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Vol.14 岡山県 児島半島

全国のマリーナでボートをレンタルして釣行脚。今回は岡山県 児島半島のイイダコ、ママカリ、ブッコミ五目をご紹介。

この記事はヤマハマリンクラブ・シースタイルのレンタルボートでの釣行です。

今回のフィールドは瀬戸内海の小豆島周辺。岡山県の岡山港から出艇し、並みいる名物ターゲットにチャレンジだ。ボート倶楽部2006年12月号 [ 文:齋藤海仁 / イラスト:名取幸美 ]

釣具店で"ご当地チェック"

 岡山市街から今回のベース、宮浦マリーナへ向かう道沿いには釣具店が並んでいた。そのうち一番大きな一軒に入ってみる。釣り道具屋を覗くのは地方取材の楽しみのひとつ。いまだに地域性が豊かだからネ。
店に入るなり歓迎してくれたのは、ワゴンに山盛りのイイダコテンヤ。パール型、羽子板型、遠投仕様など、種類もいろいろ、重さもいろいろ。こんなにイイダコテンヤを見たのは初めてだ。人気のほどがうかがえるゾ。
仕掛けコーナーの一等地を占めていたのはやっぱり!岡山名物"ママカリ"サビキ。ママカリとはサッパのことで、隣の家にママ(飯)を借りに行くほどうまいことが名前の由来とか。関東じゃさほど人気がないけれど、岡山の郷土料理「祭り寿司」には欠かせない魚。吉備団子と並ぶ岡山の星である(と思うのは光モノ好きの隊長だけ?)。
マダイ仕掛けも目立つ場所にあった。目下大ブレイク中のゴムカブラと、紀淡海峡でも使われるサビキが主流みたい。でも、ユムシやコウジや生きエビもあったから、きっといろんな釣り方があるんだろう。充実の品揃えはさすが岡山。せっかくだから、名物のママカリを釣りたいもんだ。
「あのぉ、東京から来たんですけど、ボートでママカリって釣れますか?」
「たぶん釣れると思いますよ。ムラはありますけどね。もしダメだったら、ぜひともイイダコを釣ってってください」
と、店員が勧めるままにママカリサビキとイイダコテンヤを買い込む隊長であった。

瀬戸内海有数のエリア

 今回、岡山に来たのはご当地のディープなボート釣り事情を知りたかったからである。宮浦マリーナの母体である岡山マリンは、実は瀬戸内でも有数の売り上げを誇るプレジャーボートの販売店。そのほとんどがフィッシングボートというから、相当"濃ゆい"エリアであることは間違いない。
宮浦マリーナは岡山駅から10キロほど離れた岡山港の半島側にあった。児島半島は昔は島だったらしいけれど、奈良時代に始まった干拓と環境の変化で陸続きになったという。
マリンクラブのご担当は山下 博さんである。宮浦マリーナのエリア設定はとても広く、見どころも多い。1日ですべてを取材するのは無理なので、今回は最初からしっかり2日間かける予定にした。安全講習と一緒に打ち合わせをしたところ、1日目は山下さんと手軽なイイダコとママカリをねらい、2日目はマリーナのエキスパートとマダイをねらうことに決定。予想どおりの盛りだくさんである。
ずいぶん豪華なメニューだけど大丈夫かな? 釣れるかどうかも心配だけど、釣れたら釣れたでページが足りなくなっちゃうかもよ!?

その感触がクセになる

 しょっぱなはイイダコねらいで豊島の北にある団子瀬へ。ここは水深20メートルから数メートルまで一気に立ち上がる代表的なイイダコポイントである。航程はマリーナから7~8マイル、約20分ってところ。
平日だというのにすでにプレジャーボートが10艇以上集まっていた。スパンカーと瀬戸内ならではの屋形と呼ぶオーニングを装備した、本格的な和船や小型のランナバウトなどタイプはさまざま。釣り人も本格派の釣りキチからビギナーまで入り乱れている。やはりイイダコは人気のようだ。
船団の端っこに回って魚探を覗くと、水深は5メートル前後。山下さんいわく、風と潮によっては操船が必要な場合もあるけれど、イイダコは広範囲にいるので基本的にはボートを放っておけばいいという。
さっそくサオを出してみる。イイダコテンヤは60グラムもあるうえに、水深が浅いからたしかにイトは立ちやすい。この日は風も潮も弱かったので操船は不要。
マダコとスミイカの経験はあるものの、イイダコは初めての隊長。山下さんに釣り方を聞けば、テンヤが底に着いていさえすればイイダコは簡単に釣れるという。そんなこと言われても、もっとやりようはあるはずと山下さんの釣り方を見ていたら、ズルズルとテンヤで底を引きずる間にたちまち1パイ掛けちゃった。ありゃま、ホントに簡単だ。
それを見て、こっちもズルリとやったら、おお! ムニュッと来たゾ。ギューと合わせて即1パイ。試しにマダコの真似をしてコヅいてもムニュ。でもって、サオをゆっくり大きくあおると、ギューと乗ってまた1パイ。
いや、決してふざけてるんじゃなくて、イイダコ釣りは実際にこんな感じなのだ。マダコよりずっと軽やかで柔らかなこの感触がたまらない。釣りも操船も超簡単で数が釣れるから、ファミリーフィッシングにもぴったり。もちろん、食べてもおいしい。ベテランからビギナーまで人気があるのも納得である。
山下さんもいい調子でイイダコを上げている。周りの船もどんどん釣っている。きっと海底はイイダコだらけなんだろう。クセになりそうな独特の感触をもっと楽しみたかったけど、今回は盛りだくさんだから、さっさと次、行ってみよう。

