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Vol.32 神奈川県・三浦半島

全国のマリーナでボートをレンタルして釣行脚。今回は神奈川県・三浦半島のコマセ五目をご紹介。

この記事はヤマハマリンクラブ・シースタイルのレンタルボートでの釣行です。

今回から、カートップボートの伝道師として知られる小野信昭さんが隊長に着任し、釣査隊のセカンドシーズンとして再出発する。ボート倶楽部2011年6月号 [ 文:小野信昭 / イラスト:名取幸美 ]

二代目隊長の自己紹介

今回から「マリンクラブ釣査隊」の隊長を務めさせていただくことになりました、小野信昭です。これまで約8年間続いてきた釣査隊の名を汚さぬようにしたいと思いますので、よろしくお願いします。
私はふだん、車載艇でボートフィッシングを楽しむカートッパーです。本誌でも連載「Nonoの旅」で一部をご紹介していますが、海沿いの全都道府県にマイボート〈友恵丸〉を浮かべることにチャレンジ中です。
もちろん、ホームゲレンデに通い詰めるだけでも、毎回違った表情を見せてくれる海の魅力を実感できますが、各地の海に浮かぶと新鮮さが加わり、海の魅力が倍増することも経験しています。
私はこれまで、ホームゲレンデ以外の海に浮かぶという楽しみは、可搬型ボートの特権だと思い続けていました。ところが、縁あってシースタイルのマリン塾に関わり、各地のクラブ艇に乗る機会が増えると、全国約140カ所で利用できるヤマハのシースタイルなら、カートッパーと同様に全国津々浦々の海に浮かび、島国日本の魅力を存分に味わえることを知ったのです。
マイボートとクラブ艇という違いはあるものの、可搬型ボートの場合は出航ゲレンデの心配や大がかりな準備が必要ですが、シースタイルの場合は極端な話、体一つで現地入りしても乗船が可能です。旅行のついでに利用して釣りイトを垂らすもよし、海側から観光地の景色を眺めてみるもよし。
この連載では、マイボートを所有していない人だけでなく、ボートオーナーのみなさんにも読んでいただき、島国日本のすばらしい海を満喫するキッカケになるようにご案内したいと思います。
今回は新任隊長である私にとっては記念すべき初回。釣査エリアの選定にもさんざん悩みました。まずは勝手知ったるゲレンデから、ということで選んだのが、ホームゲレンデである三浦の海。それでは元気よく、出動!

最強のロコアングラー

訪れたホームポートは神奈川県の三浦半島南側、マグロで有名な三崎町にある三崎港産直センター「うらり」。この名前は、"海(う)を楽(ら)しむ里(り)"、"魚(う)を楽(ら)しむ里(り)"が語源となっている。うらりには12店が出店し、マグロを主体に三浦の地魚、野菜、土産物などを販売しているが、その一角でシースタイルの業務を行っている。
そして今回のロコアングラーは、うらりに勤務する64歳の浅井宏信さん。遊漁船の船長経験のほか、プライベートでもマイボートで釣りを楽しむ、心強いアングラーだ。
年輩の遊漁船の船長の場合、漁師気質が残って少々気の荒い人が多いが、浅井さんにはきわめて温厚な印象を受ける。「実は4年前までサラリーマンでした」と少し照れくさそうな笑顔を浮かべた。どおりで温和な話し方をするわけだ。えっ、ちょっと待ってよ、事前に聞いていたのは遊漁船の船長のはず。詳しく聞くと、湘南・葉山で生まれ育った浅井さんはサラリーマンをしながら、週末には地元の遊漁船(仕立船)の船長を25年間もやってきたとか。
現在は、うらりから城ヶ島へ向かう渡船〈白秋〉の船長や、シースタイルのお客様対応の仕事もされている。プライベートでは19フィートと14フィートのボートを所有し、いろいろな魚をねらっているとのこと。

