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Vol.22 兵庫県・神戸沖

全国のマリーナでボートをレンタルして釣行脚。今回は兵庫県・神戸沖のタチウオ・青ものほかをご紹介。

この記事はヤマハマリンクラブ・シースタイルのレンタルボートでの釣行です。

今回のフィールドは、好ポイントが目白押しの神戸沖。3年ぶりに絶好調という人気のタチウオを、ご当地仕掛けのテンヤ釣法でねらってみた。ボート倶楽部2008年12月号 [ 文:齋藤海仁 / イラスト:名取幸美 ]

"釣りは釣れるときに釣れ"

 えー、手前ミソで誠に恐縮ですが、舵社から隊長の本が発売されることになりました。タイトルはズバリ『ボートフィッシングバイブル』。ボート釣りの解説書です。
フィッシングボートの基礎知識から、艤装、ボートコントロール、そしておもな対象魚の釣り方まで、盛りだくさんの内容でお届け中。いろんなターゲットをカバーしているから、シースタイルの釣りでも役立つこと間違いなし!
なので、ぜひお買い求めください。ちなみに、巻頭のカラーページはシースタイルを利用した釣行の名場面集ですヨ。
ボート釣りの本を書いていて大変だったのは釣り方の章だった。世界に冠たる釣り大国、日本。ターゲットも釣法もバラエティー豊かで、文字中心とはいえ、かなりのボリュームになる。それをぜんぶこなすのは無理?
いやいや、そんなことないってば。釣りにはどんな釣法にも通じるカンどころがあって、それさえつかめば微調整でOK。とにかく、どんな魚でもいいから真剣にある程度数を釣ってみることですね。そのためにはいい時期に釣りに行くのがいちばん。だから、「釣りは釣れるときに釣れ」ってわけ。
でもって、今季絶好調の魚種のひとつがタチウオである。夏の東京湾の釣れっぷりもすごかったけど、「西高東低」のタチオウといえば、やっぱ大阪湾でしょう。名物のテンヤ釣りもやってみたいしなァ、とシースタイルのHPでホームマリーナを探したら、ぴったりのマリーナを発見した。「神戸ハーバーマリーナ」だ。なんとタチウオダービーを開催中で(10月末で終了)、釣果は上々。大阪湾のタチウオは3年ぶりに絶好調とのこと。このチャンスを逃す手はない。

釣査エリアは広大

 神戸ハーバーマリーナは、ポートアイランドや神戸空港のすぐ西にある。阪神高速神戸線の柳原ICを下りて5分強で到着した。
けど、天気はあいにくの雨。しかも横なぐりだ。クラブハウスで待っていたロコアングラーの大内一弘さんと、窓の外をしばしボーゼンと眺める。
「午前中の出航は無理ですかね......」
「はい。でも、午後はあがるという予報なので、昼からは出航できますよ」
ちぇ。最近はなんだかこういう天気が多くて困る。それでなくても今回は大阪湾+播磨沖とエリアが広くて大変だってのに。というわけで、1日で釣りをすませるつもりだったけれど、初日は淡路島でお昼を食べてから、神戸沖でタチウオねらい。翌日は同じく今が好期のメジロのノマセ釣りにチャレンジした後、神戸港方面にクルージングへ行くことにした。
お昼前になると、たしかに激しかった雨がウソのようにやんで無事出航。予定どおり淡路島の「淡路夢舞台」へ。ここは大阪湾の人工島を作るために土砂を採取した跡地らしいけれど、自然を再生する「環境創造型」の施設だそうで。おカタい説明を省けば、要は、ホテルやらレストランやらが集まった観光地ですね。特に安藤忠雄設計の建物は一見の価値アリ。建築ファンにはたまらないスポットだろう。
おっと、出遅れた釣査隊に見物している余裕はない。すきっ腹を満たしたら、さっそくタチオウ釣りに出動だ。

初心者でもボウズなし!

 タチウオの行動は昼と夜とで極端に異なる。夜は陸からねらえるほどの浅場に上がってくるのに対し、昼は沖の深場に移動する。だが、比較的水深が浅い大阪湾には、そんな深場が数カ所しかありません。なかでも、マリーナの南にある通称"神戸沖"の「横瀬」は大阪湾一のたまり場なんです、と大内さん。幽霊の異名を持ち、ポイントやタナを絞りにくいタチウオ。だけど、今年は絶好調だし、大内さん、なんだかすごく釣れそうに聞こえるんですけど?

