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ヤマハマリンクラブ・シースタイル

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Vol.30 福井県・美浜沖

全国のマリーナでボートをレンタルして釣行脚。今回は福井県・美浜沖のアオリイカ・キジハタほかをご紹介。

この記事はヤマハマリンクラブ・シースタイルのレンタルボートでの釣行です。

今回のフィールドも、前回に続いて日本海側の福井県・美浜沖。絶好調である秋アオリのエギングと、前回で味を占めたタイラバーと一つテンヤの3トップでチャレンジだ。ボート倶楽部2010年12月号 [ 文:齋藤海仁 / イラスト:名取幸美 ]

記念すべき30回目ですが

終わらなくてよかったです。ホント。
10月号に本誌がリニューアルを遂げたのはご存じのとおり。その一環で終了した連載もあったから、実は隊長もいつ肩を叩かれるか心配してたんだよね。丸山さんは「虎の穴」を卒業しちゃうしさ。Mr.ツリックは2馬力から8馬力になっちゃうし......ってバージョンアップしてるのか!
で、10月号、11月号が出て、この12月号。もしかして釣査隊がなくなるとか、思ってませんでした?
なワケありません。
隊長には、全国津々浦々の海を釣査するという、強い使命感があるのだよ。えへん。シースタイルのホームポートは約140。つまり残りは約110。釣査は年4回だから、全部釣査すると隊長は、えーと、68歳!は無理でも、まだまだ釣りまっせ。いや、釣らせてください。"ともかくもアナタまかせの釣査隊"。ヤマハさん、全国のホームマリーナ&ロコアングラーさん、『ボート倶楽部』さん、そして読者のみなさま、今後ともこの「マリンクラブ釣査隊」をなにとぞごひいきに。
(誰も気にしてないだろうけど)30回記念のごあいさつはこのぐらいにして、前回の酒田に続き、今回の釣査エリアも日本海だ。ホームポートは福井県の「マリンポート美浜」である。
美浜を選んだのは、昨年全国的にあまりよくなかったアオリイカがよく釣れそうなこと。美浜周辺は秋アオリのポイントで有名だからね。それと前回で、いろいろ釣れる日本海のタイラバーと一つテンヤの味を占めたからだ。
季節はベストシーズンの秋。はたしてなにが釣れるか、乞うご期待。

ジャングルクルーズ

マリンポート美浜は国指定の名勝「三方五湖」のすぐ近くにある。三と五に意味ありげなのは気のせいで、単に三方(郡)の五湖という意味。「富士五湖」みたいなものだ。
緑豊かな海辺にある五つの湖はすべて水路で結ばれていて、ラムサール条約に登録されているように、貴重な自然が残っている。五湖は海ともつながっており、実はシースタイルのクラブ艇で途中まで行ける。先に書いちゃうと、湖に入る水路には信号があるし、久々子湖と水月湖を結ぶ浦見川は、ジャングルクルーズみたいで超楽しかった!シースタイルのエリアのなかでも一、二を競うクルージングコースじゃないかな。 マリンポート美浜では、ロコアングラーの大谷哲央さんと、ハーバーマスターの大谷健一郎さんが待ってくれていた。そう、お二人はご兄弟である。
ところが、北風が強くてすぐの出航は無理。幸い午後には風が収まり、翌日は南風が吹く予報だったので、本格的な釣査は翌日に。この日は風に強い三方五湖へ行ったのち、午後に少しだけエギをシャクることにした。

アオリイカ天国です

常神半島の周辺は若狭湾でも有数のアオリイカ釣り場だという。哲央さんと健一郎さんが案内してくれたポイントは、付け根の東にある定置網の近く。水深10メートル強の場所にアンカリングした。
「どっちにキャストすればいいんですか?」
「360度、どこでも釣れると思いますよ」
そんなバカな、と関東なら思うところだけれど、これがウソじゃないからあきれる。哲央さんも健一郎さんも隊長も、1投目からアオリをヒット。そして、2投目も3投目も4投目も5投目も......。
なんじゃこりゃ。アオリイカ、どれだけいるんだ。

