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Vol.13 北海道・石狩湾

全国のマリーナでボートをレンタルして釣行脚。今回は北海道・石狩湾のカレイ・アイナメ・ヒラメをご紹介。

今回のフィールドは北海道の小樽沖。梅雨を避けて、北海の海の釣りを楽しむべく、北海道へ行ってきた。ボート倶楽部2006年9月号 [ 文:齋藤海仁 / イラスト:名取幸美 ]

北の海へ逃避行

 ありゃま! ジダンがマテラッツィに頭突きしちゃったよ。判定は......レッドカードで一発退場。バカなことするもんだなァ。せっかく流れがフランスに来てたのに。でもって試合はPK戦でイタリアの勝ち。長かったW杯もこれで終わりか。やれやれ。
なに寝ぼけてんの。W杯はとっくの昔に終わっただろって? あいや、すいません。この原稿を書いている今は7月上旬。ちょうどイタリア対フランスの決勝戦を見たとこなんです。
サッカー好きの隊長としては、W杯開催中は大変だ。深夜だろうが真っ昼間だろうが、試合を見ちゃう。毎日寝不足だし、日本代表戦がある日は仕事なんて手につかない。だから、今回は開幕前に釣査しようと考えたんだけど、日本の6月上旬といえば梅雨。特に最近の雨は激しいから、どこへ行こうかなあと思案中にひらめいた。
「北は北海道から南は沖縄まで――」。いつも書いているとおり、ヤマハマリンクラブ・シースタイルの拠点は北海道の小樽にもある。北海道なら梅雨がない。小樽の釣りを調べたら、6月はカレイの時期で入れ食いが味わえるらしいゾ。
そんなわけで、小樽へ行ってまいりました。

風があって海が悪くても

 小樽港マリーナは新千歳空港の北西約80キロの石狩湾沿いに位置している。空港からレンタカーを転がして1時間弱で到着。ほとんどが高速道路だから楽チンだ。
マリーナにはロコアングラーの高橋公一さんがすでに待機していた。高橋さんはボート釣り歴20年以上の大ベテランで、その名も「シーボート」という釣具店のご主人である。本業は仕掛け作りらしいけど、3年前にお店を開業し、今は小樽港マリーナの釣りアドバイザーも務めている。マリーナで売っているオリジナルカレイ仕掛けを見せてもらったら、さすがの完成度だった。
「カレイはどのくらい釣れるんですか」
「今日は風があって海が悪いからねぇ......」
あれ? いいシーズンのはずなのにと思いきや、
「100尾くらいかな」
悪くて100尾くらいってどういうことよ。おまけに根周りをねらえばアブラコ(アイナメ)やホッケも釣れるし、運がよければヒラメも出るという。ヒラメ釣りはバケと呼ぶ独特のオモリを使う釣り方で、ご当地釣法好きの隊長にはヨダレもの。
とはいえ、カレイや根魚は確実でも、ヒラメは微妙らしいので、まずはカレイと根魚を釣ってから、余裕があればヒラメをねらう方針に決定。安全講習を受けてから高橋さんと出航した。

海底はカレイのカーペット

 カレイの釣り場は茅柴岬から高島岬沖の水深20メートル前後の砂地である。一文字堤防に囲まれた小樽港を出て、ほどなくポイントに到着した。
カレイ釣りではアンカリングが定番だ。高橋さんはヤマを見ていたけれど、ポイント選びはさほどシビアじゃないらしく、「試しにやってみましょう」とアンカーを投入する。
なんてったって1日100尾だ。仮にサオを出す時間を5時間とすれば3分に1尾だ。きっとホントの入れ食いなんだろう。ほかじゃ考えられない魚影の濃さに隊長は興奮気味。3本バリにアオイソメをたっぷり付けて仕掛けを入れた途端にヒット! するはずだったのにアタリがない。
一方、高橋さんはすぐにカレイを釣ったものの、
「こまいッスね」
と言って規定の18センチ以上なのにリリースしちゃった。写真撮らなくて大丈夫かなと一瞬思ったけど、そんな心配はどこ吹く風とばかりに次々と釣る高橋さん。かたや隊長に依然としてアタリがないのはなぜ?
「コヅいたほうがいいんですか?」
「同じッスよ」
「イソメの頭は食いが悪いですか?」
「関係ないッスね」
高橋さんに聞いてもツレない返事ばかり。どうしたものかと困り果てたそのとき、ガガガガッと振動ドリルなみのアタリが来た。反射的に合わせると、抵抗感のある手ごたえ。ヒキ具合はカレイでも、こんなにアタリが激しかったかな。不安に思いながら水面を覗いたら、小さなマガレイでひと安心。
隊長が釣れなかったのはたまたまだったみたいで、このあとは2人して仕掛けを落とせば当たる入れ食いに。たしかにこの釣れっぷりじゃ小細工は不要。高橋さんの返事もツレないわけだ。
高橋さんいわく、小樽のマガレイは20~30センチと比較的小型だが、海底にはカーペットみたいにたくさんいるという。関東以西では今やすっかり減ってしまったカレイがこんなにたくさん釣れるのは驚異的。カレイ好きなら一生に一度はこの入れ食いを体験すべき。カレイ観がすっかり変わるし、なにより幸せになれます。
カレイは十分すぎるほど釣ったので、次はトド岩の西の岩場へ移動。2人でアブラコを釣ったほか、高橋さんがホッケとエゾメバルを追加した。隊長もぜひ初ホッケを釣りたかったけれど、大満足の釣果だったし、風も強くなってきたのでこの日はサオを納めることにした。

