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Vol.08 静岡県・浜名湖

全国のマリーナでボートをレンタルして釣行脚。今回は静岡県・浜名湖のマダコ&クロダイをご紹介。

この記事はヤマハマリンクラブ・シースタイルのレンタルボートでの釣行です。

今回のフィールドは、独自のボート釣り文化を誇る浜名湖。浜名湖最強のアングラーをゲストに迎え、ユニークな釣りをとことん楽しんじゃおうってワケだ。ボート倶楽部2005年9月号 [ 文:齋藤海仁 / イラスト:名取幸美 ]

エ○でタ○を釣る

 さて問題です。上の○にはなんの文字が入るでしょうか。
"ビ"と"イ"に決まってるだろ、という方はブーッ、違います。いやいや、本当は正解なんだけど、ほかにも答えがあるってこと。それは"ギ"と"コ"。「エギでタコを釣る」です。
ここ数年大ブームのエギング。そのターゲットはアオリイカで、タコをねらうって話はあまり聞かないはず。ところが、エギでタコをねらって釣る場所がある。
それは浜名湖。
浜名湖でエギタコと聞いたとき、隊長ははたと膝を打った。だって、浜名湖は浅くてほとんど砂底。底をとりやすいうえ、根掛かりが少ない条件はエギにぴったりのはず。タナがベタ底のタコで一番ネックになるのはおそらく根掛かり。でも、浜名湖なら大丈夫だろう。おまけにテンヤより釣れそうだし。
いったいエギでタコってどうやって釣るのか興味津々なのに加えて、浜名湖は知る人ぞ知る魚どころ。前に浜名湖の魚を食べたとき、正直、そのうまさは感動的だった。ワタクシ事ながら、隊長はこれでも「久里浜のタコ」を誇る横須賀育ちである。浜名湖のタコと味も比べてみたい。
浜名湖のタコの旬は夏。となれば、今回はエギでタコを釣るの巻――。

助っ人は浜名湖最強アングラー

 浜名湖といえばヤマハの本拠地だ。松見ヶ浦にある「ヤマハマリーナ浜名湖」はさすがに充実したマリーナだった。
いつものようにSRVレンタルボートクラブの手続きを済ませ、出航したのが午前10時半ごろ。釣りにしては余裕しゃくしゃくなのは今回の助っ人が浜名湖最強の釣り人だから。そのお方は青野秀樹さん。生まれも育ちも浜名湖で、ずっと浜名湖畔に在住。父親の代から貸し船屋「ヤマト」を営み、今は浜名湖貸船組合連合会会長も務める正真正銘の浜名湖マスターである。
青野さんいわく、マダコのポイントはおもに中央水路沿い。例年は6月中旬から夏にかけて徐々に北に移動するらしいが、今年はマダコのシーズンが遅れ気味で、直行した場所は一番南の2~6番標識の間だった。
仕掛けはエギとナス型オモリだけと超簡単である。カギはエギの接続方法だ。リーダーに結んだスナップに、スナップスイベルを介してエギを接続すると、エギの動きが格段にいいという。釣り方はこの仕掛けで底をズルズル引きながらの流し釣り。
さっそく青野さんも隊長も仕掛けを放り込んだ。が、青野さんの様子がちょっと変。心ここにあらずといった感じで、エキスパート特有の集中力がない。ほどなく青野さんがボソッとつぶやいた。
「マダコはこのところ下げ潮のほうがいいんですよね......」
「いつごろから釣れ始めるんですか」
「3時くらい。実はその前にとっても楽しい釣りができるんですよ。ちょっとやってみませんか?」
まるでどこかの呼び込みみたいだが、穏やかな口調の裏には浜名湖マスターの自信がみなぎっている。そして、続く言葉に隊長は耳を疑った。
「ポッパーでクロダイが釣れるんです」
え"!? だって、神経質なクロダイだよ。日中だよ。トップウォーターだよ。本当に釣れるのか念を押すと、青野さんは平然と、「釣れます。浜名湖じゃいつものことですよ」。
行きます。どこへでも行きます。

