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ヤマハ発動機株式会社 Revs Your Heart

ヤマハマリンクラブ・シースタイル

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Vol.04 九州天草

全国のマリーナでボートをレンタルして釣行脚。今回は九州天草・ウキ流し釣りをご紹介。

この記事はヤマハマリンクラブ・シースタイルのレンタルボートでの釣行です。

今回は九州天草で身の丈ほどもある棒ウキを使ったウキ流し釣りにチャレンジ。ターゲットは旬真っ只中の梅雨イサキに加え、あわよくばマダイもねらっちゃおうという豪華メニューなのだ。ボート倶楽部2004年9月号 [ 文:齋藤海仁 / イラスト:名取幸美 ]

梅雨に釣りたい魚といえば

  この原稿を書いている今現在、各所でカラッカラの空梅雨が進行中であります。
昔、「雨々ふれふれも~っとふれ~♪」って歌があったなァ。そう、八代亜紀だ。もちろん雨乞いの唄じゃないけれど、今年はこんな歌にもすがりたくなるくらい雨が少ない。この号が出るころにはとっくに梅雨が明けているはず。水不足じゃないことを祈るばかりである。
というわけで、今回の舞台は有明海と不知火海に挟まれた天草に決定した。ん? なぜ"というわけで"なのかって? 不知火海はまたの名を八代海。なにを隠そう八代亜紀は八代出身なのだ。ちなみに鳥羽一郎は前回の英虞湾に近い鳥羽の出身だ。「全然関係ないだろうが!」って怒られそうだけど、本当は別の理由があるので、もう少しお付き合いくださいね。

  梅雨に釣りたい魚といえば、なにをおいてもイサキである。
6~7月はイサキの産卵期。乗っ込みの魚は普通味が落ちるものの、イサキは逆に最もおいしくなるため"梅雨イサキ"の称号までいただいている。隊長的にもこの時期のイサキは食べたい魚ランキング堂々1位のとても魅力的なターゲット。このイサキ、釣り方は大雑把に分けるとサビキとビシ釣りの2種類で、主流はビシ釣りだ。ビシ釣りといっても、関東と関西ではだいぶ流儀が違う。関東の流し釣りに対して関西はカカリ釣りが一般的。さらにカカリのビシ釣りにも各種あり、事前調査の結果、天草などの九州方面ではウキ流し釣法でイサキをねらっていることが判明した。
ウキ流しはかねがねトライしたかった釣法のひとつ。梅雨イサキをウキ流しで釣るなんてまたとないチャンスだ。"というわけで"隊長は嬉々として天草に向かったのである。

イサキ釣り"ついで"にマダイ

  大小120あまりの島々からなる天草諸島。その主要な島が陸続きになったのは昭和41年に天草五橋、通称"天草パールライン"が開通してからのこと。天草名物の真珠も顔負けの風光明媚な海辺の道を行くと、目指す「ヤマハパールマリーナ」は4番目の橋のたもとにあった。
マリーナで出迎えてくれたのは高木 裕さんだ。高木さんは今年の本誌2月号にも登場されたのでご記憶の読者も多いだろう。特集「ボートで始める第二の人生」の「ヨットレーサーの釣り三昧」という記事で、背丈よりも大きな棒ウキを金棒のように構えていた、あのお方である。さっそく高木さんに聞いてみた。
「今日もあのウキはお持ちですか」
「もちろんです。30号から80号まで各種ありますよ。ほら」
おお、これぞまさにあの巨大棒ウキだ。
「イサキのポイントはどのあたりですか」
「天気もいいから外洋の牛深沖まで行ってみましょう。ここから2時間くらいですよ。なんだったら、帰り際にマダイもねらいますか。たぶん釣れると思います」
高木さんは平然と言ってのけたが、隊長は内心とても驚いた。いや、燃えた。片道2時間。そして、イサキに加えてマダイも釣れる。これは相当期待できそうだ。楽しくなってきたゾ。

イサキ釣り=パチンコ説?

