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Vol.46 兵庫県・播磨灘

全国のマリーナでボートをレンタルして釣行脚。今回は兵庫県・播磨灘のマダコ&アジほかをご紹介。

この記事はヤマハマリンクラブ・シースタイルのレンタルボートでの釣行です。

兵庫県高砂市の「播磨マリーナ」を釣査!
播磨灘の穏やかな海で、ご当地ターゲット&グルメを堪能した。
ボート倶楽部2014年12月号 [ 文:小野信昭 / イラスト:名取幸美 ]

姫路城のお膝元 播磨の海に期待

毎年異なるテーマで制作・テレビ放映されているNHKの大河ドラマでは、2014年は「軍師官兵衛」を放映中だ。主人公である黒田官兵衛の生涯を描くストーリーで、ドラマ内でたびたび出てくるのが姫路城のある播磨国で、現在でいう兵庫県の瀬戸内海側の地域を指す。今回、釣査隊として訪れたのは、この地にある播磨マリーナだ。
ロコアングラーとして取材に協力してくれたのは、サービススタッフの黒田賢太さん。このお名前を聞いたとき、私はすぐに大河ドラマのことが頭に浮かび、もしかして黒田官兵衛の子孫では......?なんて想像が膨らんだ。
訪問するにあたって最近の釣果情報を尋ねるべく、黒田さんに電話をかける。まさか面識がない人に対し、「黒田官兵衛の子孫ですか?」なんて質問ができるはずもなく、必要な釣況のみを確認した。
「この時期、シースタイルのクラブ艇の航行範囲内では、何がねらえますか?」
「タコとシロギスくらいでしょうか。運がよければフクラゲ(ブリの幼魚)が釣れるかもしれません」と、黒田さん。
「マダコですか、いいですねぇ?。では、それらをねらえる準備をして行きます」というやりとりで電話を切った。
私自身、過去に兵庫県でのボートフィッシングは経験済みだったが、マダコをねらうのは今回が初めて。なにしろ、兵庫といえば明石のタコが有名だ。今回の行き先は明石ではないものの、全国的にも有名な明石の近くでタコをねらえるとなったら、いやが上にも期待が高まる。
9月中旬の取材当日、マリーナ到着後に黒田さんとあいさつを交わした。事前の電話でも薄々感じていたが、若く感じのいい好青年だ。聞けば、高校卒業後に自動車整備関係の専門学校に通い、マリーナのサービススタッフとして就職し、今年で3年目の22歳とのこと。幼いころから父親に連れられ、この瀬戸内海でボートフィッシングを楽しんできたという。ちなみに、黒田官兵衛の子孫かどうかは、「わからない」そうだ。
「今回はマダコねらいということで、ちゃんと準備してきましたよ」と言うと、その若い笑顔が一瞬にして曇った。
「先月は100パイくらい釣ってくるボートもあり、本当によく釣れたんですよ......」
「で、今月はどうなんですか?」と突っ込んで聞くと、 「それが......。パッタリ釣れなくなってしまい、1日頑張っても1パイ程度なんです......」と、本当に申し訳なさそうに答えてくれた。
「えーっ、本当ですか!?」
「また来月(10月)以降は回復するのが例年のパターンなんですが、今がちょうど、谷間なんです」
ガーン!まぁ、本誌の発売が11月なので、そのころにはまた釣況が回復するならそれでOK......ということで出航準備に取り掛かり、タックルや荷物を係留状態のクラブ艇に積み込んで、そそくさと出航した。

【隊長:小野信昭(おの・のぶあき)】

1963年生まれ、神奈川県在住。DAIWAフィールドテスター、FURUNOフィールドテスター、ヤマハマリン塾「ゼロから始めるボートフィッシング講座」の講師を務める。著書に『必釣の極意』(舵社)、共著に『魚探大研究』(同)など。ダイビングの経験も豊富。

【今回のロコ・アングラー】

ロコアングラーとして播磨の海を案内してくれたのは、黒田賢太さん(22歳)。同マリーナのサービススタッフで、生まれは兵庫県加古川市。幼いころから父親の所有するボートで釣りを楽しんできたとのこと

