い。まさに"ところ変われば釣り変わる"。隊長も仕掛けを借りて、調子よくメバルを釣らせてもらって大満足。
一方、玉橋さんは「尺メバルが鈴なりにならんとなァ......」とか言って浮かない様子。そりゃそうだろう。普段の釣りが釣りだもの。

ある程度メバルを釣ったところで、アイナメも釣れるという言葉を思い出し、隊長は念のため持ってきたブラクリ仕掛けにチェンジ。イワイソメを付けて底を取っていると、ミチイトにピリっと来た。一瞬の間をおいて大きく合わせる。
!!
予想外に強烈な手応えだ。心拍数が一気に上昇する。ゴンゴン暴れてるからきっとアイナメに違いない。慎重なやりとりの末に上がってきたのは、やはりビールビン級のアイナメ。やった~。こんなアイナメがいとも簡単に釣れるなんて、さすが、東北の海。

意外なゲストにうれしさ倍増

 このアイナメを見て、玉橋さんは堤防の外側に回遊しているイワシを釣っての泳がせ釣りをすすめてくれた。生きたイワシなら、より大型のメバルやアイナメが釣れるという。さっそく堤防の外側に回るとナブラがあり、サビキ仕掛けでたちまちトウゴロウイワシのキープが完了。
再び堤防の内側に戻って、片テンビン仕掛けでトウゴロウ君を投入。すると、マ、マジ!? またいきなりアタリだよ。泳がせ釣りなもんで、今度はサオ先を引き込む本アタリを待ち、がっちりフッキングに成功。
おや? さっきのアイナメとは違うヒキだゾ。いったいなんだろうと思って水面を覗き込むと、見たこともない魚が上がってくる。ほどなく水面を割ったのはベージュと紫紺の模様がとってもお洒落なタケノコメバル。別名、ベッコウゾイ。
さっきのアイナメにも驚いたけど、このタケノコメバルには2度びっくりだ。隊長にとっては初めての魚でうれしさ倍増。玉橋さんも自分のことのように喜んでくれている。
ところが、これで終わらないのが小名浜だった。この日はトウゴロウ君の泳がせ作戦が大当たり。なんとすぐにまたタケノコメバルを追加して、試しに堤防の外側で泳がせ釣りをしてみたらイナダがヒット。高くなったウネリを避けてまた防波堤の内側で釣れば、玉橋さんのサビキ仕掛けに良型のアイナメが掛かり、それを見た隊長もブラクリでアイナメを追加。
ダメ押しは帰り際に釣ったメバル。マリーナに帰る途中、ツリクライ磯でトウゴロウ君を泳がせてみたら、小名浜名物の尺メバルがついにヒットしたのである。
釣り場は近いし、魚は大きい。小名浜って、レンタルボートにぴったりの釣り場だよなあ。それに、玉橋さんと一緒に釣りをするだけでもここに来る価値は十分ある。今回はほとんど紹介できなくて申し訳ないけれど、操船から釣り方まで、貴重な話をたくさん教わりました。こんな素敵な漁師さんと釣りができるマリーナなんてほかにないだろう。小名浜でいい釣りをしたい人だけでなく、スパンカーの操船や潜行板の釣りをマスターしたい人にもぜひおすすめです。いわきサンマリーナ、隊長も玉橋さんに会いに通っちゃおうかな。

隊長:齋藤海仁(かいじん)

【隊長:齋藤海仁(かいじん)】

今回のレンタル艇には、なんと電動マリントイレまで付いていた。トイレで用を足せて、とってもシアワセ~な隊長。女の子は助かるでしょうね。次回は誘ってみようかな。

ロコ・アングラー

【ロコ・アングラー】

玉橋靖夫(たまはし・やすお)さん
約5トンの漁船を所有する小名浜出身の漁師さん。それにしては物腰が柔らかく、PCで漁獲を分析してたりして、すごいなあと思ったら、専業になったのは某大企業の退職後と聞いて納得。安心して教われます。

