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Vol.06 広島県・広島湾

全国のマリーナでボートをレンタルして釣行脚。今回は広島県・広島湾のメバルをご紹介。

この記事はヤマハマリンクラブ・シースタイルのレンタルボートでの釣行です。

今回のテーマはボートフィッシングのメッカ、瀬戸内海のメバル釣り。熱いファンが多いご当地事情を探るべく、早春の広島へ向かった。ボート倶楽部2005年6月号 [ 文:齋藤海仁 / イラスト:名取幸美 ]

某月某日、某釣具店

「ここんとこ、メバルはどうですか?」
「あんまりよくないねぇ。この前の寒波で急に水温が下がってさ。やっと釣れる場所を見つけても、翌日にはさっぱり。ムラが大きくて、けっこう難しいよ」
3月初めのとある早朝、広島ベイマリーナにほど近い京橋川沿いの小川釣具でのひとコマである。今回のターゲットは春告魚と呼ばれるメバル。時期が時期なのもあるけれど、瀬戸内海のメバルをぜひとも釣りたくて、隊長は広島に来たのであった。
たかがメバルと言うなかれ。瀬戸内海のメバル釣りといえば、仙台のカレイに負けないくらい"濃い"釣りだ。その真相を釣査すべく、念願叶って広島湾まで足を運んだ次第。それなのに、エサを買いに来た釣具店で耳にしたのは厳しい言葉ばかり......。
だが、救いはあった。
「おたく、どこから来たの?」
「東京です」
「そうかあ。はるばる遠くから来たんだから、少しだけポイントを教えてやるよ」
「ほ、ほんとですか? ぜ、ぜひお願いします!」
「釣れるかどうかはおたく次第だけどな。こちとらメバルひと筋30年。面白いぞ、メバルは。攻めの釣りに加えて、腕の差がはっきり出る」
「がんばります。それと、もひとつ聞いていいですか」
「なんだい」
「大きいのを釣る方法ってあるんですか」
「ある」
元プロボクサーの店長は分厚い胸を張って答えてから、声を潜めて静かに言った。
「1尾掛かっても、すぐに仕掛けを上げないこと。大きいヤツは追い食いで掛かる場合が多い。それと、誘い下げは3段階にして、仕掛けは静かに底に下ろすこと。最後にオモリを底で"カチ"言わしたら食わん。いいか、"カチ"言わしたら食わんぞ」
店長の話を聞き終わるやいなや、この時期定番エサのモエビ(シラサエビ)をしこたま買い込んで、マリーナへ向かう隊長であった。

ハーバーマスターにびっくり

 広島市の中心部から広島ベイマリーナまでは車で20分ほど。釣具店のある宇品地区までは市街地続きだが、その先の宇品島に入ると景色は一変する。宇品島の半分強は瀬戸内海国立公園となっており、緑豊かな照葉樹林が多く残されている。広島ベイマリーナはその東岸にあった。
レンタル艇のスタートは午前9時からなので、9時少し前に到着。広島ベイマリーナに入って若いスタッフにハーバーマスターの所在を聞くと、なんとご自身がハーバーマスターとのこと。竹野弘史さん、28歳だ。失礼いたしました。IT業界じゃないが、マリン業界でも若い力が活躍中と知ってうれしくなった。
とはいえ、竹野さんのキャリアは並ではない。子どものころから父親に連れられてボート釣りにはまり、車より先にボートの免許を取ったという。おまけにオールソリッドの自作メバルロッドを引っさげてのご登場である。自作のサオを持って登場したハーバーマスターなんて初めてだ。さっきの釣具店といい、竹野さんといい、さすが広島である。
竹野さんにはガイドとして同乗していただくことになっている。所定の手続きを済ませ、さっそく作戦会議。竹野さんも「最近のメバルは厳しい」というので、まずは?怎<oル一筋30年?揩フ話を頼りにポイントを回ってみることにした。
頭の上は今にも泣き出しそうな曇り空。風は北寄りの微風。ただの物見遊山には生憎のこの天候も、?怎iギを釣れ?揩フメバルには絶好のチャンス。釣況はシビアでも、今日の神様はゼッタイ隊長の味方についている(ような気がする)。ムードは満点。気合十分。ついに瀬戸内海のメバル釣りを体験できるとあって、いささか興奮気味の隊長である。