ママカリ見参

 ママカリのポイントは小豆島の蕪埼の目の前だった。岬の先に水深10メートルもない馬の背が伸びていて、団子瀬とは打って変わって急流がぶつけ、潮が湧きあがっている。へぇ。こんなとこにいるのか、ママカリは。
ポイントの潮上にアンカリングし、サビキをフカセ気味にして送り込むのがママカリの釣り方。ここにもすでに3艇ばかり並んでいた。仲良く肩を並べてアンカリングするのがご当地流。仕掛けは白い魚皮が付いたサビキが一般的で、オモリは潮に合わせて20~40号ほど。コツと言えるほどのコツはないが、ママカリのタナに合わせてオモリを選ぶとよいという。
魚探のママカリの反応が上ずりがちだったため、20号のオモリをセットした。仕掛けを投入して底ダチを取ろうとしたら、なんと着底前にアタリが来た。ガガガッと、腹をすかせた野良犬でもここまでガッつかないってほどの激しさだ。隊長は追い食いを少し待ってゆっくり上げたけど、ハリに掛かっていたのは1尾のみ。山下さんによれば、ママカリは群れでいっせいに食いつくため、すぐに仕掛けを上げたほうがいいらしい。
このママカリもよく釣れたこと。塩焼きして三杯酢で食うといくらでもイケるという。しかし、なんてこった! 誌面が残り少なくなってきた。またまた先を急がなきゃ!

すさまじきコウジの威力

 というわけで、ここから先はいきなり翌日。2日目は岡山マリンが誇るエキスパートアングラー、河田新平さんとマダイに挑戦だ。
マダイの主なポイントは小豆島周りである。釣具店で見たように釣り方は多種多様。さすが明石と鳴門のご近所である。なかでも今回はキャビンのあるYF‐23EXに適したアンカリングのブッコミ釣りにした。宮浦マリーナを選んだもうひとつの理由が実はこのYF‐23EXだった。日本が世界に誇る美しい多島海で、快適至極なフネに乗ってゆったりサオを出す贅沢プランもたまにはいいじゃない。
マダイのポイントは釣り方によって微妙に違う。ブッコミ釣りの場合、お勧めは千振島の南側。水深10~30メートルくらいの砂地で、根が点在するカケアガリの潮上側にアンカリングするのがセオリーだ。
河田さんにポイントを選んでもらい、アンカーを投入した。ママカリ場の近くだけあって潮流は速かった。風は左舷側からで、適度に船が振られる動きが広範囲を探るにはこの上ない。
エサは大型魚に効果的と呼び声の高いコウジ。噂には聞いていたものの、コウジ初体験の隊長はドキドキしながら大物のアタリを待つはずだった。けど、その期待は見事に裏切られた。だって投入してすぐ当たるんだもの。細かい前アタリをやり過ごし、ころ合いを見計らって合わせたら、マダイ特有の瞬発力で応えた魚は立派な1キロ級。拍子抜けするほどあっさり釣れちゃった。
コウジを使ったブッコミ釣りの威力はすさまじく、その後もアタリは途切れなかった。結果、河田さんと2人でクロダイ、フッコ、アナゴ、ニベまで追加して思わぬ好釣果に。イイダコやママカリならわかるけど、マダイとかクロダイまでこんなに簡単に釣れちゃっていいのだろうか。しかも、すべて入れ食いだ。噂には聞いてたけれど、ここまでとは想定外。さすが瀬戸内でも有数のエリアだけある。
などと感心していたら、もう誌面が尽きてきちゃったぞ。あまりに盛りだくさんで、心なしか消化不良に終わってしまった今回の釣査隊。え、消化不良はいつものことだって?じゃ編集長、いっそ次からページを増やしません?シースタイルの楽しさをもっといっぱいお伝えしますから。