確かにどこへ投げても乗ってくる。キジハタが釣れるかと思ってキャストしたソフトルアーにもチェイスする。挙げ句の果てに、健一郎さんは水面まで追いかけてきたアオリを相手にサイトで遊び始める始末。
隊長はというと、今回は釣れると聞いていたから、各種のエギやシャクリを試すべく、いろいろやろうとしたものの、なにをやっても釣れるから結局違いがわからなかった。残念というか、うれしいというか......うれしいです、はい。
「この前、フネじゅうが真っ黒になってきたオーナーさんがいましたよ」
クールに言った哲央さんの言葉も、ごくあたりまえに感じられる釣れっぷりである。

ロックフィッシュ天国です

一夜明けると、風はすっかり収まっていた。
この日は沖のグリや魚礁をタイラバー&一つテンヤでねらう予定だ。ご当地ではマイナーな釣り方らしく、哲央さんはガイド役に徹してくれると同時に、うれしいサプライズを用意していた。同級生で釣り好きの村上正幸さんと、その長男で小学5年生の勇次君が同行してくれるという。って、あれ?今日は平日だぞ。
「学校は休みなの?」
「校長先生に雑誌の取材があるので釣りに行っていいか聞いてみたら、『社会見学になるからぜひ行ってらっしゃい』って」
「勇次は釣りが大好きなんですよ」
すばらしい親子と学校だこと。日本の釣りの未来は明るい。こりゃいい釣りしてもらわなきゃね。
美浜沖のおもなポイントは、グリと呼ばれる天然の根と魚礁である。どれもさほどの規模ではない。そして、地元ではアンカリングの釣りがさかんだから、何艇か先にポイントに入っていると流し釣りは難しい。だが、雨が降る予報の平日とあって、先行者はいなかった。
そこで、哲央さんイチオシの大グリに直行した。マダイ、根魚、なんでもござれの大場所だ。
大グリに到着して魚探を見ると、水深80メートルから40メートルくらいまで一気に浅くなる台地状をしていた。ベイトフィッシュの反応もあっていい感じ。潮の流れを見るために、まずはベイトの反応が出たところでタイラバーを落としてみる。
すると、全然引かない魚が掛かった。上がってきたのはキジハタである。
一方、正幸さんのサオが大きく曲がっている。このヒキはマダイか青ものに違いない。青ものはあまりいないと言っていたからマダイかな? いや、それにしてはよく走ると思ったらカンパチだ。へぇ。
この流しで潮が北から南の方向に流れていることがわかったので、根の北側の斜面から流してみたら、フォーリング中の隊長のタイラバーにもカンパチが食いついてきた。

潮はトロトロと流れる感じであまり速くない。たぶん1ノットもないだろう。潮も緩いし、一つテンヤでもやってみるか。タイラバーもやたら根掛かりするし。
エサのエビをまっすぐに刺して第一投。おっと、着底した瞬間に掛かったゾ。またしても引かない。たいして大きくもない。やっぱりキジハタだ。微妙なサイズだな~。嫌いじゃないんだけど。で、なんと2投目も3投目も4投目も5投目も、着底と同時にキジハタがヒットした。その間に勇次君が一つテンヤで良型のカサゴをキャッチ。ここはもしかして根魚地獄?いや、天国か。

謎の巨大魚がヒット!

できればマダイの顔を見たいのに、タナを切れば青もの、ボトムに落とせばキジハタで、どうやってもマダイにエサが届く気がしない。一つテンヤにはこんなデメリットがあったのか!?そして、またタイラバーに戻した直後のこと。
ずいぶん浅いタナでタイラバーが落ちなくなった。と思った瞬間、猛ダッシュ。
このヒキはサバ科でもアジ科でもないぞ。いったいなにが掛かったのか。なんて思っていると、200メートル巻いてきた0.6号のラインがたちまち残り少なくなったので、やむを得ず哲央さんの操船で魚を追いかけてもらうと、魚体が見えた。
シイラだ。
なんてこった!
PEの0.6号にシロギスザオじゃこの魚とまともにやりあうのは無理。哲央さんに操船を、正幸さんにタモ入れを、そして勇次君には応援をお願いして、みんなの力を合わせてなんとかキャッチできた。
ただいまのファイトタイム、25分--。
専用のタックルならどうってことないサイズだけど、一つテンヤのタックルで、そして、みんなの力を合わせてキャッチしただけに喜びはひとしお。柄にもなく感動しちゃったよ。

