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ヤマハ発動機株式会社 Revs Your Heart

ヤマハマリンクラブ・シースタイル

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Vol.37 新潟県・日本海

全国のマリーナでボートをレンタルして釣行脚。今回は新潟県・日本海のヒラメ・スルメイカほかをご紹介。

この記事はヤマハマリンクラブ・シースタイルのレンタルボートでの釣行です。

今回は新潟県唯一のホームマリーナ、出雲崎勝見マリーナを釣査。関東地方からもほど近く、高確率で大物に出合える日本海へ、いざ。ボート倶楽部2012年9月号 [ 文:小野信昭 / イラスト:名取幸美 ]

一番近い日本海

太平洋側に住む自分にとって、ここ数年、日本海は隣の芝生のように思えていた。インターネットの普及によって各地の釣果情報が手軽に入手できる今日、特に新潟方面の釣果情報には目を見張るものがあり、青々とした芝生に思えていたのだ。
とはいえ、日本地図を見ればわかるように、神奈川と新潟を結ぶ距離は、本州のなかでも最も幅が広く、直線距離でも300キロを超えてしまう。それでも行く価値があると考え、シースタイルのホームマリーナガイドを見てみると、出雲崎町という場所に、出雲崎勝見マリーナが存在した。幸いにも出雲崎は東京から(神奈川からも)最も近い日本海側の土地であり、そこでシースタイル艇に乗れるなら、こんなうれしいことはない。
出雲崎をいろいろ調べてみると、以前は佐渡金山で採れた金を江戸へ運ぶための重要な玄関口になっていたとか。
7月上旬、期待に胸をふくらませ、出雲崎へ向かった。高速道路が発達していることもあり、4時間ほどで到着。午前6時前だというのに、マリーナ敷地内は出港準備の人たちでにぎわっていた。70艇ほど保管されているボートは25フィート前後が主流で、そのどれもが、ボートフィッシングを楽しむための艤装が施されている。
クラブハウスで、出雲崎勝見マリーナ支配人の高橋直宏さんからシースタイル艇の利用説明を受けたあとに、当マリーナのオーナーズクラブ「勝友会」の荒木洋一会長が、ポイントやターゲット、釣法について事細かに説明してくれた。そして相談の結果、まずは小アジを釣り、それを生きエサにヒラメをねらうことに決定した。

ロコじゃないロコアン

今回の取材におけるロコアングラー役を荒木会長が引き受けてくれるのかと思ったら、ご本人は恥ずかしがりやとのことで、「僕はマイボートで出艇するから、取材艇にはぜひこの人を乗せてあげて!」と、矢口秀一さんを紹介された。ロコアングラーの代役を矢口さんに託した荒木会長は、ひと足先に出航していってしまった。
クレーンを使って1艇ずつボートを下ろしていくが、順番待ちの間、矢口さんが実はロコ(地元)の人ではない、というお話をうかがった。
元々は福島県南相馬市の出身で、福島第一原発の事故による避難勧告で、中学生と小学生の娘さん2人、そして、親を出雲崎に避難させているという。そして自身は仕事の関係で福島県いわき市に移り住んでいるとのこと。
震災でマイボートを失い、1年ほど海から遠ざかっていたが、毎週末、娘さんの顔を見るために出雲崎へ通っているうちにこの海の魅力を知り、中古艇を入手。5月からこのマリーナに預けるようになり、大好きなボートフイッシングを再開したとのこと。現在は休日ごとに福島の釣り仲間をマイボートに招いて、みんなでワイワイ、ボートフィッシングを楽しんでいるという。
そのため、乗船した仲間が釣りやすくなるようにラインを立てるキメ細かな操船テクニックが身につき、今回、シースタイル艇でも見事にその腕前を披露してくれた。

大きなエサには大物が

期待に胸をふくらませつつ出航したが、肝心の小アジがぜんぜん釣れない。魚探で根周りを探ってみても、まったくアジの反応が見当たらない。1時間ほどアジを探したが、1尾も釣れないので、先に出航していた荒木会長のもとへ状況をうかがいに行くと、「ヒラメねらいのいいポイントがあるから、ついてきて!釣ったアジは分けてあげるから!」といわれ、柏崎方面へ向けて2艇で走った。
ヒラメポイントに到着後、荒木会長がアジを分けてくれたが、そのサイズは小アジというよりも中アジで、泳がせ釣りのエサとして使うには大きすぎる......という思いがした。
「僕は事前に用意してきた冷凍イワシを使いますから、会長からのアジは小野さんが使ってください」といって、矢口さんは早々に仕掛けを投入。矢口さんがうらやましく思えたが、会長のご厚意を無にするわけにはいかず、「ありがとうございます、助かりました」と笑顔で中アジ6尾を受け取った。

