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ヤマハ発動機株式会社 Revs Your Heart

ヤマハマリンクラブ・シースタイル

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Vol.03 伊勢志摩・英虞湾

全国のマリーナでボートをレンタルして釣行脚。今回は伊勢志摩・英虞湾の五目釣りをご紹介。

この記事はヤマハマリンクラブ・シースタイルのレンタルボートでの釣行です。

今回はこれまでとちょっと趣向を変えて、パックロッド1本での五目釣りにチャレンジ。場所は真珠の養殖で有名な伊勢志摩の英虞湾だ。ボート倶楽部2004年6月号 [ 文:齋藤海仁 / イラスト:名取幸美 ]

たまにはリゾートフィッシング

  この連載も3回目を迎えるにあたって、隊長は反省いたしました。 
ちょっと釣りがマニアックすぎるんじゃないかって――。
根が釣りキチなもんだから、ついついご当地の珍しい釣り方とか、凝った釣法とかに目が向いてしまう。けれど、レンタルボートフィッシングの魅力ってそれだけじゃないはず。全国に100カ所以上も拠点があるということは、旅の要素もあるわけで、肩に力が入った釣りとは違う楽しみもあって当然だ。本格的なタックルをごっそり持っていくのが面倒な人もいるだろう。
というわけで、今回は少々違う趣向の釣りにチャレンジしてみた。テーマは"旅の釣り"。荷物を軽くするため、持参のタックルはパックロッド1本と簡単な仕掛けに限定。ターゲットはあらかじめ絞り込まない五目釣り。これだったら旅のついでにサオを出すのも楽でしょう?
そういう視点でレンタル艇のベースを探してみると、ぴったりの場所があった。ヤマハリゾートの「合歓の郷マリーナ」だ。合歓の郷は伊勢志摩の100万坪の敷地にホテル、温泉、スポーツスタジアムなど、ほとんどなんでも揃ってそうなビッグリゾートで、リアス式海岸が複雑に入り組む穏やかな英虞湾にある。しかも、水深はおおむね20メートル以内と五目釣りにぴったり。これは好都合とパックロッドを鞄に詰め込む隊長であった。

盛りだくさんの海

  合歓の郷マリーナには前日の昼過ぎといつもより早めに到着した。せっかくのリゾートなんだからゆっくりしなきゃ、というのではない。今回はロコ・アングラーが同行せず、情報をしっかり集めなければならないのだ。
さっそくスタッフの柴原勝文さんに取材する。柴原さんは長年、合歓の郷でボートフィッシングを手がけてきたエキスパート。取材の結果、レンタルボートでは主に、(1)内でシロギス、カレイなどをねらう片テンビンもしくはブッコミ仕掛けの釣り、(2)潮通しのいい湾口部でアジ、イサキ、マダイなどをねらうビシ釣り、(3)湾央から湾口にかけてのアオリイカ、コウイカ、(4)磯際でメジナのウキフカセ、の4パターンがイケると判明した。
このうち、(2)カゴフカセはシーズンオフで残念ながらパス。それ以外はなんとかなりそうだから、翌日は"今がベストシーズン"というメジナのウキフカセ→"お手軽コース"の片テンビンのカレイまたはシロギス→"イザというときのため"のイカという三段構えで攻略することにした。
ずいぶん欲張りなヤツだ、と思われるかもしれないが、初めての海にチャレンジするのだから引き出しは多いほうがいい。なにも全部釣ろうってわけじゃなくって、ボウズだけは避けたいのが正直なところ。一応これでも釣査隊の隊長だからね、隊員はいないけど。

