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ヤマハ発動機株式会社 Revs Your Heart

ヤマハマリンクラブ・シースタイル

Vol.02 仙台湾

全国のマリーナでボートをレンタルして釣行脚。今回は仙台湾のカレイとアイナメをご紹介。

この記事はヤマハマリンクラブ・シースタイルのレンタルボートでの釣行です。

今回は、冬でもホットな釣りシーン真っ盛りという仙台湾のカレイとアイナメ。日本有数のディープな釣り文化を誇るご当地事情を、季節感たっぷりの東北の海で体験だ。ボート倶楽部2004年3月号 [ 文:齋藤海仁 / イラスト:名取幸美 ]

南へ行くか、北へ向かうか

 冬ですねェ。
冷たい北風が海面を洗うこの季節。海は荒れやすいし、沖に出ればやっぱり寒い。シーズンオフと決め込んでボートに休暇を与える方も多いのでは?
ところが、全国120カ所で展開するヤマハSRVレンタルボートクラブには季節風などどこ吹く風。全国の拠点を眺めてみれば、北寄りの風に強い地形や、寒さと無縁の南の島など、ムラムラと釣欲を刺激する豪華メニューが目白押し。ナニはなくても釣りさえしていれば幸せな釣査隊にはうれしい限りなのだ。
そこで、今回選んだのが仙台湾である。東北随一のボート釣り情報発信基地、宮城ボートマリーナからの出艇だ。
地図をご覧になればわかるとおり、北側をぐるりと囲まれた仙台湾は北風に強く、おいしいカキが育つ閉鎖性海域の松島湾内はさらに穏やか。おまけに、東北の厳しい冬将軍にもめげずホットな釣りシーンを繰り広げるカレイ、アイナメとターゲットも文句ない。そりゃあ暖かい沖縄とかも魅力的だけど、冬の釣りを思いっきり楽しむんだったら、仙台のほうが季節感があるというもの。名物のカキも旬、真っ只中だし。

冬にめっぽう強い海

 かの伊達政宗公が開いた日本一の運河、七ヶ浜の貞山堀に面した宮城ボートマリーナに到着したのは午前8時過ぎだった。気圧配置はねらいどおりの西高東低でカンペキ。のはずだったが、空にはなぜかどんよりと厚い雲がかかっている。しかも、北西の強風がヒュールリ~、ヒュールリ~ララ~と・・・。
携帯であらためて天気予報を確認してみると、「北西から西の風がやや強く」、なんと「波、ウネリは4メートルのち3メートル」。天気概況によれば、この日は東北上空を猛烈な寒気団が襲い、冬型は冬型だが天気はあいにくの曇り空とのこと。
果たしてボートを出せるのか気を揉みつつ、宮城ボートマリーナのお店のドアを開ける。我々を迎えてくれた今回のロコ・アングラーは、マリーナのレンタルボート担当である白根啓徳さんと、実家が松島湾の元漁師という内海卓一さんだ。
すぐにSRVレンタルボートクラブの手続きを済ませ、作戦会議を開いた。その結果、まずはカレイが確実に釣れる大型魚礁へ向かってみて、状況が厳しければ松島湾の周辺でアイナメとカレイをねらう方針に決定。
大型魚礁までは最短で10数マイルある。1級免許のある人ならトライする価値は確かにあるけれど、問題は遠いことで、この風だと荒れる可能性が大。もちろん、そこまで行かなくても、近場の大根や中根でも釣果は十分期待できるし、カレイ以外はこちらのほうが断然いいらしい。松島湾周辺ならこの風でも問題ないというから、やっぱり冬にはめっぽう強い場所なのだ。

