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ヤマハ発動機株式会社 Revs Your Heart

ヤマハマリンクラブ・シースタイル

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Vol.51 愛知県・三河湾

全国のマリーナでボートをレンタルして釣行脚。今回は愛知県・三河湾のマハゼ、シロギスほかをご紹介。

この記事はヤマハマリンクラブ・シースタイルのレンタルボートでの釣行です。

今回は、三河湾の魅力を味わうべく、「ラグナマリーナ」を釣査!
ボート倶楽部2016年3月号 [ 文:小野信昭 / イラスト:名取幸美 ]

三河湾湾奥の風に強いマリーナ

寒い冬でも臆することなく海へ出かけたいと思ってしまう、釣査隊隊長こと釣りバカな私だが、気になるのは寒さよりも、風や波のほうである。
陸っぱりでの釣りなら地面に踏ん張れるが、ボートフィッシングの場合は踏ん張る相手がボートのデッキとなるので、ボートそのものが風や波の影響で大きく揺れてしまって釣りが成立しないばかりか、安全面からも好ましくない状況にもなり得るためだ。そんなわけで、冬季の釣査先の決定には頭を悩ませてしまう。
とはいえ、ヤマハマリンクラブ・シースタイルには、全国に約140カ所のホームマリーナがあるので、冬でも波や風に強い場所があるはずと探して選んだのがラグナマリーナだ。
愛知県の渥美半島と知多半島に囲まれた三河湾の湾奥に位置するラグナマリーナなら、多少の風や波なら問題なくボートフィッシングが楽しめるはず、という予測から、今回の取材先に決定した。
釣査先をそんな理由で決めたためか?取材当日は、まるで風波に対する強さを試すかのような強い風が、早朝から吹いていた。
朝9時にマリーナへ向かったが、思いのほか強い西風が吹いていて、いくら湾奥のマリーナといえども、もしかしたら今日は出航できないかも......という不安が頭をよぎったが、かすかな期待を胸にマリーナの門をたたいた。
「待っていました」とばかりに笑顔で出迎えてくれたのは、マリーナスタッフでシースタイル担当の岩永和義さん。そしてサービス部門の杉浦匡賢さんのお二人。あいさつもそこそこに、「出航できますか?」と、単刀直入に一番気になっていたことを聞いてみた。
「好ポイントが多い湾口まで行くのは厳しいのですが、近場であれば出航可能です」(岩永さん)
「よかった〜」と、ホッと胸をなで下ろすわれわれ取材陣は、湾奥のマリーナの強みを目の当たりにした。とはいえ、波が静かなところは湾奥でも風裏になる場所だけであり、油断は禁物だ。
クラブ艇の航行エリアや、この日の風向きに対して強いエリアについて、エリアマップを見ながら作戦会議を開いた。
今回、ロコアングラーとしてボートに同乗し、取材に協力してくれた杉浦さんは、「出航できても、釣果のほうが見込めるかどうかが心配です」と、語っていたが、私は出航さえできれば釣果はなんとかなると甘く考えていた。

【隊長:小野信昭(おの・のぶあき)】

1963年生まれ、神奈川県在住。DAIWAフィールドテスター、FURUNOフィールドテスター、ヤマハマリン塾「ゼロから始めるボートフィッシング講座」の企画、運営に携わる。著書に『必釣の極意』(舵社)、共著に『魚探大研究』(同)など。ダイビングの経験も豊富。

【今回のロコ・アングラー】

ロコアングラーとして三河湾を案内してくれたのは、同マリーナのサービススタッフで地元・三河生まれの杉浦匡賢さん

湾奥の風裏でカカリ釣り マハゼに出合う

10時すぎに出航し、最初は三河大島の近くの風裏になる場所へ向かった。釣りポイントが風裏になっているとはいえ、そこへ向かうまでは風波の影響を受けることになるが、今回利用したヤマハFR-23は広いキャビンがあるため、波しぶきを直接浴びることなく移動でき、快適そのもの。あっという間に目的地に到着。シロギスやマハゼをねらうべく、スピニングタックルに片テンビンと万能仕掛けをセットし、アオイソメを付けて投入した。