GTばりの猛チョイス

 そうと決まれば迷いはない。エギタコをいったん切り上げて、到着したのは浜名大橋のすぐ北だった。ポイントはどうってことないシャローフラット。水深1~2メートルほどで、ところどころアマモが生えている。その藻のなかにクロダイが潜んでおり、なぜかポッパーによく反応するのだという。
そんなこと言われてもにわかには信じがたいが、ボートを風まかせで流し、とにかくポッパーを投げてはポコポコやっていた隊長の数投目。
ゴボォッ。
出たあっ。平たい体で大きな水流を巻き起こし、 鉄色の背と白い腹を見せてポッパーを横殴りにしたのはまさしくクロダイの勇姿。ド迫力の猛アタックだ。
でも、あれ? 合わせたけど、手応えがまったくない。ってことは掛からなかったのか。
中途半端な隊長のヘナチョコアワセを見た青野さんは、「ラインが持っていかれるまで待つんですよ」、とアドバイス。クロダイはルアーを食うのが下手らしく、フックアップしないこともしばしば。食い損ねても追い食いする場合があるので、ラインに重さが乗ってから合わせるといいという。
いやあ、それにしても驚いた。こんなにすぐ、しかも大胆にクロダイが飛び出すとは。ド胆を抜かれると同時に、一気にヒートアップしてきたゾ。
シャローフラットのため、ポイントはボートの周囲360度。点在するアマモ団子や小さなカケアガリなど、一応の目安はあるものの、どこからクロダイが飛び出すかわからない。2人して黙々とキャストを続けると、また出た! 今度は青野さんだ。
ポッパーを引ったくるのを待ってしっかり掛けたのはさすが。だが、さんざん横っ走りした末に姿を現わしたのはシーバスだった。こんなふうに釣れればシーバスも十分面白い。とはいえ、いかんせんクロダイを期待する2人には少々物足りない。

慌てる隊長はもらいが少ない?

 エンジンを切ったボートが静かに風に流されてゆく。その静寂を切り裂いてまたもや青野さんのルアーにヒットした。
「下に突っ込むからクロダイでしょう」とクールに言い、腰の入ったファイトで慎重に魚を寄せると、ボート際でぎらりと黒光り。ホント、クロダイだ。最後の抵抗を巧みにいなし、青野さんは無事ランディングに成功。そして、なな、なんと驚くべきことに、釣りを再開するやたちまち2尾目のクロダイを手にしたのだった。
一方、隊長といえばそれまでに5回出て一度もフックアップできず。ルアーへの反応は少しずつよくなっていて、最後の1度はラインに重みを感じたけど、アワセが早すぎたのかハリに掛けられなかった。
青野さんの2尾に隊長はオーバーヒート寸前までアツくなった。ポッパーでクロダイなんて滅多に釣れるもんじゃない。このチャンスを逃してなるものか。ナニがなんでも釣ってやるゾ、と鼻息荒くポッパーを投げまくり。青野さんもすっかり隊長のアシスト役に回ってくれている。
さざ波が立つ水面にルアーが着水すると、ベイトフィッシュが飛び跳ねた。荒れすぎず、静かすぎず、適度にさざ波があるくらいがトップウォーターにはいいらしい。条件はそろっている。魚もいる。クロダイには確実に近づいている。濃厚に漂う釣れる予感に、珍しく心臓がドキドキと高鳴った。
水面からポッパーが消えたのは大きな泡を吐いた直後のこと。瞬間、ロッドワークを止めた。ラインが走る。青野さんのように腰を落としてロッドをためた。今度こそフックアップだ。ここでバラしてなるものかと、別の意味でドキドキしながら夢中でファイトする。水中でぎらりと黒く光った。あともう少し。頼むからおとなしくしてて、と祈りつつ、青野さんが差し出したネットに収めたのはがっちりポッパーをくわえたクロダイだった──。
こんなにアツい釣りをしたのは何年ぶりだろう。青野さん、感動をありがとう!と固い握手。結局、隊長が釣ったクロダイはこの1尾だけだったけど、胸は十二分にいっぱいだった。
え?タコはどうしたのかって? もちろん釣りましたよ。このあと、中央水路の2~6番標識に戻ってエギタコをリスタート。仕掛けをチョイ投げしてラインの出を止め、ボートが潮に流されるまま底をズル引きする超楽チン釣法だが、これが入れ乗り。オモリが底を引きずるブルブルバイブレーションが止まったら、タコの乗ったサイン。そのときに気持ちサオ先を送り込んで大きく合わせるのがコツ。また、潮が速すぎるときは、エンジンの力でボートが流れるスピードを抑えるといいという。エギタコの威力はやはり抜群で、周りのテンヤ勢がさっぱりななか、2人だけ乗りっぱなしだった。
帰り際、浜名湖のタコはやっぱりおいしいんですかと隊長が訊ねたら、青野さんが釣りのあとでタコ料理をふるまってくれるという。いやはや、そのうまかったこと。胸もお腹もいっぱいで、申し訳ないくらいに大満足の浜名湖釣行。海は穏やかで魚はうまいし、スペクタクル&ダイレクトな浅場の釣りはビジターにとって一生に一度級の面白さ。
いやいや、一生に一度といわず、心のなかで再来を誓う今回の隊長でありました。

