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Vol.29 山形県・酒田沖

全国のマリーナでボートをレンタルして釣行脚。今回は山形県・酒田沖のご当地釣法をご紹介。

今回のフィールドは、本州の日本海側では最北のホームマリーナとなる山形県酒田沖。海が落ち着く梅雨どきに、タイラバーと一つテンヤで釣査してきたゾ。ボート倶楽部2010年9月号 [ 文:齋藤海仁 / イラスト:名取幸美 ]

梅雨の天気は「いい天気」

この号は一応9月号だけど、発売されるのは8月上旬。だから、原稿の締め切りは7月。そして、取材をするのはだいたい6月になる。そう、南アフリカワールドカップ!本田!じゃなかった梅雨どきだ。
フツーの人にはうっとうしい梅雨も、ボートアングラーにとってはそんなことないよね。天気が安定する梅雨は海が比較的穏やか。しかも、海水温が上昇して、魚の活性も高くなる。夏に旬を迎える魚がおいしくなる季節でもある。
そこで、今回選んだホームマリーナが山形県のボートショップ酒田。冬の間は出航が限られる日本海の酒田沖も、梅雨どきなら荒れにくいし、釣りシーズンもようやく本番を迎える時期と、タイミングはばっちりだ。
ボートショップ酒田がシースタイルに加わったのは、昨年の7月のこと。実はその瞬間からびったりマークしていたんだよね。酒田沖といえば、最近は飛島沖のクロマグロが大ブレイク中。さすがにクラブ艇のYF-21で飛島沖へ行くのは無理だけれど、近場だって知る人ぞ知るマダイやブリ、ソイの好ポイントだ。ボートショップ酒田のHPにある釣魚マップ&カレンダーを見ても、6月はターゲットの数が最多の絶好機。マダイやらヒラメやらソイやらが手ぐすね引いて待ってますぜ。

今回は隊長の単独釣査です

ホームマリーナとはいうものの、ボートショップ酒田はマリーナではない。地元の酒田PBS(プレジャーボートスポット)の一角を利用してシースタイルを運営している。まずはボートショップ酒田の店舗に行き、利用手続きと安全講習をすませたあと、酒田PBSでクラブ艇に乗るという流れだ。
今回はいつもと趣向を変えて、隊長が単独で釣査することにしていた。メインのご当地釣法が、隊長も釣り慣れているタイラバーで、広く探る釣りだからポイントもそんなにシビアじゃないと読んだのがその理由。それに、一つテンヤも試してみたかったし。タイラバーが利くなら、きっと一つテンヤでも釣れるはず。ただし、保険として地元の海をよく知るボートショップ酒田の二瓶 博さんに、あとで一緒にサオを出してくれるようお願いしたけどね。もちろん。
その二瓶さんから安全講習のついでにポイントを聞いたところ、基本的に砂地に小さな魚礁が点在するため、やはり流し釣りで広範囲を探るのが得策だという。しかも、魚礁がGPSにマークしてあるというから心強い。ただし、問題が一つあるらしい。
「今年は水温が低くて、マダイが出遅れてるんですよ。いつもなら6月に入れば釣れるんですけれど......」
申しわけなさそうに言う二瓶さんだが、まあそんなのはよくあることだ。マダイがダメでもワラサやソイはいるそうだから、大丈夫ですよ、きっと。いや、たぶん......。

