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Vol.05 和歌浦湾

全国のマリーナでボートをレンタルして釣行脚。今回は和歌浦湾・ジギングをご紹介。

この記事はヤマハマリンクラブ・シースタイルのレンタルボートでの釣行です。

今回は和歌山市のマリーナから30分もかからない和歌浦湾で、メジロ相手のジギングに挑戦。超強力なエキスパートを助っ人に迎え、これでもかってくらいジグをシャクっちゃうのだ。ボート倶楽部2004年12月号 [ 文:齋藤海仁 / イラスト:名取幸美 ]

秋深き隣は何をつる人ぞ

 机でネズミを転がして、コチ、コチッと。おお、なんと2回で登場だ! こんなにすぐ出てくるなんてけっこうヤルじゃん。
隊長はいったいナニしてるのかって? 実はこの「出動! レンタルボート釣査隊」がヤマハ発動機のホームページに掲載されたのだ。で、「ヤマハ発動機」の「マリン製品」をクリックしたらいきなりバナーが出てきたというわけ。これで隊長もついにネットデビュー! あ、ネットは誰でも出られるんだったっけ。
まあカタいことは抜きにして、次の目的地を探すべく続いていつもの釣果サーフィンへGO。
夏の猛暑が一段落し、なにかと欲望が掻きたてられるこの季節。食欲、スポーツ、芸術とかいろいろ言われるけど、ボートアングラーにとってはもちろん釣欲の秋だ。おまけに実りの秋は海も同じで、馬だけじゃなく魚も肥ゆる。ボートフィッシングにはいいシーズンだし、連載1周年記念(といっても年4回だけど)にそろそろ大物でも釣りたいなあ、と欲望の赴くまま、またコチコチッ。とやったら、目が釘付けになったのが「船頭倶楽部」。
このBBSがすごいことになっていた。丸々と肥えたメジロ(ワラサ)がこれでもかと並んでいる。釣り方はジギングで、場所は関西の谷川や田倉埼というから、大阪と和歌山の県境あたりだな。えーと、「SRVレンタルボートクラブ」の「加盟マリーナ情報」にジャンプして......和歌山市の「マリンルームオオタ」がすぐ近くだ。急いで予約を入れなくっちゃ!

ナンバーワン・ジギンガー登場

 マリンルームオオタは紀ノ川河口脇の和歌山本港の奥にあった。釣れるマリーナにありがちな人里離れた場所ではなく、まったくもって都会のマリーナである。阪和自動車道の和歌山ICから10分弱。渋滞がなければ大阪市から車で約1時間と交通の便もいい。こんな近くに絶好の釣り場があるんだから、関西圏のレンタルボートアングラーは幸せだよ。
と、もう半分釣ったような気になっているのは、今回のロコ・アングラーが古谷秀之さんだから。古谷秀之さんといえば、プロショップ「ヘッド&テイル」のオーナーで、ダイワが誇る精鋭ジギングチーム"ソルティガブロス"のリーダーである。ナンバーワンジギンガーの呼び声高いトップアングラーがなぜこんな隊長と同じボートに乗ることになったのかというと、実は古谷さんもマリンルームオオタでSRVレンタルボートクラブをよく利用し、ときどき船頭倶楽部に書き込みもしているのだ。おまけに、レンタル艇の魚探には古谷さんとっておきのポイントがたっぷりマークしてあるという(平成16年11月現在)。ここだけの話、こんなにおいしいレンタル艇は滅多にない(マークが消えていても責任は持ちません)。
マリンルームオオタにはレンタルボートの利用開始時間ちょうどの朝9時に到着。少し前に集合してもよかったが、古谷さんによれば早く出ればいいってものじゃないらしい。しかも、当日はあいにくの空模様。青ものは空が明るいほうがルアーへの反応がいいということでゆっくり手続きを済ませ、ジギングタックルをしこたま積み込んだUF-21CCは午前10時に桟橋を離岸した。
港橋、青海橋という2つの橋をくぐり、和歌山本港を出ると視界が開ける。目の前にあるのが淡路島。直線距離が10マイル以上あるのに、瀬戸内海最大の島だけあってとても近く感じられる。
その右手、北方向には紀伊半島の田倉埼と友ヶ島の沖ノ島。沖ノ島の相棒である地ノ島は田倉埼の陰になっている。遠目にはこれらの島々が陸続きのように見えた。間隔がとても狭いのだ。その狭い水道を瀬戸内海に出入りする潮が通り抜けるんだから、メジロ押しの好ポイントも納得の地形である。さらに、和歌浦周辺までは外潮も入り、夏はマリーナのすぐ前に何百キロというクロマグロが来るという。なんともうらやましい......。
魚礁が点在する田倉埼沖は北西方向だ。この日は北東の風が強く吹いていたが、ずっと風裏なので波は低い。釣査隊の取材にしては珍しく工業地帯の前を通り過ぎ、サーフィンで有名な磯の浦や田倉埼の別荘などを横目に見ながら快調にクルージング。かれこれ30分弱で釣り場に到着した。