大きなエサには大物がヒットする......、そう信じて、アジが弱らぬようゆっくり仕掛けを降下させた。
その途中で、「来ました、来ました」と、早くも矢口さんが下ろした冷凍イワシになにかがヒットした。ヒットがうらやましいというより、ますます冷凍イワシがうらやましいと思えてしまった。
「でも、このヒキはヒラメじゃありませんから」と謙遜している。本命のヒラメじゃなくても、ヒットするだけでもうらやましいなぁ~。なんて思っているうちに、私の仕掛けも着底。アジが海底から1~2メートル上を泳ぐようにタナを合わせて、アタリを待つ。
背後では矢口さんが「正体はコレでした」と、25センチ級のウッカリカサゴを抜き上げた。私のほうはエサのアジが大きいこともあり、その動きがサオ先から手元にビンビン届く。が、やがて、そのアジが暴れ始めるのが感じ取れた。
もしや? と思って待っていると、コツコツとサオ先に小さなシグナルが届いたと思ったら、一気にサオ先が水面に引き込まれた。すかさず合わせると、かなりの重量感とストロークの長い引き込みが伝わってきた。あのサイズのアジに食いつくということは、それなりの魚に違いない......。そう思って慎重にやり取りした。
隣には早くも、矢口さんがタモを持ってスタンバイしてくれている。水面下に大きなヒラメが見えてきたときは、思わず「ヤッター!」と叫んでしまった。

先ほどまで、荒木会長から頂戴したアジが大きすぎる......と困惑していたのに、ヒラメをゲットしたとたん、近くに浮かんでいた荒木会長に「いただいたアジのおかげで良型のヒラメが釣れました!ありがとうございました!」と、心の底から湧き上がってきた感謝の気持ちを伝えた。

もうこうなると、残り5尾のアジが宝物に思えてくる。そんなアジを自分ひとりが使うのは申しわけないと思い、「矢口さんも生きアジを使ってくださいよ」と勧めるが、「冷凍イワシでも十分釣れますから」と遠慮している。
その後、矢口さんも私もヒラメらしき大物をヒットさせつつも互いにバラシてしまい、本命ヒラメこそ私が釣った1尾に終わってしまったが、ウッカリカサゴやクロソイなど、おいしい魚が釣れる、楽しい釣りとなった。
今回、本命のヒラメをゲットできたのは、ふだんから釣り仲間を自艇に招いて釣りを楽しませている矢口さんならではの操船テクニックと、釣れたアジを惜しげもなく、すべて提供してくれた荒木会長のおかげであることは間違いない。お二人には本当に感謝している。

釣査隊初のスルメイカ

翌日はガラリと趣向を変え、深場で釣れ盛っているというマイカ(スルメイカ)をねらうことにした。といっても、この日は水先案内人がおらず、自ら舵を握らなければならない。一抹の不安を抱きつつも、事前にマリーナスタッフから情報を得ていた、柏崎沖の水深140メートル付近をめざしてボートを進めた。
現地へ到着すると、前情報どおりにイカねらいのボートが何艇も浮かんでいたが、どうもウワサで聞いていたほど釣れている様子がない。とりあえず、他艇に交じって実釣をスタートするが、一向にマイカの乗りが訪れない。
「他艇も釣れていないから、マ、イイカ......」なんて冗談を言っている場合ではなく、何度かポイントを変えつつ、チャレンジしたがノーシグナル。近くに浮かんでいたボートに釣況を伺うと、「今日は渋いけど、底から10メートルほど切ったタナで釣れるよ」と教えてくれた。
その指示どおりのタナ付近を攻めると、ようやくマイカが1パイ、2ハイと乗り始めた。水深があるため、1パイ乗ったからといって巻き上げると非効率なので、追い乗りさせることで多点掛けとなるようにお祈りした。

要領がつかめてくると4点掛けにも成功し、見る見るうちにイケスがマイカで満たされていったが、南風がやや強くなり始めたので、深場でのマイカ釣りは諦め、浅場へ向かうことにした。