PE0.6号の強烈ファイト

酒田PBSは、店舗から車で5分ほどの酒田本港にあった。
YF-21に乗り込んで、釣り支度をさっさとすませてすぐに離岸する。まずは少しでもマダイの可能性が高いという南へ向かってみた。
防波堤の間を抜けると、一気に視界が開ける。針路を南南西に取り、魚探を見ながら水深40メートルラインをしばらく走ってみたものの、なんだか生きものの気配が感じられないぞ。地形も平坦で、う~ん、もしかして先が思いやられるかも......。
地形にしろ、魚影にしろ、いい反応がまったく出ないので、海図に記載されている空港沖の魚礁まで足を延ばしてみた。水深は30メートル弱。たしかに魚礁はあるのだが、ベイトの反応はなく、困ったことに、さっぱり潮が動かない。
こりゃ参ったな。全然魚が釣れる気がしないわ。やっぱりマダイはダメなのか。
早々に南はあきらめて、次に向かったのは明石グリの禁漁エリアの南側だった。
禁漁エリアはGPSにはっきり記されているからわかりやすい。その南の端の地形を見ると、東側に水深50メートルほどの根があった。
潮が緩いし、水温も低いので、この時点ですでに狭いレンジをじっくりねらえる一つテンヤにシフトしていた。根のてっぺんで仕掛けを下ろしたら、少し時間がたったせいか、潮が北に流れている。海底も岩場で、なんだかちょっといい感じ?なので、もう少し南に下がってから頂点に向けてカケアガリを流してみると、1投目からヒットした。
でも、大きなアタリのわりにたいして暴れないこのヒキは根魚かな。予想どおり、酒田沖の第1号はクロソイだった。あまり大きくはないけれど、はじめての海の1尾目は格別だ。しかも、1投目から釣れたってのは幸先がいい。

はたして、このポイントでは続いてクロソイとアイナメが連続ヒットした。潮も利いてきたし、地形もグー。こうなると欲が出てくるもので、マダイでも釣れないかなと思い始めたちょうどそのとき、軽くサオ先を押さえこむアタリが来た。
間髪入れず合わせた直後、根魚とは異次元のヒキにドラグが悲鳴を上げる。ボルテージは一転、最高潮だ。
もしやモンスター級のマダイ?いや、それにしてはよく走るぞ。ってことは、そう、魚種としてはすっかり釣査隊ではおなじみのワラサだった。魚探に魚の反応がまったく出ない場所で釣れたからびっくりしたよ。はぐれワラサかな?
マダイはダメでも、このサイズのワラサが釣れれば文句はない。PE0.6号でのファイトは精神的にも肉体的にもシビれまくりだ。

シメは大型ウッカリカサゴ

酒田沖の地形をGPSで眺めると、全体的にはおおむね平坦だ。しかし、さすがに明石グリの周囲は禁漁エリアの外側でも変化が激しい。だから、ご近所をもう少し探ってみた。
魚探を見ながらボートを走らせ、デコボコした岩場を見つけて仕掛けを落とすと、ソイが釣れる。ソイはほとんどがクロソイだが、たまにマゾイ(キツネメバル)も掛かる。いずれも良型混じりなのはうれしい限り。このサイズが釣れればソイだけでも十分だ。
しだいに魚の活性が上がってきたので、仕掛けをタイラバーにチェンジしてみた。すると、やはり少し海底が高くなった場所の脇で、またもやワラサがヒット!
タイラバーのラインもPE1号だから無理は禁物。ヒィ~。腕がパンパンになっちゃうよ。うれしい悲鳴とはまさにこのこと。でも楽しい!
そんなこんなでソイとワラサを釣っていたら、ベタナギだった海にもいつしか西寄りの風が強くなり、帰港時間が近づいてきた。
そこで、潮が利いて、風も吹いていればちょっとは状況が違うかもしれないと思い、午前中はさっぱりだった水深40~60メートルラインをまた流してみることに。ポイントはどこでもいいらしいんだけど、明石グリの東側では二瓶さんイチオシの、水深45メートルにある波高計周りへ。
魚探を見ながら周辺をチェックしても、海底に明確なナニカがあるわけじゃない。魚礁といっても、古くて小さいため、大半は砂に埋まっているそうだ。それでも魚は付く。だから、ピンポイントをねらう釣法ではなく、流し釣りで広く探れるタイラバーのような釣り方がここでは主流なのだろう。
シーアンカーを使って一つテンヤでねらってみると、なんとまたすぐにクロソイをキャッチ。しかもデカっ。余裕のキロオーバーだ。どんだけ釣れるんだよ、酒田沖。このあともクロソイを追加して、この日は大満足で帰港した。
ん?二瓶さんと一緒に釣りをする約束はどうしたのかって?ちゃんと釣りをしましたよ。
おそらくマダイの可能性がいちばん高いということで、翌日も明石グリの南側へ行ってみた。すると、さすが!二瓶さんがタイラバーでムシガレイとジャンボカサゴをキャッチしてくれました。1日で魚種が変わるんだから、ホント、海っておもしろい。