前菜はウキフカセ

  翌日の天気は快晴。だが、あいにく北西の風が強い。おそらく風速は10メートルを超えているだろう。普通だったらウサギどころかシロクマが飛ぶような風だけど、地形を見ればわかるとおり、英虞の海は滅多なことじゃ荒れたりしないから大丈夫。予報でも午後には風が収まるというので不安はない。
合歓の郷マリーナは英虞湾のなかほどにある。まずはウキフカセによるグレねらいで湾口北部の浜島港沖へ向かった。
ウキフカセは磯釣りの釣法だから、ポイントは磯際でOKのはず。そこで、堤防のすぐ脇にある沖磯脇の落ち込みにアンカーを投入。地形に変化があって、潮通しのよさそうなところがねらいめだ。もともと磯釣り釣法のウキフカセ。それをボートでやれば入れ食い間違いなしと期待したのだが――。
1時間が経過。
アタリのアの字すらない。
"今がベストシーズン"のはずだったのに、どうやら朝の冷え込みのせいで浅場のお魚は元気がないようだ。その証拠にエサ取りもいないと来た。ここで撤退するのは悔しい。かといって、深みにズルズルとハマってしまうのも怖い。コマセで魚を寄せる釣りって、粘らないと釣れないんだけど、魚がいない場所でいくら粘ってもムダなわけで、その見極めが大きな悩みどころである。
"きっとギャンブルにハマるのってこんな感じなんだろうな"とウキを見つめていたら、ウキがゆらゆら揺れてからスーッと消えていった。これってアタリかも。心臓ドキドキで合わせたらしっかり引いている。たいして大きくはないが、上がってきたのはれっきとしたメジナ君だった。
1尾釣れたら粘ってみるのがコマセを使う釣りの定石。とはいえ、たぶんエサ取りも現れないこの冷え込みじゃ望み薄だ。コマセをまったくムダにしなかっただけ上々と、この1尾で心おきなくポイントを移動した。

カレイが釣りたい

  カレイかシロギスかで悩んだ末、次のターゲットはカレイに決めた。というのも、前回の仙台湾でリリースサイズのイシガレイ1尾に終わったリベンジを果たしたかったのである。
カレイのエリアは湾奥部だ。心機一転、一気にUF‐21HTを深谷方面へ走らせる。合歓の郷マリーナの前を通り過ぎ、住吉ノ瀬の浮標の脇を抜けた。だいぶ湾の奥に来たけれど、なにぶん初めてなもんでポイントがまったくわからない。一応エサを買った釣具店では、水深10メートル以浅のイカダ周りで、とりわけ漁師が掃除をしているときがエサがこぼれていい、と聞いていた。しかし、それらしき漁船の影は見当たらない。
さて、どうしたものかと困っていると、ノリ棚で作業中の漁船がいた。
「すみませ~ん、カレイってどのへんで釣れるんですか?」
「(指差して)あのへんや。けど、あんまりおらへんよ」
そんなこと言われたって、こんなにイカダだらけじゃアドバイスに従うしかない。教えてもらったポイントへ迷わず直行だ。英虞湾のカレイ釣りは、寄せエサのダンゴを撒いてから置きザオで待つのが一般的。エサはイシゴカイ(イソゴカイ)がベストとは先の釣具店の話。同じカレイでもずいぶん流儀が違うなあと感心しつつ、教えてもらったとおりにダンゴと仕掛けを投入したら、いきなりだった。
え? まさか、と思って合わせると、ずしりとした重量感が。こ、こ、これはもしかして! とすっかり興奮気味にリールを巻くと、パンパンに太った良型の花見ガレイのお目見えだ。
ほどなく、一隻の漁船が近くにやってきた。そしてイカダの掃除を始めたのである。なんというタイミング。で、首尾よく2尾目を追加。
英虞湾ってすごい。仙台のカレイにしろ、ウキフカセのメジナにしろ、あれほど苦労してリリースサイズが1尾だけだったのに、こんな簡単にカレイが釣れるなんて――。釣りって本当にわからないなあ。

マリーナ前で1パイやっか

  最後はイカ釣りでシメようとたくらんだ。英虞湾で釣れるイカはアオリイカとコウイカの2種類。時期的には両方いるというので、仕掛けは中オモリを使ったエギでいい。
問題はポイントだ。アオリは主に岩礁帯で、コウイカは岩礁混じりの砂地と厳密には異なるのだが、2カ所をねらう時間はもうない。そこで、コウイカの好ポイントという合歓の郷マリーナ前を選んだ。魚探で見ると、マリーナの前は周囲よりやや深くなっており、水深は15メートル前後。十分アオリイカもコウイカも釣れる深さである。
サオにガツン!と衝撃が走ったのは、子どもたちを乗せた合歓の郷のインフレータブルボートを横目にエギをシャクったときだった。まぎれもなくイカの手ごたえだ。メジナ、カレイに加え、パックロッド1本でイカまで釣れたら言うことはない。身切れしないように慎重にリールを巻けば、水面を割ったのはやはりコウイカ。
待てよ。この水深にスミイカがいるってことは、きっとシロギスもいるに違いない。そうにらんでサオを出すと、今度はシロギスが連続ヒット。最後の最後に予想外のおまけまでついて、大満足でマリーナへと帰港した今回の隊長であった。
パックロッド1本でターゲットも絞り込まず、ロコ・アングラーも同行しなかったけれど、とても充実していた英虞湾の釣り。釣り方やターゲットだけを見れば、確かに際立った特徴はないかもしれない。でも、ロコ・アングラーに頼らず、自分で魚を探すのは面白かったし、初めての海で、旅先で、のんびり釣りをするのはとても新鮮だった。
それにしても、最後に入った合歓の郷内にある「潮騒の湯」の気持ちよかったこと。こんなふうに身軽に旅と釣りを楽しめるのは、なんといっても、レンタルボートならではの贅沢。今度は家族でも連れて来ようっと。