 「はじめて釣りに来た人でも、シースタイルのお客さんでまだボウズの人が1人もいないのはウチの自慢なんですよ。タチウオはポイントがわかりやすくて、型を見るくらいならビギナーでもOK。人気があるのに確実に釣れる、タイヘンありがたいターゲットです」
いやがうえにも期待は高まるってもんだ。
タチウオのテンヤ仕掛けは独特だ。なにが変わってるって、冷凍の魚(エサ)を細い針金でとめるわけ。よく言えば豪快。悪く言えば粗削り!?
おまけにハリは下向きときた。でも、歯の鋭いタチウオだからイトを使うわけにもいかないし、下向きのハリは長い下アゴに掛けるため。いかにも合理的な関西の仕掛けという気がする。サバの切り身を使う関東のテンビン仕掛けにくらべると、こっちのほうが食いも掛かりもずっとよさそうだ。
大内さんによれば、テンヤをいちど底まで沈めたらゆっくり巻き上げて、コツコツという前アタリがサオ先を引き込む本アタリに変わったら合わせるのがテンヤタチウオ釣法のセオリー。だが、前アタリで合わせたほうがいいときもあれば、フォール中にヒットしたり、落とし込みのアワセで掛かったりすることもあるという。その日によってパターンが変わるところもまたこの釣りの魅力なのだとか。
魚探を見ると、水深は約60メートル強で、タチウオを示す独特のタテ筋がちらほらと底から宙層に出ていた。魚探の反応がわかりやすいのはタチウオのメリット。魚はいる。よ~し、釣るぞォ。
風がけっこう強いから、ここは手前船頭で仕掛けを落として、ゆっくり巻いて、と。いつものことながら、初めての釣法は最初の1尾を釣り上げるまで勝手がわからない。テンビン仕掛けとはだいぶ違うんだろうか。アタリがわからなかったらどうしよう、などと気をもんでいるうちに"コツ"と来た。ふむ。前アタリはわかりやすい。さらにゆっくり巻き続けてみると、ずっとコツコツやっている。水深が半分を切ってもまだ前アタリは続き、いい加減合わせたほうがいいのかな、と思った途端、ふとアタリが消えた。回収したテンヤのエサにはしっかり鋭い歯形がついている。ちぇー。
「水深30メートルでも当たりました。意外に上でも食ってきますわ」
タチウオが上ずりがちなのは暗い空のせいもあるのだろうか。そこで、次は前アタリで合わせてみたのだが、依然としてフックアップしない。なので今度はアタったら仕掛けを止めて待ってみたら、ほどなくサオ先が強く持ち込まれた。大きく合わせると、しっかりした手応え。小ぶりとはいえ本命のタチウオだった。
前アタリ→ストップ→本アタリのパターンをさらに試してみたところ、この日はこれがハマりのようで連続ヒットに突入。そして何尾目かのこと、サオがいきなり胴からひん曲がった。この強烈なヒキは青ものか!? けど、あっ!
バレた......。と思いきや、あと10メートルくらいになってまた生命感が復活。途中で一度軽くなるヒキはタチウオに違いない。はたして、上がってきたのはこの日いちばんの良型である。タチウオってこんなに引いたっけ?
当日の状況はけっこうよかったみたいで、このあとも大内さんとヒットを連発。やっぱり関東のテンビン仕掛けより釣れる気がするわ。ずっとやっていたら相当数は伸びただろうけれど、時間もないので1時間ほどでタチウオ釣りは終了。で、大内さんのすすめで帰り際に空サビキでアジをねらってみたところ、水深30メートルのブレイクで25センチくらいのマアジとマルアジが入れ食いだ。こいつが引くのなんの。空サビキでこのサイズが入れ食いになるなんて、神戸沖、うらやましいゾ。

アオリの襲来は大迷惑!?

 うってかわって快晴に恵まれた翌日。釣査が2日にわたるとページが足りなくて困るんだよなァ、とグチっぽいのは、そう、釣れなかったからですよ(泣)。マリーナを出てすぐの桟橋脇で豆アジを釣ってから、1級ポイントである塩屋沖の魚礁周りでノマセ釣りにチャレンジした。でも、周囲のボートがばんばんメジロ(ワラサ)やハマチ(イナダ)を釣り上げるなか、隊長艇は無残にもノーフィッシュ。だって、すぐアオリイカに小アジを食われちゃうんだもん。一度なんか、アジに抱きついてきたアオリをタモですくえたくらいだった。てなわけで、この日の釣果写真のハマチ君は同行のマリーナの専務、川崎さんが釣ったものです。すみません......。

 ノマセ釣りが一段落してからは、神戸港のクルージングスポットを回ってみた。ポートアイランド、六甲アイランド、そして神戸空港と、海から見る神戸の風景はひと味もふた味も違う。なるほど、神戸なら観光がてらこういうプランもアリアリですね。ゲストを連れてきたら喜ぶだろうな。おまけにシーバスも釣れる。ベイエリアの観光&お手軽釣りプランにはとてもいい感じです。
それにしても、マリーナからすぐ近くでこれだけタチウオや青ものが釣れる神戸ハーバーマリーナの恵まれていること。アクセスもいいし、よっしゃ、またノマセ釣りのリベンジに来るぞ!