魚探でメバルの反応を確認

 最初のポイントはマリーナの約1マイル先に浮かぶ金輪島南の馬の背だ。メバルのポイントは点在しているが、まずは竹野さんも知っている近場で様子見である。
金輪島にはあっという間に到着。島の南端である札ガ鼻の手前で速度を落とし、岬を輪切りにするように走って魚探をかける。
島からさほど離れていないのに水深が30メートル超とけっこう深い。馬の背が思ったほど急じゃないので、次は尾根筋を岬の先端に向かって走ってみた。すると、岬から20メートルくらいのところで画面のボトムラインが一気に立ち上がった。てっぺんで水深15メートルほどになり、それを過ぎるとまたストンと落ち込む。どうやら大きな岩でもあるみたいだ。根の肩では藻とメバルらしき反応も出ている。ここがねらい目であることは間違いないだろう。
メバルザオに手を伸ばした。
この時期のメバルには、ドウヅキ仕掛けにモエビエサが定番なのは取材済み。エサのモエビは、背中側から尻尾の先をチョン掛けにする。釣り方は、一度底を取ったらタナを切って静かに仕掛けを上下させる誘いの繰り返しだ。このときに?怎Jチ?搆セわしたら絶対ダメ。すなわち、メバルは静かに誘うのが鉄則ということだろう。
ハリにモエビを付けて仕掛けを投入。オモリが着底する直前から親指でスプールを押さえ、ソロソロと仕掛けを底まで下ろし、誘いをかける。と、ガガッと明確なアタリが来た。
エビメバルにアワセは不要。適度な締め込みのあとで、さらに追い食いを待つのが大物のねらい方、とわかっちゃいるが、まずは広島湾のメバルとのご対面を果たすべくリールを巻き上げる。
キュキュキュイーンとイトが鳴るほどの小気味よいヒキだ。よしよし。目のいいメバルは細ハリスが常識。繊細な仕掛けと胴調子の長ザオで味わうシャープなヒキこそメバル釣りの醍醐味である。
で、めでたく広島湾のファーストメバルをキャッチ。クリッとしたお目めが相変わらずかわいい。隊長はメバルを釣るとなぜか胸が少しキュンとなる。それがこの目のせいなのか、無邪気なヒキのせいか、春告魚だからなのかよくわからないんだけどね。
余談はさておき、ほどなく竹野さんもメバルをキャッチ。たちまち2尾目で滑り出しは好調だったが、後が続かない。魚探の反応はまだあるのに、ときどき訪れた小さなアタリもまったく遠のいてしまった。これがウワサの厳しさなのか。そこで、この場所を早々に見切ることにした。

メバルのち世界遺産の超豪華プログラム

 次に向かったのは通称"小弁天島"の北側である。そのすぐ南には"大弁天島"がある。この2島は細長く、兄弟のように南北に連なっている。ということは、海中でも南北方向に根が延びている可能性が大。もしその隠れ根が見つかればしめたもの、という魂胆だ。
というのはウソっぱちで、実はここに根があることを小川釣具で教わっていたのだった。しかも、大弁天島が小弁天島にすっぽり隠れる場所、とまで聞いている。
大弁天島が小弁天島の陰になるようボートを進めて魚探をかけると、あるある。やはり水深20メートル弱を頂点とした険しい根の連続だ。メバルの反応もばっちり。金輪島沖のポイントより広いが、くまなくチェックして、ここぞと思しき場所に仕掛けを投入した。
ガガガッっていきなり来たぞ。よし、今度は粘ってみるか。次のガガガッは2尾目かな。もうちょい我慢して......まだまだ当たっている・・さて、このへんでいい加減仕掛けを上げてみよう。キュンキュン引くけど、今度は重量感のある手応えで、おっと、しっかり3尾掛かってるよォ。やった!
でも、サイズは今ひとつだなあ、と思ったら竹野さんが良型を釣っている。実は渓流のテンカラも大好きな竹野さん。とても繊細な釣技の持ち主で、隊長には釣れない大物をしっかりキャッチしてました。
このポイントはしばらく釣れ続いた。結果、釣れるエリアはそこそこ広いものの、本当にいい場所はピンポイントであることが判明。瀬戸内海のメバルでは二丁アンカーが主流なのも納得。今回のレンタル艇にも、実はアンカーが2個備えてある。ただし、機動力に劣る二丁アンカーは釣査隊には不向き。また、アンカリングするときは周囲の迷惑と安全面には常に気を配ろう。
やがて、天気が回復するにしたがってメバルの食いが落ちたので、せっかくだから安芸の宮島観光としゃれ込むことにした。宮島には世界遺産の厳島神社がある。ボートなら海から厳島神社を眺められるし、上陸もできる。レンタルボートで世界遺産観光だ。なんて贅沢なんだろう。
そういえば、安芸の宮島は日本三景のひとつでもある。天橋立と松島にはもう行ったっけ。これで日本三景も完全制覇だ。北は北海道から南は沖縄まで、日本の海を網羅するヤマハSRVレンタルボートクラブ。はっきり言って、楽しさ満載です。

隊長:齋藤海仁(かいじん)

