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Vol.21 愛知県・三河湾

全国のマリーナでボートをレンタルして釣行脚。今回は愛知県・三河湾のギマ・シロギスほかをご紹介。

この記事はヤマハマリンクラブ・シースタイルのレンタルボートでの釣行です。

今回のフィールドは三河湾。水深は浅いけど、江戸前に負けず劣らずディープなお魚ワールドをしっかり釣査してきました。ボート倶楽部2008年9月号 [ 文:齋藤海仁 / イラスト:名取幸美 ]

三河湾でスーパーレアなお魚を発見!!

 いちど三河湾を釣査したいと思っていたので、唯一YF-21を導入しているINCマリンに電話をかけたのは5月の終わりごろだった。
「INCマリンです」
「すみません、シースタイルで釣りをしたいんですけど、どんな魚が釣れますか?」
「もうツノギマが釣れてますね」
「ツノギマ?......あの、ツノギマってどんな魚なんでしょう」
「ギマにツノが生えている魚です。地元じゃとても人気があるんですよ」
キター!!ギマにツノだぁ?普通のギマでさえレアなのに、さらにツノが生えてるっていったいどんなヤツ!?三河湾で釣りをしたいと思ったのは、コハダやシャコといった江戸前寿司のネタの供給地として有名だし、「トラワガ(タケノコメバル)」「シンバキ(シタビラメ)」「ハビロ(アオリイカ)」「ノソ(アイナメ)」といった魚の地方名もたくさんあって、ディープな釣り文化があるに違いないとにらんだからなんだけど、いきなりのクロスカウンターに隊長はすっかりノックアウトされちゃった。
ギマのシーズンは初夏から夏までで、冷凍エビの切り身をエサに、2~3本バリのドウヅキ仕掛けで釣るとのこと。ギマすら釣ったことがない隊長はもうコーフンを抑えきれない。
「どどど、どのくらい釣れるんですか?」
「群れで行動してますから、けっこう釣れますよ。20とか30とか」
「行きます。ゼッタイ行きます」
このときすでに隊長の心は三河湾に浮かんでいたのだった。

専用仕掛けも市販される驚きの魚の正体は......

 ひと足先に飛んでいった心の分身を追いかけて、やってきました三河湾のINCマリン。愛知県といっても浜名湖のちょっと先なので、東京から車で行ってもさほど大変じゃない。また、名古屋方面からなら、知多道路の半田中央ICを下りて20分ほどとのこと。
INCマリンに到着すると、ハーバーマスターの杉浦さんと、スタッフでロコアングラー役の安藤さんがユニフォームのツナギ姿でご登場。まずはエサと仕掛けを売っている「渚屋釣具店」に案内してくれた。
渚屋釣具店ではツノギマ専用仕掛け(!)と冷凍のウタセエビを購入しつつ、ツノギマの正体を聞いてみた。図鑑を取り出した店長が示した写真は......普通のギマだ。いわく、三河湾ではカワハギをホンギマと呼び、ギマをツノギマと呼ぶとのこと。そして、隊長は店長の表情にわずかに陰がさしたのを見逃さなかった。
「この前までジャジャ釣れやったんやけどね。今はギマの群れが散っちゃって。でも、今年は型がいいから、釣れれば大きいよ。せっかく遠くから来たんやし、(※隊長注:1尾でも)釣れるといいねェ」
う~ん。ツノギマはギマだったのか。隊長はギマも釣ったことがないから、それはそれで十分うれしいんだけど、"ジャジャ釣れ"から一気に"(1尾でも)釣れるといいねェ"の大暴落はいただけない。にわかに雲行きが怪しくなってきたゾ。そこで急きょシロギス用のジャリメとアジ用のアミエビも追加して店を出た隊長であった。弱気......。

さすが地元で人気のターゲット

 三河湾の広さは約600平方キロメートル。だいたい東京湾、大阪湾の半分くらいだ。平均水深は9・2メートルで、これも東京湾の半分ほど。湾口が狭くなっているうえに流入河川が多く、環境は東京湾によく似ている。江戸前と同じ魚が捕れるのもごもっとも。
ギマのポイントは天然アユで名高い矢作川の河口沖だった。矢作川は都市近郊の河川にもかかわらず、毎年、何百万尾というアユが遡上する。その稚魚はもちろん三河湾内で育つわけで、三河湾の実力はこんなところからもうかがえる。
最初に入ったのは赤い航路ブイの周辺だ。ここは三河湾を代表するギマ場だそうで、水深十数~5メートルほどの急なカケアガリがあり、その潮がぶつかる側にアンカリングしてねらうのが定石らしい。たしかに、平日だというのにすでに数艇のボートがいた。やっぱり人気があるんだなあ。
はやる心を抑えつつ、冷凍エビの身をサイコロ大に切ってハゲバリに刺し、満を持して釣りを開始する。