  片道2時間じゃ時間の余裕はまったくない。さっさとタックルを積み込んですぐ出航。
ヤマハパールマリーナは有明海と不知火海に挟まれている。まず不知火海に出てから、針路を南西にとってUF-21CCを一気に走らせた。途中、樋島と御所浦島に架かる橋をくぐり、長島海峡を快調に飛ばして天草下島の南端まで来るのに1時間半。その間、おいしそうなポイントをいくつも通り過ぎたけれど、ハヤる気持ちをグッと抑えて牛深港を越えた。
イサキのポイントは天草大島近くの離れ磯、平瀬周りである。ウキ流しはカカリ釣りなので、初めの一歩はアンカリング。高木さんによると、牛深沖のイサキは群れが大きく、いいポイントに当たれば入れ食いになるのに、ダメな場合はスッカラカンだという。まるでパチンコみたいだが、要はそれだけポイント選びが重要ってこと。根周りで丹念に魚探をかけ、アンカーを投入。すると、ボートは南寄りに流れた。それを見て、「いつもと潮が反対ですねぇ」と高木さん。
平瀬周辺では北向きの潮流のほうがいいらしい。それでも、魚探の反応はよかったのでまずは試しにサオを出してみた。
ウキ流しのイサキ釣りは1尾釣るまでが勝負。寄せエサで群れの足を止めさえすればこっちのものと、巨大なウキをドンブラコ、ドンブラコと波間に流してみるものの、エサ取りも現れない。やはり潮流のせいなのか。このままでは望み薄と、セオリーどおり根の潮上側へ移動。
こちら側にはエサ取りくらいはいるようだった。そして数投目、ボート際でついに高木さんのウキが消えた! いやはや、巨大棒ウキが海中に消し込むインパクトは豪快そのもの。これぞ九州男児の釣りって感じである。
「まずまずの魚だと思いますよ」と、常に冷静沈着な高木さんもこの1尾目はうれしそうだ。ところが、上がってきた魚を見てびっくり。なんとコバンザメ――。
コバンザメって釣れるんですね。初めて知りました。
このあとはカサゴの一荷とフグらしき魚にハリスを2回切られたのみで、結局、平瀬周辺は断念し、沖にある漁船の船団の近くへ行くことにした。
船団から少し離れたところでイサキと思われる大きな反応を発見。反応は水深約40メートルの20メートル前後。すでに潮流の向きはお見通しだ。十分潮上でアンカーを入れ、ボートを固定。タナを思い切って高めにとるのがイサキ釣りのコツだ。海面から15メートルにカゴダナを決め、オキアミを詰めて、こんどこそと念じて仕掛けを投入する。
またもや高木さんのウキが消し込んだ。いきなり1投目からである。
「このシャープなヒキはイサキですね」
今度は高木さんも自信満々の様子。仕掛けが船ベリに近づいた。ウキとテンビンを仕舞ってハリスを手繰る。海中で暗い色の魚影がスッと走る。間違いない。イサキだ。慣れた手つきで高木さんが魚をすくう。完璧な釣技で目的達成。
おっと、人の釣りに感心している場合じゃない。さあ、これからだと思って隊長もウキを探したら、はて? どこにも見当たらない。これはもしかして......と合わせてみると、なんと魚が掛かっているではないか。慎重に寄せ、取り込んだらやっぱりイサキである。ウキが消し込む瞬間を見逃したのは残念だったけれど、それにしても黒々とした太目のイサキの見事なこと。その後は群れを散らさないようマメに投入を繰り返し、しっかり入れ食いモードに突入。豪快、楽釣のウキ流し釣りの妙味をたっぷり味わわせていただきました。

癒しのイルカウォッチング

  とはいえ、往復4時間の航程である。釣査隊の隊長に入れ食いに浸っているヒマはない。イサキをクリアしたところで、次はマダイにチャレンジだ。
マダイのポイントは長島海峡の下馬刀島付近。潮流が速いため、大型のオモリとウキを使うのと、仕掛けが異なるのを除けば釣り方は基本的にイサキと同じ。魚探で反応をチェックし、アンカリングして潮のぶつけるカケアガリをねらってみた。
結果からいうと、マダイはここでも素晴らしい腕前を発揮した高木さんの1尾に終わった。実はその直後、ぼくにもマダイらしき魚が掛かったのだが、やり取りの途中でウキにゴミが引っ掛かりあえなくオサラバ。そうこうしているうちに潮流が速くなりすぎてやむなく釣りは終了。ああ、情けなや......。
すると、ウキ流し&連載初のマダイを逃してショックを受ける隊長を見かねたのか、高木さんはイルカウォッチングを提案してくれた。早崎瀬戸の周辺でバンドウイルカの群れが見られるという。そこで、本渡から有明海へ抜け、イルカを見てから帰ることにした。
実はさほど乗り気じゃなかったイルカウォッチングだけど、正直言って、イルカの群れはすごかった。なによりかわいかったのは母子のイルカだ。お母さんにぴったり寄り添って泳ぐ子イルカの姿は涙が出るほど愛らしい。すっかりメゲていた隊長もこれで元気を回復し、このあとは近くの鬼池港内でちゃっかりジャンボシロギスをキャッチしてから帰港したのであった。
イサキにマダイ、シロギス、キジハタ、カサゴ、そしてイルカウォッチング。おまけに、夏から秋にかけては青ものもたくさん寄ってくる。外洋に出なければ島々に囲まれているので荒れることも少ない。ここまでスケールの大きな釣りができるレンタルボートのゲレンデはそう多くはないだろう。ページに余裕があれば、もっといろいろ紹介したいところだけど、みなさんもぜひ実際に足を運んで自分で体験してみてください。ホント、レンタルボートユーザーには実に楽しみ甲斐のある天草の海でありました。