隊長:齋藤海仁(かいじん)

【隊長:齋藤海仁(かいじん)】

ボートなら簡単?と思ったウキフカセのメジナ釣りからスタートしたが、思いのほか苦戦。諦めかけたころにようやくウキが沈んでホッとする隊長。その後は思いどおりの釣りが満喫でき、英虞湾がとても好きになりました。

今回のロコ・ガイド

【今回のロコ・ガイド】

今回貴重なアドバイスをくれた合歓の郷マリーナの柴原勝文さん。英虞湾の釣り歴は10年を軽く超えるエキスパートボートアングラー。ポイント、ターゲットの相談はぜひ。

釣果カレンダー

釣魚カレンダー

 シロギスとメジナは周年ねらえるが、全体に水深が浅く、冬は冷え込むと水温もすぐに低下するために魚の活性も下がり気味。シロギス、ベラは湾央から湾口部。メゴチ、カレイは湾奥がメイン。特にクロダイとカレイは湾奥のイカダの釣りが定番だ。クロダイは紀州釣りやダンゴ釣りが人気。 アジ、イサキ、マダイは湾口部の根周りのため潮によって時期にムラがある。イナダとカンパチも同様。ヒラメは生きエサで日の出前後がねらいめ。

英虞湾のフィールドMAP

英虞湾のフィールドMAP

 レンタルボートのフィールドは御座岬と南張海岸を結ぶラインの内側。合歓の郷とその対岸を南北に結ぶラインを境に湾内と湾口部に分けられ、湾口部ではシロギスやベラ、アオリイカ、さらに外潮が入る根周りでは夏から秋にかけてアジ、イサキ、マダイ、イナダ、カンパチなどが釣れる。湾内はクロダイ、カレイ、シーバスなどが人気のターゲット。クロダイとカレイはイカダの周りがメイン。シーバスは朝、夕マヅメに河口や浮標周りなどをねらう。

合歓の郷マリーナ

これまでSRV20とフィッシング仕様のUF-21HTの2艇という体制だったが、'04年4月からYF-21CCとSRV20の新体制に。いずれのボートにもGPS魚探を装備し、複雑な英虞湾でも迷子になる恐れがないのはもちろん、釣りのポイントも探しやすい。リゾートのマリーナだけあって、カヌーレンタルやモーターボート遊覧などのプレイメニューも充実。もちろん、艇の保管も随時受け付けている。

■交通アクセス
車利用=伊勢自動車道、伊勢西ICより伊勢道路経由で約40分
電車利用=名古屋から2時間。大阪難波から2時間20分。京都から2時間50分(近鉄特急で鵜方駅まで)

■問い合わせ先
合歓の郷マリーナ
〒517-0403 三重県志摩郡浜島町大崎半島
TEL:0599-52-1150(マリーナ直通)
URL:http://www.nemunosato.com/

今回使用したタックル

 今回はパックロッド1本であえてさまざまな釣りにチャレンジしてみた。カレイやシロギスの仕掛けは市販の標準的なもの。エギは4~4.5号で、アオリイカが浮く時期は中オモリを外す。ウキフカセのウキは見やすいタイプでOK。

【ROD】
今回の旅にはバスロッドを連れていったが、やはり海水対応のロッドがベスト。用途が広く、バッグにも入るコンパクトロッドが「ダイワ・HSミニパックT」だ。オモリ負荷と長さ別に12モデルがラインナップする充実の人気シリーズ。湾内の小もの釣りには「10号-180」あたりが使いやすい。しっかりした基本性能を備えたうえでのコストパフォーマンスも魅力。
●全長:1.85m
●オモリ負荷:6~12号
●継数:6本
●仕舞寸法:44cm

【BATTERY】
小物釣りといえども、細ハリスを使用する釣りにはやはり高性能ドラグを備えたモデルが頼りになる。「ダイワ・プロシューター」はスーパーメタルボディーを採用したソルト対応モデル。1500番クラスでOK。
●イト巻量:1.5号-130m、2号-100m

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