ダルマさんが転んだ

 これまでの取材では、釣果を見たマリーナのスタッフはみな喜んでくれた。しかし、小樽は違った。持ち帰った魚を見て浮かない顔をしている。どうやら魚が小さいようだ。これでもけっこうな釣果だと思ったけど、北海道では物足りないみたい。
隊長が甘かったようだ。高橋さんも「こまいッスね」を連発してたしな。ならば大きな魚にねらいを絞って、翌日はヒラメ一本で出航した。
ご当地釣法のバケヒラメでは、冷凍オオナゴ(イカナゴ)をエサとするドウヅキ仕掛けにバケという独特のオモリを組み合わせる。釣り方はバケが着底したら少し底を切ってシャクリを繰り返すだけ。このとき、イトを張らずにバケを落とし込むと、横方向に不規則にスライドする。このランダムな動きでヒラメの食い気をあおるというわけ。
バケヒラメで面白いのは、「ダルマさんが転んだ」よろしく、アタリがあった瞬間にシャクリを止めて待つところである。アタリで合わせる普通の釣りとは正反対。「ヒラメ40」のように、動きを止めて本アタリを待つような釣法はあるものの、それは最初から待ちの釣り。バケヒラメのように、激しいシャクリの途中で突然動きを止めて食わせる釣りなんて、見たこともなければ聞いたこともない。はたして隊長にできるのか!?
ヒラメのポイントは赤岩山沖の水深30メートルの岩場である。ポイントに到着すると、まずは高橋さんの釣り方を観察した。シャクリの周期は3、4秒といったところ。バケのフォールとシャクリ上げのペースはほぼ同じだ。隊長も頭のなかで「ダルマさんが転んだ」を唱えつつ、見よう見まねでやってみると、いきなりヒット。瞬間、動きを止められたのはいいけれど、アタったのは「ダルマさんが転んだ」の「んだ」。だから、サオ先が60度くらい上を向いている。この姿勢で本アタリを待つのはけっこうツライぞ。

お!バケヒラメ

 あとは黙って本アタリを待つのだが、生きエサ釣りと違って、本アタリが来てもリールで静かに巻きアワセをするだけ。サオをあおるとバケの動きでハリが抜けてしまうんだとか。というものの、なにしろ初めてだから本アタリがわからない。ここぞというときに高橋さんに声をかけてもらうことにして、待つこと1分......2分......3分以上待っても一向に食い込まない。そこで思い切ってリールを巻いてみたら手ごたえがあり、上がってきたのはなんとホッケだった。釣りたかったのはヤマヤマだけど、今掛からなくていいんだよ、キミは。
ホッケはサバみたいな魚で、群れが来ると邪魔で釣りにならないらしい。ポイントを小移動し、バケヒラメを再開する。

隊長:齋藤海仁(かいじん)

【隊長:齋藤海仁(かいじん)】

お昼に立ち寄った祝津マリーナの食堂で、ソウハチガレイの浜焼きを食べた。脂の強いカレイでびっくり。でもなんでここの写真、食べてるシーンが多いんだろう。別に食いしん坊じゃないんだけどな。魚には目がないけど。

ロコ・アングラー

【ロコ・アングラー】

高橋 公一(たかはし・こういち)さん
仕掛け作りの職人にして、釣具店「シーボート」のご主人。もちろんボートアングラー。言葉少なに要点を喝破するのは北国の人だから? 一見、無愛想な感じでも、とても親しみやすくて誠実なお方でした。