隊長:齋藤海仁(かいじん)

【隊長:齋藤海仁(かいじん)】

80号のウキを手にして浮かれる隊長。この巨大棒ウキが消し込まれる瞬間がウキ流し釣りの醍醐味。まさにシビれるほどの衝撃が全身を駆けめぐる(と思う)。そういえば、アテネオリンピックそろそろ開幕ですね。

今回のロコ・ガイド

【今回のロコ・ガイド】

今回はなんと日本を代表するヨットレーサーの高木 裕さんという超豪華布陣。数々の優勝経験を誇る戦歴もすごいが、釣りの腕もピカイチ。まさに熊本の海を知りつくした海の男。

釣果カレンダー

釣魚カレンダー

 有明海と不知火海に挟まれた多島海の天草周辺は釣魚の宝庫。内海のメバルやカサゴ、クロダイ、シロギスといったターゲットは内海で周年ねらえるし、ポイントも目白押し。また、外潮の入るエリアではマダイ、アジ、イサキ、サワラ、ハマチなど、さまざまな魚が釣れる。釣魚、釣期をすべて紹介するのはとても無理なので、詳しくはマリーナのスタッフにぜひお問い合わせを。

天草周辺のフィールドマップ

天草周辺のフィールドマップ

 レンタルボートを利用する場合、ビギナーは平水区域に限られるが、慣れてくれば牛深沖などにも足を延ばせる。マリーナ周辺には沈み根が多いので、まずは最干潮時に一度出航してみるのがおすすめ。ウキ流し釣法が一般的なのは長島と天草下島の間の長島海峡や外海の牛深沖。一方、同じマダイねらいでも、有明海側の早崎瀬戸は潮流が速いため、ウキ流しよりもテンヤ釣法が主流だ。なお、漁船とウキ流し釣りをしている船の潮下側では十分離れて航行しよう。

ヤマハパールマリーナ

天草パールラインとして知られる天草五橋の完成前後から営業している老舗マリーナ。歴史が長いだけあって、釣り情報に精通するスタッフが揃い、オリジナルのポイントマップの完成度は群を抜く。無料シャワー完備。レンタルボートを利用するにしろ、艇を保管するにしろ、専属のメカニックが4名いるので整備も万全だ。有明海、不知火海のどちらにも行きやすいロケーションも便利

■交通アクセス
車利用=熊本市内より車で90分。九州自動車道松橋ICより60分。熊本方面より天草4号橋を渡ってすぐ左折

ヤマハパールマリーナ
〒861-6102 熊本県天草郡松島町合津前島6215-17
TEL:0969-56-1035
URL:http://www.kumamoto-yamaha.co.jp/marine/pm/pm.html

今回使用したタックル

 ウキ流しのタックルは基本的に1種類でOK。イサキねらいでは30号、魚が大きくて潮も速いポイントがメインのマダイでは50~80号と、魚種や釣り場によってオモリとウキを使い分ける。ロッドはトルクのある胴調子で、ウキ止め対応のタイプであればインナーガイド仕様も使いやすい。潮流が速いと仕掛けの抵抗が大きく、パワフルな電動リールは必須だ。

【ROD】
今回隊長が使用したのは「ダイワHZ海峡T50号-350」。オモリ負荷50号、3.5mの振り出しガイドロッド。地元で人気なのは、ウキ止めイトが通りやすい太めの先径を持つ、穂先絡みの少ない中通しタイプ。高木さんの使用モデルは「ダイワHZスーパーインターライン海峡T50号-400」

【BATTERY】
ニッケル水素電池の採用で、従来型に比べサイズ1/3、重量1/2、寿命約2.5倍、パワーも1割増しを実現した「スーパーニッケル7000C」。1.9kgと軽量で、レンタルボート釣行にもぴったり。

【ROD】
200m以上も流した仕掛けを頻繁に回収するこの釣りには電動リールが必須。今回はPE5号を300m卷ける「ダイワ・ハイパータナコン400BDe」を使用。ダイレクトな操作感が楽しい無段階調節のパワーレバーはもちろん、パワフルなベルトドライブを採用しながらコストパフォーマンスに優れたモデル。もちろん水洗いOK。

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