引く引く、とは聞いていたけれど

 海は絶好のナギ。近くのボートの会話もよく聞こえる。ときどき、チャラチャラと響く鈴の音は置きザオ用。もちろんギマねらいだ。
おっ、1人がなにか掛けたみたいだぞ。やけに軽々と巻いてると思ったら仕掛けの先には木っ葉ガレイがヒラヒラと......。
「今日最大の大物だよ。ガハハハ」
げっ、そうなの?こっちも細かく場所を変えながら、1時間ほどサオを出していたものの、ギマの気配はまったくない。ギマの釣り方はカワハギのタルマセ釣りとほぼ同じで、オモリを底から離さずに仕掛けをゆっくりタルマセたり張ったりする。地元ではボートの揺れに任せた置きザオも多く、あまりにヒマだから隊長もギマを置きザオにしてシロギスをねらってみたけれど、こっちもアタリは皆無だった。
安藤さんによれば、ギマの釣果は群れにぶつかるかどうか次第とのこと。それにしてもヤバくない?という隊長の心の冷や汗を察知したのか、安藤さんはもっと河口よりの水深5メートルもないミオ筋の肩に中移動した。
同じくギマとシロギスの二段構えで臨むと、すぐに片テン仕掛けにデキハゼとシロギスがヒット。少しは期待できそうだ、と思った矢先、置きザオにエサをかじるような細かいアタリが来た。なにぶん初めてで勝手がわからず、すぐに合わせてみたけれど魚は掛からない。エサがきれいに取られている。
「ギマっぽいですね。掛かるときはしっかりアタリが出ますから、ちょっと待ったほうがいいでしょう」
という安藤さんのアドバイスにしたがって、今度は持ちザオでトライする。群れが回ってきているとすれば今がチャンスのはず。すると、緊急地震速報発令!震度1のP波のあとに、はっきりと段のついたS波がやってきた。感触はマゴチの本アタリに近い。3、4回引き込んだあと、サオを立てると、満月のサオをさらにノす予想以上のヒキだ。引く引く、とは聞いていたけれど、これがうわさのギマのファーストランか。ギマは水面近くまでずっと元気に引き続け、サバみたいにぐるぐる回りながら上がってきた。
お初に対面したギマはウマヅラハギの顔にイナダの尻ビレをくっつけたような姿をしていた。この尻ビレじゃたしかに引くわけだ。おまけに、腹びれの位置にあるツノを広げると、置き物みたいに立ってなんとも愛嬌がある。
浜名湖や東京湾で何度も話を聞いたうわさのギマに出合えてしばし感動──。
その後、安藤さんと隊長は順調にギマを追加。やがてお昼どきになったので、クルージングお立ち寄りスポットの佐久島でランチを取ることにした。

ちゃんとビギナーも楽しめます

 「旅館鈴木屋」で驚くほどおいしいお昼をいただいたあとの後半戦は、目先を変えてお手軽かつ人気のシロギスをねらってみた。隊長には、あわよくばピンギスを泳がせてマゴチでも釣れないかなという魂胆もあったけど。
シロギスのポイントは日間賀島北側の水深10メートル前後である。タコツボの目印であるペットボトルのブイをよけて、風任せの流し釣りでスタートフィッシング。
で、1投目からまずまずのシロギスがヒット。ムフフ、シロギスは楽勝ムード。これでマゴチでも釣れれば大成功、と内心でほくそ笑んだそのとき。
「シロギスってこんなに重かったっけ?」
安藤さんが難儀そうにリールを巻いている。小さなマダコでも引っかけたのかと思いきや、なんと、正体は良型のマゴチだった。これには安藤さんも隊長もびっくり&大喜び。いや~、見事に先を越されちゃったな。でも、ジャリメで釣れたマゴチ、初めて見ました。
ずっと入れ食いのシロギスは、1時間ほどで終了。マゴチの特効エサであるイトヒキハゼもけっこう釣れて、エサにしてみたけれど、結局、マゴチは釣れなかった。みなさん、三河湾のマゴチはジャリメのほうが好きみたいですよ(ウソ)。
出航前はどうなることかと思った三河湾の釣査だったけど、ギマはもちろん、シロギスのおまけにマゴチまで釣れて、終わってみれば大成功。しかも、ひなびた雰囲気でとても味わい深い佐久島は、クルージングの立ち寄り場所としてもおすすめです。釣り人の舌を満たすおいしいランチも食べられるしね。
ビギナーからマニアまで、自分流の遊び方でしっかり、たっぷり楽しめる。またまた大満足の三河湾の巻でした。