隊長:齋藤海仁(かいじん)

【隊長:齋藤海仁(かいじん)】

青野さんに料理してもらった炭火焼きのマダコの足にかじりつく隊長。全体に細かく包丁で切れ目を入れておくと、こうして美しく焼き上がるという。もちろん格別のうまさでした。

ロコ・アングラー

【ロコ・アングラー】

青野秀樹(あおの・ひでき)さん
高校1年生で船舶免許を取得し、浜名湖のボートフィッシングに傾倒。以来、ボートフィッシング熱はまったく冷めず、最近はルアーフィッシングの開拓者としても有名。名実ともに浜名湖最強のボートアングラーのひとり。

釣果カレンダー

釣魚カレンダー

 今切口という幅約200mの水路以外は閉鎖された平水区域のため、湖内は滅多に荒れない。外洋の波高が3mの予報でも出航可能。むしろ、注意すべきは風よりも浅瀬への乗り上げだ。走行時は必ず航路を通り、浅場で釣りをするときはエンジンのチルトアップとポール(水棹)を忘れずに。航路はボートの往来が激しく、潮流も速いので、アンカリングは避けること。

浜名湖のフィールドマップ

浜名湖のフィールドマップ

 遊走区域の標識に沿うようにカケアガリがあり、北側が深く、南側が浅い。釣りが盛んなのは南側のいわゆる表浜名湖のほう。干潟と浅場が豊富な汽水域の浜名湖は、栄養たっぷりで魚種も多いが、流入河川の影響や水温の変化などが大きいせいで釣りのシーズンがはっきりしているのが特徴。特に真冬の1~2月はシーズンオフになる。逆に、いろんな魚が手軽に釣れる9~11月はファミリーフィッシングにうってつけ。

ヤマハマリーナ浜名湖

快適なクラブハウス、気持ちのいいオープンデッキ、シャワールームなどの充実の設備はもちろん、ウェイクボードや潮干狩りといった豊富なプレイメニューを誇る浜名湖ボーティングの一大拠点。釣り情報も詳しいスタッフがていねいに教えてくれる。

■交通アクセス
車利用=東名高速自動車道「三ヶ日インター」より約30分。浜名湖レークサイドウェイ、国道301号線を経由して天竜浜名湖鉄道「知波田」駅手前を左折。
電車利用=天竜浜名湖鉄道「知波田」駅から徒歩約10分

■問い合わせ先
〒431-0411 静岡県湖西市入出字長者1380
TEL:053-578-1114 URL:https://hamanako.yamaha-marina.co.jp/

今回使用したタックル

 エギタコのサオは、身切れを防ぎつつ、速い潮流のなかでもヘビーなタコを寄せられる粘りのあるタイプが向く。リールはチョイ投げができるスピニングでOK。クロダイのタックルは、高性能ドラグを備えたスピニングリールと、軟らかめのティップを備えた6フィート前後のキャスティング用ロッドの組み合わせ。ルアーは水しぶきではなくポップ音で誘うタイプが効果的のようだ。

【ROD】
ダイワ・ソルティストST-EG832I-D(右)は超撥水ドライ加工インターライン仕様でストレスフリーの、ボートでも使いやすいエギングロッド。
●全長:8フィート3インチ
●継ぎ数:2本
●自重:150g
●適合エギ:2.5~3.5号
●適合ライン:PE0.6~1.2号

【REEL】
ダイワ・スプリンターHV1500(右)は、必要な機能はすべて備えた、ライン付きのソルト対応スピニングリール。
●イト巻き量:1.5号-130m
●自重:290g
●巻き取り長さ71cm/回転

ダイワ・セルテート2506フィネスカスタム(左)は、ライトラインを使用したソルトゲーム全般に対応するシャロースプールの最新鋭モデル。
●イト巻き量:PE0.8号-140m
●自重:235g
●巻き取り長さ71cm/回転

上は今回入れ乗りを演じたダイワ餌木イカ名人D(ダート)2.5号。リーダーのスナップにさらにスナップスイベルを介して接続するのがミソ。急流を釣るので8号程度のオモリを使う。下はクロダイに使用したTDポッパーZERO。復刻した元祖TDポッパーもよく釣れるとか。

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