 また「海藻がハリに触ったような」アタリが来た。瞬時にサオを止め、本アタリを待つと、今度はほどなくサオ先が引き込まれた! 水面近くで強烈な締め込みを見せた魚は、関東じゃ大型とは言えないながらもまずまずのヒラメ。「これは絵になるッスね」と高橋さんも胸をなでおろした様子。
結局、高橋さんが2尾、隊長が4尾釣ったところでアタリが遠のき、バケヒラメは終了した。大型と胸を張るほどの魚は釣れず、ちょっぴり引け目を感じながら、マリーナにヒラメを持ち帰ると意外にもみなニコニコ顔。そのわけを聞くと、小樽でこのサイズは立派な大物なんだそうだ。釣法だけでなく、魚に対する価値観も土地によってずいぶん違うもんだなあ。
カレイもアブラコもヒラメもよく釣れた小樽の海。新千歳空港から近いし、北海道に来たら、この豊かで豪快なボートフィッシングにチャレンジしない手はない。とにもかくにも、もったいないッスよ。

釣果カレンダー

釣魚カレンダー

 ターゲットの種類は少ないものの、とにかく魚影が濃い小樽の海。シーズン中であれば、カレイの100尾はあたりまえ。テクニックやタックルを問わないので、ファミリーフィッシングにもぴったりのターゲットだ。もちろん、アブラコ(アイナメ)も多い。注目は5月の一時期だけ小樽沖に回遊する人気のサクラマス。手強いターゲットだが、トライする価値はあるだろう。なお、12~2月はシースタイルの休業期間。

小樽周辺のフィールドマップ

小樽周辺のフィールドマップ

 茅柴岬から窓岩にかけての沖がおもな釣り場になる。カレイは水深20m前後の砂地、アブラコは水深25mの岩場、ヒラメは水深30m前後の岩礁が目安だ。ホッケは回遊魚なので、群れが回ってきたときがチャンス。安全対策上、小樽港内は指定航路以外、航行禁止。また、定置網や刺し網が多いエリアなので、マリーナが随時提供する定置網状況を必ず参考にすること。

小樽港マリーナ

北国では珍しく係留型で、北海道といえども365日24時間出航可能という驚くべきマリーナ。エサや仕掛けをはじめ、レンタルタックルも用意。初心者には釣りのガイド、インストラクターもアレンジしてくれる(有料)。シースタイル利用の場合はヒルトンホテルの割引サービスも。利用者の立場にたったサービスがとにかく充実している。

■交通アクセス
車利用=札樽自動車道小樽ICを降りてすぐ
電車利用=JR小樽築港駅から徒歩約5分

■問い合わせ先
住所:北海道小樽市築港5-7
TEL:0134-22-1311
URL:http://www.mw-otaru.jp/

今回使用したタックル

カレイとアブラコには、オモリ負荷30号前後でアワセがしっかり効く先調子のサオと、小型両軸受けリールの組み合わせが扱いやすく、手返しも早い。アタリがあったらシャクリを止める小樽流のバケヒラメには、バットパワーがありながら、食い込みのよい穂先を持つサオが適している。2.4~2.7m、オモリ負荷80号程度が標準だ。バケはけっこうな重量があるから、水深が浅くても電動リールは重宝するだろう。

【ROD】
バケヒラメに使ったのは7:3調子のダイワ・リーディング-Xネライ240M(右)。500gのバケをシャクるにはやや軟らかめだが、抜群の食い込みのよさで釣果を伸ばした。
●全長:2.40m
●継ぎ数:1本
●自重:310g
●オモリ負荷:30~150号<

カレイ、アブラメにはダイワ・リーディング-XA73?U(左)を使用。感度、操作性と食い込みのよさを両立させた、ボートフィッシングにピッタリの汎用性の高いモデル。
●全長:2.05m
●継ぎ数:2本
●自重:155g
●オモリ負荷:15~60号

【REEL】
ダイワ・シーボーグ300FB(右)は、PE4号が300m巻けて、楽に手持ちで使える最新の小型電動リール。水深は浅くても重いバケを使う釣りには重宝する。
●イト巻き量:PE4号300m、PE5号230m
●自重:530g
●ボールベアリング:18個

ダイワ・スマック100R(左)は、ロッドを握っている手でクラッチのON/OFFや、イトフケも巻き取れる、手前船頭のボート釣りにピッタリの小型両軸受けリール。
●イト巻き量:PE2号150m(エコノマイザー使用時100m)
●自重:250g
●巻き取り長さ:67cm/回転

ハンドルを回さなくてもボタンを押すだけでクラッチが入る「ワンプッシュONクラッチ」を採用。コードレスバッテリー「BM2000」と併用すれば、快適な手持ちのボート釣りが楽しめる。

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