ところが、シイラを釣っている間に時合いは過ぎたようで、このあとアタリが止まってしまった。風雨も徐々に強くなり、帰りがけに寄ったポイントで、キジハタとホウボウとウスバハギを追加して釣査は終了。その間にカジキのジャンプをばっちり目撃したのには心底驚いたなあ。
美浜沖の実力をイヤというほど思い知らされた今回の釣査。隊長はもちろん、なによりボートフィッシングを初めて体験した勇次君のよき思い出になってくれたらいいな、と願う隊長でありました。

隊長:齋藤海仁(かいじん)

【隊長:齋藤海仁(かいじん)】

1968年、神奈川県生まれ。三浦半島鴨居の海辺で育ち、学生時代から鴨居のマダイやスミイカをはじめ、沖釣りに入れ込むと同時にボートフィッシングにも傾倒。16歳になると同時に船舶免許を取得。釣具店の店員、ボート釣り専門誌編集長を経て独立。現在、沖釣り情報誌『つり丸』にて「ボート釣りに行こう!」を連載中(冬季は休業)。著書に『ボートフィッシングバイブル』(舵社刊)がある。

今回のロコ・アングラー

【今回のロコ・アングラー】

大谷哲央(おおたに・のりお)さん
シーズンになるとアオリイカにはめっぽうアツくなるというピュア・アオリスト。地元育ちで、その他の釣り情報にももちろん詳しい。その時期のターゲットとポイントはしっかり教えてもらえます。

釣果カレンダー

釣魚カレンダー

マダイ、青もの、根魚のメインのポイントはグリと魚礁。GPSプロッターにマークがあるので、場所はわかりやすい。グリと魚礁で釣るときは、アンカリングしているボートの邪魔にならないよう要注意。特に潮下に入るのはご法度である。また、大グリという名の根が2カ所ある。本命は水深が40メートル以上ある沖のほうなので、手前の大グリには行かないように。アオリイカのポイントは常神半島の東側全域だ。

美浜沖のフィールドマップ

美浜沖のフィールドマップ

ところどころに定置網が入っている。特に常神半島方面に行くときは、甲ヶ埼の先にある定置網に注意しよう。しかも、甲ヶ埼の岸寄りには暗岩も多い。定置網の岸側は走れるものの、定置網を避けつつ、岸からは十分離れて航行すべき。三方五湖クルージングには危険個所が多い。行く場合は必ず事前にスタッフから注意事項を聞き、厳守すること。勝手な行動は事故のもとである。

マリンポート美浜

大谷造船所として明治35年に創業。昭和に入ってからは、FRPによる造船を日本海側でいち早く手がけ、1988年にマリーナをオープンした。FRP関連の技術や、メカニックの腕には定評がある。近くに絶好の釣りのポイントが多数あり、アングラーには抜群のロケーションがとってもうれしい。

■交通アクセス
北陸自動車道敦賀IC下車、舞鶴方面へ約20分<

■問い合わせ先
福井県三方郡美浜町早瀬14-51
TEL:0770-32-0348
営業時間:午前8時~午後5時
定休日:冬季休業(12~2月)
http://wakasa-ozmarine.com/

今回使用したタックル

タイラバーと一つテンヤのタックルは前回と同じ。タイラバーは60、80グラムの2種類で、サオは6:4調子のゲームロッド。一つテンヤは3?8号で、サオは2.1メートルのシロギス用だ。ラインはPEの0.6号だし、メーターオーバーのシイラ(全長ね)もキャッチできるからパワー的には問題なし。エギングには、PEの0.8号を150m巻いたスピニングリールと、7フィート前後のバスロッドを使用。エギは3.5号のみ。

これが今回の3トップ。

これが今回の3トップ。エギは3・5号、タイラバーは60~80グラム、テンヤは3~8号だ。

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