前菜はウキフカセ

 貞山堀から塩釜港の間口をかすめて東に転針し、左手に松島湾の島々を眺めながらレンタル艇は快調にクルーズする。松島湾のなかはまったく穏やかだったが、花淵埼をかわして航路が途切れるあたりになると風波とウネリが高くなった。そして、大根の先に出たころにはさらに沖へ進むのが厳しくなってきた。
これじゃ大型魚礁へ行くのは無理だろう。最近、関東以西ではめっきり釣りにくくなったカレイが"確実に釣れる"パラダイスの目の前で引き返すのは残念だけど、仕方がない。
仙台湾大型魚礁のカレイ釣りといえば、いいときなら一束を超える数釣りが可能(!)で、なにより超ディープな釣り文化がウリ。独特の派手な仕掛けから、コヅいたあとのビミョーなモタレで合わせるといった釣り方まで、釣りに関するバリエーションは実に多彩。実際、行きがけに立ち寄ったお店でも、"前ブレ"、"競技"なんて気合が入ったサオや、まるで携帯ストラップみたいな仕掛けが所狭しと並んでて、見ているだけで大いに楽しかった。仙台に行ったらぜひ一度釣具店に行くことをおすすめします。
とはいえ、4メートルのウネリとケンカしても勝てるわけがないので、ここは作戦どおり松島湾周辺のアイナメとカレイに切り替えた。とくに松島湾周辺には今どき珍しいウブなアイナメが多いらしく、久々にそんな魚と遊ぶのも楽しみだ。

懐かしいアイナメの首振りダンスに感激

 さっそく向かったのは、松島湾湾口の真っ正面にある中根。アイナメ、カレイだけでなく、時期によってはヒラメやイナダ、メバル、ソイなどの代表的な魚がひと通り釣れる好ポイントである。底は砂地混じりの岩礁で、今の時期はアイナメとカレイが同時にねらえるという。波は高くなかったものの、やはり風が強く、魚探を見て水深20メートル付近の根周りにアンカーを打った。
アイナメはカレイ仕掛けで釣れるため、まずはカレイ仕掛けでねらってみる。エサはカレイならアオイソメ、アイナメならイワイソメがよく、僕は両方を使ってみた。オモリは水深に合わせて20号だ。
様子見で最初はボート下に投入。潮はさほど速くない。ボートがいい具合に風で振られている。仕掛けが着底してイトフケを出すと、ピリピリッと感電したようなアタリがラインを走った。
体が、腕が、反射的に合わせた。
このアタリ、そして首を振る独特のヒキはアイナメに間違いない。アイナメは僕のホームグラウンド、東京湾でも盛んだった釣りもので、さんざん通ったことがある。ふるさとの親友に再会したような懐かしいこの手応えに胸の奥がじんわり温かくなった。
で、のっけからこの調子ならと仙台湾でもポピュラーなブラクリ仕掛けにチェンジ。すると、いいリズムでアイナメが掛かってくる。白根さんと内海さんもカレイ仕掛けで次々にヒットさせた。
確かに仙台湾のアイナメは食い込みがよくてウブなご様子。東京湾では最近めっきり数が減ってごぶさたしているけれど、イトフケでアタリを取るブラクリの探り釣りはやっぱり面白いと痛感――。
これほどアイナメがねらって釣れるなんて、とても贅沢な仙台湾である。

マリーナ前で1パイやっか

 たっぷりアイナメ釣りを楽しんだあとは、「せっかく仙台に来たんだからできればカレイの顔も拝みたい」という僕のワガママにより、次は浅場のカレイねらいで松島湾内へ移動した。
浜名湖の約半分の面積に230もの島が浮かぶ松島湾はまるで迷路みたいで、GPSプロッターがなければすぐ迷子になりそうだ。しかも、平均水深が3.5メートルで、暗礁が多いから航行には大変気をつかう。それでも冬はカキ棚のおかげで航路がわかりやすいが、ときどき満潮になると隠れるカキ棚があるらしい。だから波の立ち方をよく見て注意してください、と内海さんがアドバイスしてくれた。
松島湾内では桂島~寒風沢島間の石浜水道と、鐘島~馬放島間の鐘島水道が2大カレイポイントとのこと。最初は手前側の石浜水道から試してみる。
アイナメに続いて、北の海なんだからカレイもばっちりだろう、と勝手に思い込んでいた僕が甘かった。ボート釣りでそんなにウマい話ばかり続くわけがない、よねェ。湾内では実績が高い置きザオ釣法にトライしても、アタリはおろかエサも取られない。
しばらく粘ってもウンともスンとも言わないので、次は思い切って寒風沢島と宮戸島の間にある鰐ヶ淵水道へ行き、大きく場所を変えてみた。ここは潮流が速く、川みたいな流れの脇にある砂地でエサを待つカレイをねらう魂胆である。
だが、ここでも魚の反応は皆無。アンカーをまめに入れ替えて細かく探ってみても結果は同じ。内海さんによれば、ここまで釣れないのはとても珍しいという。急激な強い冷え込みのせいで、浅場のカレイはすっかり元気をなくしてしまったようだ。
まあそれでも、ねらいどおりにアイナメ釣りが楽しめたから今回は大満足、と最後の最後に仕掛けを上げたときだった。な、な、なんと、イシガレイが釣れたのである。
型こそ小さいけどカレイはカレイ。何事も、やっぱり最後まで諦めちゃいけないんだよなぁ。このとき、隊長の目にうっすらと涙がにじんだのは決して強い北風のせいではなかった。
それにしても、さすがに日本三景のひとつだけあって、松島湾の絶景は実に見事。俳聖・松尾芭蕉が絶句したのもうなずける。この景色のなかでクルージングを楽しむだけでもレンタルボートを利用する価値はあるというもの。
そういえば、初回の若狭湾にも日本三景の天橋立があったっけ。ということは、次は安芸の宮島がある広島なの!?