釣果カレンダー

釣魚カレンダー

 黒潮と親潮がぶつかる好漁場として知られる小名浜沖だが、港内にも魚は多く、とことん釣りが楽しめる。アイナメやメバルなどの根魚は、港内の根周りや堤防周辺の捨て石ねらいで大型が期待できる。ヒラメのポイントは水深40メートル以浅の根際。周年釣れるが、イワシが根に寄る5~7月が特にねらいめだ。青もののポイントは港内の潮通しがよい場所。マダコも港内の根際でねらう。

小名浜港周辺のフィールドマップ

小名浜港周辺のフィールドマップ

 南東に口を開けているため、南寄りの風が吹くと荒れやすく、北寄りの風には強い。港内は特に冬に強い釣り場といえる。また、6~8月は霧が出やすいので要注意。なお、湾外のエリアは北が塩屋崎、南は五浦、東は東経141度までとかなり広め。他にも航行禁止区域や出港停止基準等、安全のためにマリーナが定めた「利用ローカル・ルール」を守ること。

いわきサンマリーナ

照島に臨む緑豊かな立地はリゾート感を満喫できる。駐車場、シャワーとロッカーも無料。レンタルタックルや氷の販売、釣りインストラクターをはじめとする各種プレイメニューなどのサービスはピカイチだ。レンタル艇は今回利用したYF-21と、ウェイクボード仕様のAS-21の2艇。どちらも4ストローク90馬力を搭載し、電動マリントイレも完備している。
※玉橋さん同乗の「釣りインストラクター」コースは半日コースで¥5,250/名、1日コースで¥10,500/名。土日限定で1週間以上前に要予約

■交通アクセス
車利用=常磐自動車道「いわき勿来インター」または「いわき湯本インター」から約20分。
電車利用=常磐線「泉」駅からタクシーで約10分。

■問い合わせ先
〒971-8183 福島県いわき市泉町下川字大畑262
TEL:0246-56-3000

今回使用したタックル

 いろいろな魚をいろいろな釣り方でねらえる小名浜。こんな釣法を絞り込みにくいエリアでのボートフィッシングには、オールラウンドなライトタックルがばっちりハマる。ティップからバットまで素直なカーブを描き、スムースにパワーを伝える胴調子気味のロッドなら、オモリ負荷の範囲が広く、さまざまな釣法が快適に楽しめるだろう。今回、3パターンの釣法を難なくこなせたのもこの手のロッドのおかげだった。リールは小型の両軸タイプでOK。

【ROD】
ダイワ・アナリスターライトゲーム185M(右)は浅場から中深場の釣りまで幅広いターゲットをライトにねらえる、ボート釣りに最適な1本。船内スペースに応じてバッドの長さが変えられるのも便利。
●全長:1.85m
●継ぎ数:2本
●自重:140g
●オモリ負荷:20~60号

ダイワ・リーディング-XA64III(左)は肉厚細身のブランクでしなやかさと強さと感度を持ち合わせた、エキスパートボートアングラーにも大人気のモデル。とりあえず1本あれば困らない名竿。
●全長:1.9m
●継ぎ数:1本
●自重:145g
●オモリ負荷:20~60号
●適合ハリス:1~8号

【REEL】
ダイワ・ラウル150R早技(右)は、仕掛け落下の早いスーパースプールフリー、押している間だけイトが出る棚クラッチなど、ツボを押さえた船用小型両軸受けリール。
●イト巻き量:PE2号200m(エコノマイザー使用時100m)
●自重:280g
●巻き取り長さ61cm/回転

ダイワ・ミリオネアCV-Z 250SF(左)は、超精密アルミマシンカットのモノコックボディを持つ、基本性能を最大限まで高めた小型両軸受けリールの決定版。
●イト巻き量:PE3号-240m
●自重:350g
●巻き取り長さ60cm/回転

リーディング-XA64IIIの、しなやかながら強靱なブランクの曲がり。同シリーズのコンセプトはボート釣りをよりライトに楽しませてくれる。なにやら泳がせ仕掛けに青ものが掛かったようだが・・・。

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