隊長:齋藤海仁(かいじん)

【隊長:齋藤海仁(かいじん)】

この神戸ポートタワーに上れば、今回の釣査エリアがぐるりと一望できます。エレベーターで展望台まで50秒でございます。高さは108メートル......。神戸といえば夜景、ってことで夜に撮影してみました。

ロコ・アングラー

【ロコ・アングラー】

大内一弘(おおうち・かずひろ)さん
漁師になろうと思って兵庫県の水産高校を卒業したものの、結局、ボートフィッシングが好きでこの世界に入った筋金入りのフィッシングアドバイザー。播磨、西宮のマリーナにいた時期もあり、周辺のポイントは熟知している。

釣果カレンダー

釣魚カレンダー

大阪湾には昔から「根ものは30メートルライン、青ものは20メートルライン」という格言があるという。ちょうど水深20メートルのブレイクラインが南に延びる神戸沖はポイントの宝庫。また、タチウオは横瀬のディープホールねらいで決まり。潮が速いとタチウオは釣りにくいので、潮止まりの前後にはタチウオをねらい、潮が動き出したら青ものをはじめ、ほかのターゲットをねらうと効率がよい。

神戸沖のフィールドマップ

神戸沖のフィールドマップ

エリア内では2隻曳きの曳き網漁が盛んに行われている。漁船の間を通るのは大事故につながる。また、網を数百メートル曳いている場合もあるので、漁船には絶対に近づかないこと。10~5月に入るノリ棚からも十分離れて航行しよう。明石海峡の周辺は潮流、風ともに強くなりがち。本船の往来も頻繁だ。航路内はなるべく走らないように。

神戸ハーバーマリーナ

都市近郊にありながら、好ポイントが近くに多数あり、クルージングの見どころも満載と三拍子揃ったマリーナだ。シースタイルに加盟したのは4月1日だが、人気急上昇中のため現在のクラブ艇は計4艇。クラブ艇の艤装やポイントマップ、小アジのサービスなど、釣りのサポートもばっちり。

■交通アクセス
阪神高速神戸線の柳原ICを下りて5分強

■問い合わせ先
住所:兵庫県神戸市兵庫区遠矢浜町5-37
TEL:078-671-3177
営業時間:午前8時30分~午後5時30分
定休日:3月後半~9月前半 第3火曜日、9月後半~3月前半 火・水曜日
http://www.hinase-marina.co.jp

今回使用したタックル

タチウオテンヤの釣りは専用ザオが理想だが、7対3調子程度の汎用ロッドも使える。水深は深くても70メートル前後なので、リールは1~2号のPEラインが150メートル巻けるもの。電動でも手巻きでもOKだ。手前船頭の場合は電動のほうがラクかもしれないが、今回はカウンター付きの小型両軸受けリールをセットした。また、浅場のノマセ釣りには、オールラウンドなライトゲーム用ロッドをチョイス。

【ROD】ダイワ・極鋭73 200II(左)は、スーパーメタルトップを採用し、感度と操作性を追求した7対3調子のライトゲームロッド。リーディングXA73よりも穂先はしなやかに、バットが強くなった。ダイワ・タチウオV270は、関西で人気のテンヤの釣りに対応するタチウオ専用モデル。強くてしなやかなブランクでトルクのあるヒキを受け止める。
「極鋭73 200II」 ●全長:2.0m ●継ぎ数:2本 ●自重:125g ●オモリ負荷:15~80号
「タチウオV270」 ●全長:2.7m ●継ぎ数:2本 ●自重:190g ●オモリ負荷:60~120号(テンヤ:30~60号)

【REEL】ダイワ・スポルザ150R(左)は、ワンプッシュONクラッチ、1回転71cmのハイスピード巻き上げなどが特徴の、小型両軸受けリールのスタンダードモデル。ダイワ・it's ICV 150R(右)は、上記のスポルザの特徴に加え、水深表示カウンターを搭載した軽量小型両軸受けリール。遠心ブレーキ付きでキャストにも対応。
「it's ICV 150R」 ●ギア比:6.3 ●イト巻き量:PE2号-200m ●自重:270g
「スポルザ150R」 ●ギア比:6.3 ●イト巻き量:PE2号-200m ●自重:275g

10月に発売されたばかりの「ダイワ・it's ICV 150R」を使ってみた。タチウオなど水深があるターゲットをねらうには、水深表示のカウンターがあると、当たりダナを瞬時に把握できて便利だった。ライトタックルの釣りがより楽しくなる。

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