残念ながら、6月から始まるというマダイは釣れなかったものの、酒田沖の実力は十分に思い知らされた今回の釣査隊。けど、二瓶さんによれば、「マダイのシーズンが始まれば、もっと簡単にマダイがたくさん釣れるんですけどねえ。なにしろ釣るオーナーさんは、年間200尾以上ですから」
今年は全国的に水温が低くて、いろいろな魚のシーズンが遅れ気味。自然相手の遊びだから、思いどおりに行かないのは当然だけど、こんな話を聞かされたら、また来るしかないじゃないですか......。

隊長:齋藤海仁(かいじん)

【隊長:齋藤海仁(かいじん)】

酒田に行くとかならず立ち寄る「川柳食堂」のワンタンメンを前にゴキゲンな隊長。このワンタンメンを食べたら、魚なんか釣れなくてもいい!?てのはウソだけど、そのくらいうまいのだ。

今回のロコ・アングラー

【今回のロコ・アングラー】

二瓶 博(にへい・ひろし)さん
昭和60年の創業以来、酒田の海と魚を見守ってきた大ベテラン。好きな釣りはタラやオキメバルなどの深場釣りだが、最近はマグロがマイブームとか。釣況とポイントは博さんに聞こう。

釣果カレンダー

釣魚カレンダー

本文にも書いたとおり、水深40~60メートルのポイントにある魚礁は、小さかったり埋まっていたりして、ほとんど魚探には映らない。したがって、広範囲の流し釣りが有効だ。イワシかアジが釣れれば、マダイでもヒラメでも、食わせサビキが抜群の威力を発揮するという。各河川の河口部ではシロギスが釣れ、特に最上川の河口はスズキの好ポイント。サワラはどこでも釣れる可能性がある。

酒田沖のフィールドマップ

酒田沖のフィールドマップ

外海に出てしまえば、暗礁も定置網も少なく、危険な場所はほとんどない。だが、5~6月はイカ釣り船の往来が激しく、曳き波がきわめて大きいのでくれぐれも気をつけよう。へたをすると転覆するほどの大波が来る場合も。北西の季節風が吹く寒い時期は出られない日が多い。また、夏に南西の風が急に強くなることがあるので要注意。風の向きにかかわらず、風速4メートルが出航可否の目安だ。

ボートショップ酒田

昭和60年から酒田でボートの販売、修理、艤装を開始。酒田PBSを利用するボートの多くを手がけるだけあって、釣りの情報も充実している。経験豊富なベテランスタッフがそろい、「深場釣り講習会」や「試乗会」などの各種イベントも開催。ボーティングから釣りまで、的確なアドバイスが得られる頼れるショップだ。ヤマハマリントラスト店。

■交通アクセス
電車利用:JR羽越本線、酒田駅から徒歩20分
車利用:山形自動車道、酒田みなとICより国道7号線を15分

■問い合わせ先
〒998-0004 山形県酒田市豊里字上割10-6
TEL:0234-34-3636
営業時間:午前9時~午後6時(3~10月)、午前9時~午後5時(11~2月)
※酒田でのシースタイルの利用が2回目以降の場合、午前6時からレンタル可能
定休日:不定休 ※火曜日は酒田PBSが休みのため、事前連絡のうえ、別途停泊料金(1,000円)が必要
http://www.bs-sakata.co.jp/

今回使用したタックル

タイラバーには6:4調子のゲームロッドを使用。ゲームロッドのなかでは軟らかめが向くだろう。一方、最近は一つテンヤが大流行中で、各社から専用ザオが発売されているが、一つテンヤには軟調の2.1メートルのシロギス用を流用した。ラインがPEの0.6号だから、パワー的には十分。しかも、2.1メートルだとシロギスザオでもパワーがあって、タイラバーからルアー、エギングまでこなせるからとても重宝する。

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