マダコとの出合いに感謝!島での昼食も楽しみ

ボートはマリーナを出ると、すぐに天川に入り、さらに1キロほど下ると海に出る。付近の海岸線は工業地帯なので、決していい景色とはいえないが、東には淡路島、西には家島(いえしま)諸島が見え、瀬戸内海らしい多島美が広がった。

「タコねらいはどっちに向かうんですか?」と尋ねると、「東方面へ向かいます」と、黒田さんは指さした。その先には淡路島と本州とをつなぐ明石海峡大橋がかすんで見え、マダコで有名な明石が目視できることを知り、気合が入った。
到着したのは東播磨港沖の水深20メートルの、平坦な海底のポイント。さっそく、50号のタコテンヤに豚の背脂をセットし、実釣スタート。
マダコは海底にベッタリ着いているので、テンヤを底から離さないことが大切だ。テンヤを海底に沈めたらミチイトを張り、カンナ(ハリ)を支点にして、テンヤを底に着ける、離すを繰り返す。このマダコ釣りの基本は、関東では手釣りでやることが多いが、瀬戸内海ではサオを使うのが一般的とのこと。
ボートは潮と風に任せてゆっくり流すが、テンヤが底を引きずっているつもりでも、知らず知らずのうちに浮き上がっていることがあるので注意が必要だ。
開始から30分ほどたったころ、黒田さんが「釣れた!」と叫んだ。振り返るとサオが曲がっていて、うれしそうにリールのハンドルを回している。ところが次の瞬間、サオ先の曲がりがなくなり、「あっ!外れた?」と、黒田さんは天を仰いだ。
「1日頑張っても1パイ程度......」と聞いていたタコをバラしたことは悔やまれるが、タコがいることがわかっただけでも一歩前進だ......と、前向きに考えた。
基本に忠実にテンヤを小突くことさらに30分、私のサオ先にグニュッという感触が伝わってきたので大きく合わせた。
この感触はタコに違いない......。バラさないように一定の速さでハンドルを回すと、待望のマダコが水面下に姿を現した。
足を広げて上がってきたので重く感じたが、実際の重さは500グラム程度だった。でも、大きさや重さよりも、1パイ釣れたことがなによりうれしい。黒田さんも、この1パイに安堵(あんど)の表情を浮かべ、祝福してくれた。

しかし、なかなかあとが続かないので、釣れたポイントの潮上まで戻り、再び同じコースを流すことにした。しばらくすると、今度は黒田さんのサオが曲がった。 最初のバラシが頭をよぎっているのか、真剣な表情でハンドルを回していたが、ボート内にマダコが上がった瞬間、笑顔が戻った。さぞかしプレッシャーに感じていたのだろう。
その後は小康状態が続いたが、東播磨港に近い浅場を攻めたときに黒田さんがもう1パイ追釣し、ロコアングラーの意地を見せた。

互いに釣りに夢中になって、やや遅い時間となったが昼食をとることにした。実は私、この時間を釣りと同じくらい楽しみにしていた。というのも、昼食は家島諸島の男鹿(たんが)島に上陸して食事をするという計画を立てていたからだ。
普段、プライベートの釣行ではコンビニで買ったおにぎりや弁当をマイボートに持ち込み、洋上で食べることが多い私は、島に上陸して食べることに対する憧れを日ごろから感じていたのだ。
東播磨港からベタ凪の海を走ること約1時間。男鹿島の中村荘前の桟橋に着岸した。厳しいと聞いていたマダコをゲットできたことによる安堵感と、心地よい釣りの疲れから、海を見ながらゆっくり食事し、休憩した。

豊かな海を実感ご当地グルメに舌鼓

2日目も天候、海況に恵まれた。前日のマダコとは異なるターゲットを求めて、家島諸島へ向かう。
男鹿島周辺の小さな島々の間では、数多くのプレジャーボートが浮かんでいた。近づいてみると、各ボートでアジがポツポツ釣れ上がっていて、GPS魚探にも、ときどきそれらしき反応が出ていた。
「あ?、サビキ仕掛けを持ってくるべきだった......」 私が悔やんでつぶやくと、
「サビキ仕掛けならたくさんありますよ!」
と、黒田さんがタックルボックスから数種類取り出してくれた。その中から魚皮サビキを頂戴し、さっそくセット。さぁ投入しよう!と思ったら、魚探画面からはすでにアジの反応が消えていた。魚群も回遊しながら移動しているが、この釣り場では、潮流によってボートが思いのほか速く流されるようだ。
見れば、ほかのボートも潮に乗せてボートを流し、ポイントを通過したら、流し直すために潮上へ戻っている。
サビキ仕掛けの準備が整ったところで、われわれも反応を探しながら潮上へ向かった。コマセの用意がなく魚を寄せることができないため、反応を見つけた場所のやや潮上からボートを流し始め、仕掛けを下ろす作戦だ。