風裏なので波は立っていないが、ボートが思いのほか速く流されてしまう。海中の仕掛けの移動速度に魚が追い付けないのか?それとも、折からの寒波で水温が下がった影響なのか?原因は不明だが、30分たっても一向にアタリが訪れない。
そこで、さらに西へ移動し、スパ西浦モーターパークの正面沖合で再スタート。残念ながら、この場所でもアタリがなく、依然として厳しい状況が続いた。
「これ以上風が強くなったら引き返しましょう」(杉浦さん)
「わかりました。今日は釣況も厳しいですしね」(私)
「ダメもとで、対岸側にある姫島方面へ移動してみましょうか」(杉浦さん)
風裏となる姫島の南東側は波の静かな入江のような場所であり、釣りに専念するためにアンカーを下ろしてボートを固定して挑むことにした。それでも、やはり水温低下が原因なのか、一向にアタリが届かない。

実釣スタートからすでに3時間以上経過しているのにアタリが一度もない。今日はダメかも......と、感じ始めていたそのとき、四方八方へ仕掛けを投げ入れ、広範囲を探っていた私のサオに待望のアタリが届いた。ヒットした魚が小物だということはすぐにわかったが、初めて訪れたこのチャンスをものにしようと慎重にやり取りしたため、巻き上げは妙に緊張した。
釣れ上がったのはマハゼで、体長12センチくらいのものだった。たかがハゼ、いや、この食い渋りの状況なので、されどハゼだ。
このいかにも湾奥らしい魚のお出ましにうれしくなり、ハゼの数釣りを意識して付けエサの長さを短くする作戦を実行し、アタリがあった方向へ仕掛けを再投入する。それがよかったのか、2尾、3尾と追釣できた。なかには20センチ級の良型も交じった。
しかしながら、4尾目がなかなか釣れず、苦戦していたらタイムリミットが近づいてきたので、少し早めに納竿。マリーナへ戻ることにした。
マハゼ3尾という貧果は残念だったが、当初は出航不可能かもと思っていただけに、海に浮かんで釣りができただけでもよしとしよう。
「明日こそ頑張って釣果を出しましょう」と、杉浦さんと誓い合ってお別れした。

風にもめげず湾口へ 日間賀島周辺で実釣

翌朝、マリーナへ向かってみると、前日よりは風が弱まったが、それでもまだやや強い西風が吹いていた。
「今日はどうでしょうか。湾口方面まで行けますかね?」(私)
「なんとか行けると思います」(杉浦さん)
その返答に対し、心の中でガッツポーズした。というのも、湾口方面には日間賀島や佐久島などがあり、海底地形が変化に富んでいて、水深は30メートル以上の場所もあるので、バリエーション豊かな釣りが可能になるためだ。

ワクワク感を胸に、さっそく湾口方面へ向けてクラブ艇を走らせる。前日に比べれば風が弱まったものの、それでもまだ強めの西風が吹き続けており、湾口方面へ向かうにはちょうど向かい風なので、キャビン付きのFR-23で本当によかった。
ボートがたたかないよう15ノット以下で航行したので、湾口付近にたどり着くまでに1時間弱かかってしまった。まずは、日間賀島の東南に位置する風裏で実釣スタート。
魚探を見る限り海底は砂地だが、ところどころに根が点在し、いかにも釣れそうなポイントだ。そして幸先よくシロギスが釣れた。サイズは18センチ程度でまずまずの滑り出しだが、ここでも風によってボートが流されるのが速くて苦戦した。
対処法として、ボートが流されるほうへあらかじめ仕掛けを投入し、常にイトフケを取りながらアタリを待つ作戦をとった。これでシロギスを追釣できたが、シロギスが釣れるのはピンポイントで、そこを外れてしまうとまったくアタリがなくなってしまう。