隊長:齋藤海仁(かいじん)

【隊長:齋藤海仁(かいじん)】

前泊した宿で三河湾名物の大アサリに嬉々とする隊長。アサリといっても、本当は「ウチムラサキ」という貝。焼きたてはなかなかの美味なのじゃ。

ロコ・アングラー

【ロコ・アングラー】

安藤道徳(あんどう・みちのり)さん
自ら21フィートのボートを所有する三河湾のエキスパートアングラー。ルアーが得意で、最近は湾外でのマダイのラバージギングに凝っているそうだけれど、もちろんエサ釣りのウデもばっちりでした。

釣果カレンダー

釣魚カレンダー

平均水深が9.2メートルと全体に浅く、タチウオ以外は水深20メートルくらいまでの浅場の釣りになる。おかげで、数が見込めるターゲットであれば、ビギナーでも十分楽しめるだろう。佐久島と男ヶ瀬の周りは三河湾を代表する1級ポイントで、さまざまな魚がねらえる。シーバスは秋から冬に浅場に入るノリ用の竹杭をルアーでねらう。ハマチはトリを探すか、ブイ周りをやはりルアーで。

三河湾のフィールドマップ

三河湾のフィールドマップ

西風が吹くと荒れやすい。特に雨の翌日の晴天は強風が吹くので要注意だ。三河湾には漁業者が多く、潜り漁の漁船、10月から4月まで設置されるノリ棚、刺し網などを示すボンテンやブイには近づかないこと。また、2隻で網を曳く漁船間の通過は厳禁だ。後ろを通るときも網の位置を示すオレンジ色のブイから50メートルは離れよう。篠島は漁業権が厳しいので、極力近寄らないのが賢明。

INCマリン

漁師との付き合いが濃いおかげで、釣りの情報はとても充実している。釣りのポイントが近いのもありがたい。スタッフの応対もフレンドリーかつプロフェッショナルだ。シースタイルの利用者は、駐車場、トイレ、シャワーを無料で利用できる。

■交通アクセス
車利用=名古屋方面からは、知多道路の半田中央ICを降りて約20分。東京方面からは、東名高速道路音羽蒲郡ICから音羽蒲郡道路を経て約30分

■問い合わせ先
住所:愛知県幡豆郡一色町坂田新田沖向104
TEL:0563-72-3080
営業時間:午前8時~午後5時
定休日:1月1日

今回使用したタックル

ギマをはじめとするドウヅキ仕掛けと、片テンビンを使った浅場の五目釣りの両方をにらんで小型両軸受けリールのゲームロッドとシロギスタックルの2セットを用意した。この2種類があれば、水深20メートルまでの釣りはほぼカバーできるだろう。ギマを専門にねらうなら、2号3メートル前後の磯ザオも面白い。これを何本か置きザオにしてねらうのが地元では一般的。

【ROD】ダイワ・Aトリガーライトゲーム180S(右)は、操作性の高い軽量高感度モデルながら、大物が掛かってもサオ全体で吸収するパワーを持つ、ボート釣りに広く使える6対4調子のライトゲーム用ロッド。ダイワ・極鋭キス180は、スーパーメタルトップ穂先を採用した超高感度のシロギスザオ。 「Aトリガーライトゲーム180S」 ●全長:1.80m ●継ぎ数:2本 ●自重:105g ●オモリ負荷:10~40号
「極鋭キス180」 ●全長:1.80m ●継ぎ数:2本 ●自重:98g ●オモリ負荷:5~30号

【REEL】ダイワ・スポルザ150R(右)は、ワンプッシュONクラッチを搭載した、1回転で71cm巻き上げるハイスピードモデル。ダイワ・カルディアKIX2000(左)は、ハイパートーナメントドラグ、アルミ鍛造スプールなどの高い基本性能を備えた、海水での使用にも対応する高性能スピニングリール。

「スポルザ150R」●ギア比:6.3 ●イト巻き量:2号-200m ●自重:275g
「カルディアKIX2000」 ●ギア比:4.7 ●イト巻き量:ナイロン2号-150m ●自重:230g

Aトリガーライトゲームとスポルザ(写真はカスタムハンドル仕様)の強力タッグがまたまた大活躍。繊細さとパワーを併せ持つ6:4調子のAトリガーライトゲームは使い回しが効くので、はじめてのフィールドやターゲットでは実に頼もしい。

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