前日、ヒラメを釣った水深70メートル付近で、先ほど釣ったマイカを泳がせることにした。仕掛けを投入するとすぐにアタリが訪れるが、食い込ませようと時間を掛けすぎると、根に潜られてしまう。このことから、いずれのアタリもヒラメや青ものではなく、根魚類だと推測できたので、時間をかけずに即アワセすることに。この作戦が功を奏し、ハリ掛かりのあと、重量感たっぷりにサオが曲がった。
大物への期待が高まるなか、釣れ上がったのはなんと、30センチオーバーのソイが2尾。親バリと孫バリのそれぞれに、1尾ずつ掛かってきたのだ。
水中における生きイカ人気はすばらしく、仕掛けを下ろせばすぐにアタリが訪れるが、正午を回り、風が一段と強まったので、後ろ髪を引かれる思いで沖上がり。

今回の釣行では、比較的出合うのが難しいヒラメやスルメイカをゲットでき、新潟の魚影の濃さを実感できた。しかし、それはあくまで最新の釣り情報と、面倒見のいい人たちのおかげだと感じている。
釣りが盛んなマリーナは保管艇の稼働率が高く、活気があり、マリーナスタッフも釣りに関する多くの情報を持っている。全国に約140カ所あるホームマリーナのなかでも、釣りが盛んなマリーナでシースタイルを利用することが、釣果への近道かもしれない。

隊長:小野信昭(おの・のぶあき)

【隊長:小野信昭(おの・のぶあき)】

1963年生まれ、神奈川県在住。DAIWAフィールドテスター、ヤマハマリン塾「ゼロから始めるボートフィッシング講座」の講師を務める。著書に『必釣の極意』(舵社刊)、共著に『魚探大研究』(同)など。ダイビングの経験も豊富。ウェブサイト「気ままな海のボート釣り」
http://homepage3.nifty.com/miniboat/

今回のロコ・アングラー

【今回のロコ・アングラー】

取材に協力してくれたロコアングラーの矢口秀一さん(37歳)。愛艇のヤマハYDX-27〈がんばれ父ちゃん〉で出雲崎の海を満喫している。

釣果カレンダー

釣魚カレンダー

冬場の日本海は荒れるので、11月から4月末まで勝見マリーナは閉鎖期間となる。とはいえ魚影が濃い海域なので、オンシーズンの6カ月間で存分に魚との対話を楽しめる、魅力的な海域だ。春は深場でオキメバルやソウハチのほか、大物がねらえて数も期待できることから人気が高いマダイの好期。そして水温が高くなる夏から秋にかけては、ワラサやカンパチなどの大型青ものが盛んに釣れ、周年ねらえる根魚も含めて、ボートフィッシングのベストシーズンとなる。

新潟のフィールドマップ

新潟のフィールドマップ

岸寄りには岩礁地帯があるものの、水深40メートルを超えると砂地が広がり、岩場が少なくなる。等深線が海岸線とほぼ平行なので、沖合へ向かうほど水深が深くなるが、岩礁周りの魚をねらうなら、あらかじめポイント情報を入手した上で出航したい。クレーンでボートを下ろす付近一帯は浅場の岩礁地帯なので、マリーナスタッフの指示どおりのコースで沖へ向かうこと。

出雲崎勝見マリーナ

中越に位置し、約70艇のボートを陸置き保管している出雲崎勝見マリーナ。クラブ艇は、YF-21を1艇保有している。ボートフィッシングが大変盛んなマリーナで、休日ともなると約3割の保管艇が稼動するというから驚きだ。クラブ艇では航行区域外となるが、保管艇では佐渡島へのクルージングなども行われている。

■交通アクセス
北陸自動車道・柏崎ICから国道8号、国道116号、国道352号経由で約40分

■問い合わせ先
新潟県三島郡出雲崎町勝見811
TEL:0258-78-3840
営業時間:午前9時~午後5時(シースタイル)
定休日:毎週月曜日 ※11~4月は休業
http://e-takahashi.com/

今回使用したタックル

今回は泳がせ釣りでのヒラメねらいと、深場でのスルメイカねらいとで、同じタックルを流用した。ロッドは高感度のメタルトップを有するヒラメロッドに、リールは操船しながらもクラッチのON/OFFからタナ取り、巻き上げまで、すべての操作を片手で行えるジョグパワーレバーを装備した小型電動リールをセット。

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