隊長:齋藤海仁(かいじん)

【隊長:齋藤海仁(かいじん)】

盛りだくさんの岡山編だけど、一番びっくりしたのはなんといってもこの桃太郎。ボートに乗っているところが最高にイカしてる。マリーナに向かう道端で見つけ、思わずサオを出しちゃったんだ。

ロコ・アングラー

【ロコ・アングラー】

河田新平(かわた・しんぺい)さん
岡山マリン児島店に勤務するエキスパート。シロギスからカジキまでなんでもこなす本格派だ。釣友からガイドとして同行を求められることは日常茶飯事。今回のブッコミ釣りの釣果もすべて河田さんのおかげである。

釣果カレンダー

釣魚カレンダー

 魚の種類が豊富なうえに量も多く、ビギナーからベテランまで満足させる懐の深いエリア。ママカリとイイダコは、ポイント選びも釣り方も簡単なので、ビギナーも手軽に楽しめるだろう。ただし、瀬戸内海は潮流の影響が極めて大きい。ポイントと釣り方が潮の向きや速さによって変わるケースもあるので、特定のターゲットをねらうときは、潮とポイント、それから適した釣法をしっかり頭に入れておこう。

児島半島周辺のフィールドマップ

児島半島周辺のフィールドマップ

 陸地に囲まれた閉鎖海域であり、島も点在しているので時化る日は少ない。岸際以外には暗岩や干出岩もほとんどないので、基本的には安全なエリアだ。主に注意すべきは漁船と海苔網。特に底曳きの漁船は見張りを怠っていることが多い。必ず自分から避けること。また10~3月は大量の海苔網が入る。大きなブイがあるとはいえ、航行には十分気をつけよう。

宮浦マリーナ

母体は県内に販売店を2軒とマリーナを2カ所展開している岡山マリン。宮浦マリーナの保管艇のオーナーは大半が釣りを楽しみ、マリンクラブの利用者もエントリーできる独自の年間フィッシングダービーを毎年開催している。おかげで新鮮な釣り情報にはこと欠かない。また、広くて清潔なクラブハウスも無料で利用可能。

■交通アクセス
車利用=山陽自動車道岡山ICから国道53号、県道岡山玉野線(産業道路)を経て約40分
電車利用= JR岡山駅から両備バス「桃太郎荘行」で約50分、宮浦下車すぐ<

■問い合わせ先
住所:〒702-8014 岡山市南区宮浦字大浜681-1
TEL:086-267-3939
URL:http://www.okayama-marine.com

今回使用したタックル

イイダコには先調子のスピニングタックルが向く。テンヤの重さは40~60グラムと重めなので、胴が強いほうが扱いやすい。今回、ママカリとブッコミには同じサオを使用した。ブッコミにはナイロンライン+スピニングリール+ロングロッドの組み合わせも使われるが、PEライン+小型両軸受けリール+ショートロッドは操作性が高く、釣趣も良好。いずれも食い込み重視のため、繊細な穂先と粘り強いバットを併せ持つしなやかな7:3調子が威力を発揮した。

【ROD】
ママカリとブッコミ釣りに使ったのがダイワ・リーディング -XA73?(右)。感度、操作性と食い込みのよさを両立させた、ボートフィッシングにピッタリの汎用性の高いモデル。
●全長:2.05m
●継ぎ数:2本
●自重:155g
●オモリ負荷:15~60号

イイダコにはダイワ・アナリスターキス150を使用。イイダコに違和感を与えないしなやかな穂先と、重めのイイダコテンヤを操作する腰の強さがジャストフィット。
●全長:1.50m
●継ぎ数:2本
●自重:79g
●オモリ負荷:5~20号

【REEL】
ダイワ・ミリオネア CV-Z100FL(右)は、アルミニウムの超精密オールマシンカットフレームによる小型両軸受けリールの最高峰。ボートでねらうあらゆる浅場の中小物釣りに対応。
●イト巻き量:PE2号130m、PE3号100m
●自重:295g

ダイワ・カルディア KIX1500(左)は、マシンカットハンドル、ハイパートーナメントドラグ、アルミ鍛造スプールを採用した基本性能の高い小型スピニングリール。
●イト巻き量:1.5号130m、2号100m
●自重:230g
●巻き取り長さ60cm/回転

ブッコミ釣りに使ったエサは、マダイやクロダイ、スズキやイシモチなどの特に大型に効くコウジ。トゲトゲのある側をこのようにチョン掛けにする。エサ付けも釣り方も、実はイイダコ並みに簡単である

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