杉浦さんには小型のマダイがヒットした。続けて私にもヒットしたが、いずれも愛知県で再放流を定めているサイズ(13センチ以下)だったので即リリース。小型のマダイが多いということは、近くに産卵に適した場所があるということであり、当然のことながら、大ダイもいるはずなのでワクワクする。しかし、今回はもともと大ダイをねらうつもりがなかったので、そのようなタックル&仕掛けの準備はしていない。もしヒットしたらどうしよう? まぁ、そのときはそのときだ......と思ったが、大ダイはヒットすることなく、心配は杞憂に終わった。

ビギナーにもおすすめ マルチに楽しめる

釣りに夢中になりすぎ、やや遅い時間となったが、日間賀島に上陸して昼食をとることにした。事前に予約した「乙姫」の桟橋に着岸すると、そこは陸続きの観光地とは何かが異なる、離島ならではの雰囲気が漂っていた。その違いがなんなのか?うまく表現できないが、のんびり、ゆったりした時間が流れているように感じた。
乙姫で海鮮料理を食べ、腹いっぱいになったところで、実釣最終ラウンドに突入。今度は魚探で岩礁地帯を探し、根魚をねらった。根掛かりに苦しめられつつもメバルとカサゴをゲットでき、最後は再び砂地へ移動。
時合なのか、活性が上がったシロギスを立て続けに数尾追釣したところで気分よくサオをたたんだ。

今回の取材では風に悩まされ、釣果的にはイマイチな結果となったが、この気象条件下で取材が実現できたのは、マリーナが三河湾の湾奥に存在するからこそ。本当に荒天に強いマリーナだということを実感できた。
フィッシングに限らずウェイクボードやクルージングを楽しむ上でも、特にビギナーにとっては風や波に強いマリーナは魅力的であり、限られた休日を無駄なく有効に過ごす上で、大きなアドバンテージになると感じた。

釣果カレンダー

航行区域ギリギリとなる日間賀島周辺では四季を通じてさまざまな魚がねらえるが、潮が動きにくい湾奥エリアではマハゼやシロギス、カレイなどに魚種が限定される。また、湾内は水深が浅いので、水温が気温や降雨の影響を受けやすく、日によって釣果にばらつきが出やすい。多くのボートアングラーは日間賀島周辺まで足を延ばし、釣期に合った魚をねらっている。マダイやクロダイ、スズキが人気ターゲット。

ラグナマリーナ周辺のフィールドマップ

渥美半島と知多半島に挟まれた三河湾がクラブ艇の航行エリアとなる。湾内は水深10メートル以浅の場所が多く、フィッシングを楽しむには航行区域ギリギリの日間賀島周辺まで足を延ばしたほうがいい。湾奥はフィッシングを楽しむというよりも、クルージングやウェイクボードを楽しむのに適している。なお、日間賀島や佐久島周辺には浅瀬もあるので、事前にマリーナスタッフから、航行区域とともに海域の注意点のレクチャーをしっかり受けること。

ラグナマリーナ

シースタイルのクラブ艇は3艇。マリーナの周辺には波静かな湾奥の海域が広がり、クルージングやウェイクボードの利用者も多い。湾口付近には釣りの好ポイントが点在し、フィッシングにも最適。三河湾の魅力をトータルで味わえるホームマリーナだ。

今回使用したタックル

浅場の釣りがメインのため、シロギスねらいを軸にしたタックル&仕掛け、エサを用意した。サオは長さ2メートル前後でオモリ負荷が小さく、わずかなアタリもキャッチできる穂先の感度が優れたもので、スピニングリールにはPE0.8号を巻いた。片テンビンに、水深に応じたオモリと市販のシロギス用仕掛けをセットし、エサはアオイソメとジャリメ。岩礁周りでは同一タックルにドウヅキ仕掛けも使用した。

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