メジロはスローなジギングがお好み

  メジロのポイントは田倉埼西沖の水深30メートル前後にある人工魚礁である。古谷さんはGPSの画面をめいっぱい拡大して、自ら登録したお魚マークを目印に魚探を見ながらステアリングを操っている。一緒になって画面を覗き込んでみると、たしかにときどき赤いボトムラインが分厚くなる場所が出てくる。しかし、100を超える魚礁のなかには古くて砂に埋もれているものもあり、大型のメジロはベイトフィッシュがいて形がはっきりしているなど、条件のよい魚礁じゃないと釣れないそうだ。
ようやく好条件の魚礁を発見。アスターンで行き足を止め、根の潮上側から古谷さんがジグを投入する。
ジギングの方法はいたって簡単だ。底を取ったら、1巻き1シャクリを同時に行うワンピッチワンジャークをややスローテンポで行うだけ。実際に計ってみたところ、そのテンポは1秒に2回弱、1分間に100回程度が目安。
ただし、大きなサイズを釣るには少々コツがいる。ハマチだとハイスピードや高いタナでも飛びついてくるが、メジロねらいなら底から10メートルくらいまでを特にスローテンポなジャークでねらうのが定石。だから、1度の投入で水面までジギングをする必要はない。水深が30メートル程度なら、底から10メートルほど巻いたら再び底まで落としてジギングを繰り返す。
こんなに簡単にメジロが釣れるなんてウソみたいだけど、とりあえず見よう見真似でやってみよう。
北西の風が強く、古谷さんは操船に苦戦気味。風が強くてボートがポイントからすぐに外れてしまう。同じ場所に戻るのにも、強風が手強くてなかなか思いどおりにならないようだ。その様子を見て、いったん操船を替わってみたものの、すぐに古谷さんはまた舵とロッドの両方を握ってしまう。なんとかゲストに釣らせたいというキャプテンシーと、たぶんそれ以上に手前船頭じゃなきゃ気が済まない性分なんだろうな。その気持ち、よくわかります。好きです、そんな人。
というわけで、隊長は今回のゲスト役に徹底し、古谷さんのスーパーテクニックをとくと拝見することにした。

怒涛のジギングモードで空前のメジロラッシュ

  相変わらず手前船頭で操船と釣りをこなす古谷さん。釣れない魚礁ではあまり粘らず、新しい場所を探したほうがいいと移動を繰り返すが、どうも潮の動きがいまひとつの模様。釣り開始から1時間以上たってもヒットはない。
すみません、古谷さん。告白します。正直言うと、隊長はこのとき"もしかしたら釣れないんじゃないか"と、不安を感じ始めていました。でも、実は見当違いだったんですね。
潮が動き始めた途端だった。ベイトフィッシュの反応がある魚礁に入って1投目。ワンピッチワンジャークを開始した古谷さんのロッドがガチッと折れんばかりにひん曲がる。
「メジロです。こいつはデカイですわ」と古谷さん。端で見ていてもゴッツいヒキだ。しかし、人間相手にはジェントルマンの古谷さんは魚を相手にすると性格が一変したみたいに、パワフルなファイトでガンガン魚をいなし、あっという間にメジロはタモのなか。鮮やかな手際と本物のジギングの迫力にしばし呆気にとられてしまった。
この1尾がメジロフィーバーの幕開けだった。時合いを逃してたまるかと古谷さんと隊長は怒濤のジギングモードに突入。いや~、今回はすごかったです。写真撮影を挟みながらも短時間の間に2人で70センチ級のメジロを8尾。加えて古谷さんはサワラまで釣っちゃうんだから。恐ろしく歯が鋭いサワラは、ワイヤハリス以外ではなかなか手にできないらしいのだが、アシストフックのラインにビニールパイプを被せていたのも幸いし、メーター級のサワラを首尾よくキャッチ。隊長はというと、メジロのほかはハマチが2尾。ハマチが釣れたのは古谷さんの言うとおり、あきらかにテンポが速く、高いタナを釣った結果だった。
さて、これだけメジロを釣ったらもう言うことはない。釣査は無事終了、かと思いきや、これで終わらないのが和歌浦の恐ろしいところ。帰り際に磯の浦沖の20メーターラインで中オモリ付きでちょっとエギをシャクったら、なんとアオリイカも釣れてしまったのだ。それも2ハイ。
結局、この日は合計でメジロ8尾にサワラ1尾、ハマチ2尾、アオリイカ2ハイという釣果。こんなにジギングをしたのも初めてなら、メジロを釣ったのももちろん初めて。翌日は筋肉痛で右腕が全然使いものにならなかったよ。
これが釣査じゃなかったら、ホントは内緒にしたかったなァ。この和歌浦、それくらいすごい海でありました。