この作戦が功を奏し、15?20センチのアジが面白いように釣れ、イケス内が見る見るうちににぎやかになっていった。
海底は険しい岩礁なので根魚もいるに違いない。そう思ってサビキ仕掛けの一番下のハリにサバの切り身を付けたところ、ねらい通りにカサゴをゲット。してやったりだ。

あれこれ試しながら、ひとしきりボートフィッシングを楽しんだあとは、前日と同様に、島に上陸してのランチタイム。前日と同じ男鹿島だが、別の入江にある青井荘の桟橋に着岸した。
ラーメンとおでんを注文したが、ここのおでんはしょうがじょうゆで食べることが特徴の"姫路おでん"だ。その味は私にとって新鮮で、クセになりそうなうまさだった。
たまたま座席に隣り合わせた人もボートで島に来た方たちで、うれしいことに本誌の愛読者だった。共通の話題で大いに盛り上がり、楽しいひとときを過ごすことができた。
私自身、瀬戸内海に浮かぶのは今回で5回目。毎回、ボートフィッシングのみならず、クルージングで多島海の景観を楽しんだり、島に上陸して食事したり......と、とにかくボーティングをトータルで楽しむことができる素晴らしい海域だと実感していた。
その瀬戸内海には今回の播磨マリーナをはじめ、シースタイルのホームマリーナが30カ所以上あり、シースタイル会員ならそれらを利用できる。これはボーティングを楽しむ上で、とてつもないメリットだと感じずにはいられない。

釣果カレンダー

播磨マリーナ周辺は、水深こそ浅いものの、年間を通じて穏やかな好ゲレンデ。春から秋にかけてのアジやシロギス、周年ねらえる根魚、時期を選べばマダコやアオリイカも確率が高い。ただし、100グラム以下のマダコは捕ってはいけない、家島諸島付近ではマダコ釣りが制限されているといった、兵庫県漁業調整規則などのローカルルールがあるので要注意。詳細はホームページを参照のこと。http://www.hyogo-suigi.jp/Fishing/

播磨マリーナ周辺のフィールドマップ

航行可能エリアは、家島北東部?明石港の手前まで。9月~5月10日の期間は、東播磨港の赤灯台から東側が航行禁止エリアとなる。詳細はマリーナに確認してほしい。航行可能エリア内は、水深は浅いが、砂地あり、岩礁ありと、変化に富む。家島諸島へは20ノットで航行してもマリーナから1時間ほどかかるので、海況を考慮し、余裕を持った行動を心掛けよう。なお、家島諸島周辺は流し釣りのボートが多く、アンカリングは迷惑行為となる。

播磨マリーナ

ボートはすべて陸上保管で、クラブ艇の管理も行き届いており気持ちがいい。利用目的はフィッシングに限らず、クルージングやウェイクボードなど多岐にわたり、瀬戸内海でのボーティングをトータルで楽しめる。多くの利用者が昼どきには離島で昼食をとるという、多島海ならではの楽しみ方ができる魅力的なマリーナだ。

今回使用したタックル

東播磨港沖は水深が20メートル前後なので、リールは手巻きの小型両軸受けタイプをセレクト。ロッドは50号のタコテンヤを背負っても小突くことのできる、胴部分のしっかりした先調子の汎用タイプをセレクトした。家島諸島でのサビキ仕掛けによるアジや、サバの切り身エサを使った根魚ねらいも、マダコねらいのタックルを流用した。もし浅場でシロギスをねらうのであれば、スピニングリールのタックルも用意しておくと、キャスティングで広範囲をねらえるので重宝するだろう。

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