海況の悪さに大苦戦

うらりの桟橋から出航後、三崎港内を徐行しながら互いに自己紹介。城ヶ島大橋をくぐったところで「私は以前、あのあたりからマイボートを出していたのです。いまはボートを持ち込めなくなってしまいましたが」と説明した。すると、「えっ、僕も、せがれとあの場所へ何度も通いましたよ、トレーラーに19フィートのボートを積んで」と言って、ボートの特徴をいろいろ聞かせてくれて、驚いた。「私、そのボートのこと知っています! 何度も見かけて、おしゃべりしたこともあります!」。てっきり初対面だと思っていた浅井さんと、実は5年ほど前に接点があったことが判明し、互いにビックリした。
そんな昔話に花を咲かせながら、まずはアオリイカのポイントをめざした。安房崎を回り込んで城ヶ島の南側へ向かったが、思いのほかウネリが高い。それでもふだん私が乗っている13フィートのマイボートに比べれば、ず~っと快適だ。
浅井さんの指示でボートを進め、「このあたりでやりましょうか」という声に、私はスパイラル釣法で実釣スタート。魚探の画面には水深35メートル前後の海底が起伏に富み、いかにもアオリイカがいそうだ。
ところが、ボートの流れが速すぎ、ウネリもやや大きいので、とても釣りづらい状況が続く。これではアオリイカのアタリなど取れるはずがないと思い、中オモリ式に変更してラインのテンションを確保しつつ、エギの安定を図った。
この作戦がよかったのか?シャクり上げたロッドがガシッと止まった。思わず「キターッ!」と叫んでしまったが、たいして引かないのでアオリではなくコウイカかも......と内心思った。しかし、釣れ上がったのはコウイカですらなく、スナダコ......。コイツに罪はないのだが、かなりガッカリした。
その後、南西の風が強まったので城ヶ島の風裏に戻り、私はエギングやコマセ釣り、浅井さんはカワハギ釣りなどいろいろ試した。しかし、残念ながら結果に結びつかないまま涙の沖上がり。

浅井船長の本領発揮

一夜明けると、ウネリはやや収まったものの、北風に変わり、刺すような冷たさだった。それでも初日の釣果に納得がいかない浅井さんと私は、なんのためらいもなくマリーナを出航した。互いにこの海域のポテンシャルを知っているだけに、前日のような釣果で終わらせるわけにはいかない......と気合は十分だ。
この日はアオリイカをねらわず、コマセ釣法一本勝負。ポイントもあちこち移動せずにじっくり腰を据えてコマセを利かせる作戦で、とにかく絵になる獲物を確保することで意見は一致した。この作戦は、浅井さんがプライベートで楽しむスタイルそのもので、口ぶりから自信も感じられ、こちらも期待が高まった。
浅井さんの案内どおりに舵を切ること20分。GPS魚探には岩礁が映り、「この岩礁と平坦な海底の境目付近がねらい目だから」と聞かせてくれた。
剱崎沖(つるぎさき)には、いつものように遊漁船の大船団が形成されていた。魚探で水深40メートルほどのところに好ポイントを発見したのでアンカリング。むろん、船団から大きく離れた場所であることは言うまでもない。
いよいよ2日目の実釣スタートだ。
開始早々、浅井さんが良型のマアジを釣り上げた。幸先のいい魚のお出ましに私は喜んだが、浅井さんは喜んでいるようには見えなかった。相手がアジだとわかったので、私はアジを意識した誘いに切り替えた。ショートロッドの特性を生かして、激しくコマセを振り出し、上へ上へと誘うようにコマセの帯のなかへ付けエサを合わせた。するとサオ先がグンと入り、私も同サイズのマアジを釣り上げた。

それを見た途端、浅井さんに笑顔が戻った。そうか、浅井さんは遊漁船の船長経験から、自分よりも乗客が釣ってこそ喜べるのだ......。真偽は定かじゃないが、きっとそうだと思った私は、スイッチが入った。その後もおもしろいように良型マアジを釣り続け、イケス内が見る見るうちに満たされていった。