隊長:齋藤海仁(かいじん)

【隊長:齋藤海仁(かいじん)】

本格的なジギングは初体験。しかも日ごろの運動不足がたたり、メジロを1尾釣っただけで疲労困憊の隊長。でも、魚が釣れると思うとつい力が入っちゃうのだ。体鍛えよう、いつか。

今回のロコ・ガイド

【今回のロコ・ガイド】

古谷秀之(ふるやひでゆき)さん。ダイワ精工のジギングチーム"ソルティガブロス"リーダー。躍動感あふれるジギングとシュアなファイトはまさしくトップジギンガーの称号がふさわしい。

釣果カレンダー

釣魚カレンダー

 瀬戸内海の東の玄関口にあたる和歌浦沖は、黒潮の影響を受ける外潮と瀬戸内海の湾内の潮がぶつかり、かつ紀淡海峡で潮流が速まる絶好の条件に恵まれている。おかげで、ターゲットは実に豊富で美味。とりわけカタクチイワシが寄る6~8月はクロマグロがキャスティングで釣れたり、マダイがジギングで釣れるなどソルトゲームが充実する。以後、年内いっぱいまでがジギングのハイシーズンだ。

和歌浦湾のフィールドマップ

和歌浦湾のフィールドマップ

 和歌浦湾は南西の風が吹くと外洋からのウネリが入って荒れやすい。南西の風で波高が2m以上あると出航は厳しくなる。逆に、北寄りの風が吹く秋から冬はナギの日が多い。プレジャーボートのエリアは基本的に田倉埼と友ヶ島の南端を結んだラインの南側だが、漁船と遊漁船に迷惑をかけないように近くでは絶対に釣りをしないこと。また、このエリアでは流し釣りがルール。アンカリングの釣りも厳禁だ。友ヶ島水道は潮流が速いと波が高くなるので航行時には注意すること。

マリンルームオオタ

メジロやマグロのポイントは目の前。スタッフとお客さんのほとんどが釣り好きで、情報は常に新鮮で正確と、ボートアングラーにとってはまさに願ってもないマリーナだ。「努力しなくても釣れるのが和歌浦の釣りのいいところ」とか。とはいえ、マリーナのオリジナル仕掛けを製作、販売するなど研究熱心さが心強い

■交通アクセス
車利用=大阪市内より車で60分。阪和自動車道和歌山ICより10分。和歌山港にまっすぐ向かって港橋手前を左折してすぐ

■問い合わせ先
住所:和歌山県和歌山市築港6-17
TEL:073-433-3008
URL:http://www.mr-oota.com/

今回使用したタックル

 ジギングタックルはスピニングでもベイトタイプでもOKだが、ベイトのほうがジグの着底がわかりやすく根掛かりが少ないうえ、リーリングスピードが遅いのでメジロに向いているという。ジグのサイズはベイトフィッシュに合わせるのが基本。6~8月はカタクチイワシ、お盆以降はタチウオとアジがメイン。メジロがタチウオの稚魚を追っているときは長さ20cm以上のロングタイプがヒットルアーだ。

【ROD】
スピニングモデルは「ダイワ・ソルティガ58S-2/3S」。スローテーパーで、丈夫な両足ガイドを採用した、同エリアではオールラウンドに使えるジギングロッド。
●全長:5フィート8インチ
●ジグウェイト:30~120g
●マックスライン:PE3号

ベイトロッドは「ダイワ・ソルティガGAME60B」。太径肉薄ブランクでハンドルも軽量化したレギュラーテーパー。ライトラインで大物をねらう設計。
●全長:6フィート
●ジグウェイト:60~120g
●マックスライン:PE2号

【REEL】
「ダイワ・ソルティガZ4500」は、防水ハウジング、超高精度のデジギヤなど、ジギングリールに求められる性能をすべて備えたスピニングリール。
●標準イト巻き量:PE3号-400m、PE4号-300m

「ダイワ・ソルティガZ30」は、フルメタルボディの高耐久防水構造で、タフさが評判のジギング専用両軸リール。
●標準イト巻き量:PE3号-370m、PE4号-300m

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