【隊長:齋藤海仁(かいじん)】

宮島でもみじ饅頭を手にとてもうれしそうな隊長。竹野さんいわく、もみじ饅頭はこの藤井屋がおすすめ。焼きたてのもみじ饅頭1個とお茶で90円なり。ちゃんとお茶席で休憩できますよ。

ロコ・アングラー

【ロコ・アングラー】

竹野弘史(たけの・ひろふみ)さん
今回のガイドは広島ベイマリーナの若きハーバーマスターだ。地元の海を知り尽くし、自分のフィッシングスタイルをしっかり持ったエキスパートアングラーである。

釣果カレンダー

釣魚カレンダー

 瀬戸内海のなかでも最奥部にある広島湾は、暖かい外潮の影響が少なく、周囲より水温が低め。そのため、アイナメ、メバル、カサゴなどが多く、生物相は東北などの亜寒帯に近い。ところが、最近は温暖化のせいで、カワハギやメジナといった暖海性の魚が増え、釣れる魚が徐々に変化しているようだ。ちなみに、ロコが熱心に追いかける30センチ級のメバルは沖へ出るほど確率が高いとのこと。

広島湾周辺のフィールドマップ

広島湾周辺のフィールドマップ

 南に口を開けた湾だが、東に大きな島があるため、荒れやすいのは西~南寄りの風まで。西~南の風では波高1メートルまでが出航可能の目安だ。西風は冬に、南風は夏に多い。また、マリーナ周辺は朝夕にフェリーの往来が激しくなる。牡蠣イカダおよびイカダを曳く船の曳き綱にも注意。浅瀬は岸に近づかなければOK。

広島ベイマリーナ

ゆっくりくつろげるクラブハウスとシャワー(無料)を完備。ハーバーマスターをはじめ、ボートを保管するオーナーにも熱心なアングラーが多いので、イキのいい釣り情報も手に入る。レンタル艇の利用時間が9時~17時半の間と幅が広いのもありがたい。広島市内からのアクセスもよく、広島湾を遊ぶベースには最適

■交通アクセス
電車利用=広島電鉄宇品線元宇品口駅より徒歩約15分

車利用=山陽自動車道広島東ICから約17km。広島港に向かい、元宇品口から元宇品島に入って約5分。広島プリンスホテル手前

■問い合わせ先
住所:広島市南区元宇品町42-17 TEL:082-255-0858

今回使用したタックル

 向こうアワセでしっかり食い込ませ、細ハリスでシャープなヒキに応じるエビメバルでは、胴調子の長ザオが一般的。できれば専用ロッドで臨みたい。ハリはフトコロが広い細軸タイプ。ハリスは1号前後が標準的。今回は小川釣具のオリジナル仕掛けが一番利いた。なるべくシンプルで目立たない仕掛けがいいようだ。ちなみに、メバルのエサとなるシラウオが入るとフラッシャーサビキ、キビナゴの回遊時期にはカブラバリが活躍する。

【ROD】
ダイワ「スーパーインターライン浦舟メバル400DRY」(右)は、超撥水内面ドライ加工を採用した、6:4調子の振り出し式中通しメバル専用ザオ。未体験のイト通りのよさと、しなやかで食い込み抜群の調子にはきっと感動するはず。
●全長:4.02m
●継ぎ数:4本
●自重215g
●オモリ負荷:5~40号

ダイワ「アナリスター・メバル270」(左)は向こうアワセでスムースに食わせるしなやかさと、根に潜られるのを防ぐ粘りを持つ外ガイド仕様。絡みにくいガイドやトリガーシートの採用など、快適性にもこだわった5:5調子モデル。
●全長:2.70m
●継ぎ数:2本
●自重160g
●オモリ負荷:10~30号

【REEL】
ダイワ「スマック100R」(右)は、片手でクラッチのオン・オフができるうえ、レバーを押すだけでイトフケが取れる世界初の機構を持つ小型両軸受けリール。サビに強いベアリングCRBBを採用し、キャスト性能にすぐれたマグフォースブレーキも搭載。
●イト巻き量(PE):2号150m(エコノマイザー使用時100m)
●自重:250g
●巻き取り長さ:67cm/回転

ダイワ「ラウル150L早技」(左)は、仕掛け落下の早いスーパースプールフリーや、押している間だけイトが出る棚クラッチなど、ツボを押さえた船用丸型リールの2005年モデル。もちろんCRBB採用。
●イト巻き量(PE):2号150m(エコノマイザー使用時100m)
●自重:280g
●巻き取り長さ:61cm/回転

「スマック100R」は親指1本でイトフケを巻き取れる、話題沸騰のリール。ボートのステアリングが右舷側にあるならサオは右手で持つので左ハンドルの100L、左舷側にあるなら右手巻きの100Rを使えば、手前船頭の流し釣り最強モデルとなる。

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