2時間ほどマアジ釣りを楽しんだ後、「マダイの実績が高い場所へ移動しましょうか」と言って浅井さんが舵を握り、水深50メートルのポイントへ移動した。早々に私がマアジを釣り上げたが、それを見た浅井さんが困り顔で「ありゃ、ここでもマアジなの......」と、遊漁船船長の片鱗をうかがわせた。
ところが次の投入で、ついにマアジとは異なるヒキがサオ先に届いた。たいして引かないが、明らかに異なるヒキだ。水面下にピンク色の魚体が見えてきた。「ヤッター、タイだ!」
でも、よく見るとマダイではなくハナダイ(チダイ)。型も20センチ級と小さかったが、マアジ一色だったイケスに、鮮やかな紅一点となる魚が加わった。その後、チダイが4尾ほど釣れ続いたのは、浅井さんのポイント移動のおかげだ。

結局、マダイに巡り合うことはできなかったが、十分な釣果も得られたのでストップフィッシング。うらりへ向けボートを走らせた。
冒頭では、各地の海に浮かぶことの魅力を力説したが、ホームゲレンデに通い詰めることで、浅井さんのように確率が高い釣りが可能になることも事実。そのどちらの楽しみ方も可能なのが、シースタイルの魅力だと再認識した。

隊長:小野信昭(おの・のぶあき)

【隊長:小野信昭(おの・のぶあき)】

1963年東京生まれ、神奈川県在住。DAIWAフィールドテスター、ヤマハマリン塾「ゼロから始めるボートフィッシング講座」の企画・運営に携わる。著書に『必釣の極意』(舵社刊)、共著に『魚探大研究』(同)など。ダイビングの経験も豊富。本誌に「Nonoの旅」を連載中。ウェブサイト「気ままな海のボート釣り」
http://homepage3.nifty.com/miniboat/

今回のロコ・アングラー

【今回のロコ・アングラー】

浅井宏信(あさい・ひろのぶ)さん
サラリーマン時代、週末にはアルバイトで遊漁船の船長を務めていた。また、プライベートでもマイボートで釣りを楽しむベテランアングラー。三崎周辺のポイントやターゲットは浅井さんに聞こう。

釣果カレンダー

釣魚カレンダー

ここでは紹介しきれないほど多くの魚をねらえる魅力的なエリアだが、その分、遊漁船が多いので、釣りをする際には見張りの励行をお忘れなく。今回の釣査では海況がやや悪かったこともあり、沿岸部に近い比較的浅場に生息するマダイやアジ、アオリイカ、カワハギをねらったが、海況さえよければ中深場はアマダイやオニカサゴ、さらに深場ではアカムツやキンメダイもねらえる。

三浦半島のフィールドマップ

三浦半島のフィールドマップ

三浦半島南端の城ヶ島周辺海域は、東京湾の潮と相模湾の潮がぶつかり合い、さらに南から黒潮の分流も入ってくる神奈川県屈指の一級エリア。東側の剱崎沖・松輪瀬海域にはマダイやアジ、イサキなどの好漁場が広がるが、密集する遊漁船団に近づくのはマナー違反。この海域には広く複雑な海底地形が連なるので、魚探を使って自分だけのポイント探しを楽しもう。

三崎港「うらり」

観光客でにぎわう三崎港産直センター。家族で訪れ、みんなでクルージングを楽しむのもよし、お父さんは釣り、家族はご当地グルメ&お土産ショッピングというプランも可能だ。午前7時の出艇(2回目以降)はとても魅力的であり、リピーターが多いのもうなずける。

■交通アクセス
横浜横須賀道路衣笠IC→三浦縦貫道路→国道134号線→引橋交差点→県道26号線→三崎港

■問い合わせ先
神奈川県三浦市三崎5-3-1
TEL:046-881-6721
営業時間:午前9時~午後5時。クラブ艇の出艇は午前9時~午後4時。
2回目以降の利用は午前7時出艇も可能
定休日:なし
http://www.umigyo.co.jp/

今回使用したタックル

コマセ五目には、ライトゲームロッドに手返しの効率を考えた小型電動リールの組み合わせ。コマセバケツなどで足元が狭くなるので、コードレスバッテリーをセットした。さまざまなターゲットに適応する、釣査には欠かせないタックルだ。エギングにはスパイラル釣法と中オモリ釣法の両方に対応できる、汎用性の高い一つテンヤ用ロッドをチョイス。

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