隊長:齋藤海仁(かいじん)

【隊長:齋藤海仁(かいじん)】

昔取ったなんとやらで、仙台湾のアイナメを堪能した隊長、齋藤海仁(さいとうかいじん)。久々の入れ食いモードに気分は上々。仙台湾、熱いっス。

今回のロコ・ガイド

【今回のロコ・ガイド】

左から白根啓徳(しらねひろのり)さんと内海卓一(うつみたくいち)さん。白根さんは宮城ボートマリーナのレンタルボート担当スタッフ。得意種目はルアー釣り全般。内海さんは松島湾の遊覧船船長をしており、実家は桂島の元漁師。仙台の海を知り尽くした最強のタッグチーム。

釣果カレンダー

仙台湾の釣魚カレンダー

 大型魚礁は広大な砂地に点々とブロックなどが埋もれているだけなので明確な目標物はない。1級免許を持っていれば、ナギの日に試してみる価値はあるだろう。大根と中根は仙台湾の超1級ポイント。レンタルボートでは一番のねらいめだ。
松島湾内では周年アイナメとカレイがねらえるほか、秋には名物のハゼ釣りも盛況。仙台湾は南風に弱く、南寄りの風で波高2.5mの予報だと出航はまず不可能。また、松島湾の内外で海況ががらりと変わるので油断は禁物だ。

仙台湾のフィールドMAP

宮城ボートマリーナ

レンタル艇は、GPS魚探や置きザオ釣法に対応するロッドホルダー、ウインドラスなど、釣り艤装がとても充実。ご当地に合ったレンタルタックルもある。東北随一のボートフィッシングクラブ「くろしおFC」の拠点であり、マリーナのスタッフも全員釣りをするため、釣りのケアは万全。実に頼もしいマリーナだ

【交通アクセス】
クルマ利用=仙台駅より約30分。国道45号線経由で下馬5丁目交差点を右折、貞山橋を渡ってすぐに左折
電車利用=仙石線下馬駅からバスで約15分

【問い合わせ先】
〒985-0823 宮城県宮城郡七ヶ浜町遠山5-4-12
TEL:022-362-7563
http://www.kuroshiomarine.co.jp/

今回使用したタックル

 カレイ釣りでは専用のサオや仕掛けがたくさん市販されており、それを選ぶのも楽しみのひとつだ。図はもっとも一般的な3本バリのテンビン仕掛け。アイナメもタックルは共通だが、ブラクリや直結仕掛けも効果的。

左:【ROD】
大型魚礁のカレイ専用調子に設計された「ダイワ・早技カレイ小突き30号160」。元ザオ着脱ワンピース式で調子と感度を追求。一日中小突いていても疲れない超軽量感が特徴。
●全長:1.6m 
●オモリ負荷:25~40号

【REEL】
マシンカットモノコックボディの、海用小型両軸受けリールの最高峰「ダイワ・ミリオネアCV-Z 100FL」。Lは左ハンドル仕様。
●イト巻量:PE2号-130m

右:【ROD】
フレックスカーボンソリッドを採用し、小突きやすさと大型カレイが掛かってからの粘りを追求したニューモデル「ダイワ・アナリスター・カレイ160」。ボートのアイナメにも使い勝手抜群だった。
●全長:1.6m
●オモリ負荷:25~40号

【REEL】
サビや塩ガミに強いボールベアリングCRBBを搭載した「ダイワ・ダイナミック150SF早技」。スーパーフリースプールで仕掛けの落下も速い。
●イト巻量:PE3号-150m

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