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Vol.17 長崎県・大村湾

全国のマリーナでボートをレンタルして釣行脚。今回は長崎県・大村湾のシロギス、イイダコをご紹介。

この記事はヤマハマリンクラブ・シースタイルのレンタルボートでの釣行です。

今回は湖のように穏やかな長崎の大村湾で、ゲストを呼ぶことを想定しての手軽な釣りをご紹介。ボート倶楽部2007年9月号 [ 文:齋藤海仁 / イラスト:名取幸美 ]

シースタイルでひと夏の思い出を

みなさん、『ボート倶楽部』の前号は読みました? 特集、おもしろかったよね。第一特集が「ボート釣らせ名人」で、第2特集が「夏休み 親子で読みたい海の本、船の本、魚の本」。読んでない人は舵社にバックナンバーを注文しましょう。07年の8月号です。
と、わざわざ過去の話を蒸し返したのは、決して隊長がマダイとヒラメを釣ったことを自慢したかったからではない(自慢してるけど)。この号が出るのは8月上旬。子どもは夏休みで、大人はお盆休み直前だ。よって、前号を読んでいるうちに、今度は夏休みにビギナーを招くようなスポットを紹介しようと思った次第。最近またマニアックな釣りが続いてましたからネ。
家族やゲストを連れて行くとなると、ボートフィッシングだけだと厳しいし、なによりもったいない。長い休みなんだから、できれば観光や他の遊びのついでにチョロっと釣りをする感じがベストだろう。初心者に釣りだけでは酷だもの。隊長が前号で取材した下田の釣らせ名人も、「ビギナーにはつらくないメニューを用意するのが大事」って言ってたし。
そう思って、例によってシースタイルのHPで全国のホームマリーナを眺めていたら、ありました! ぴったりの場所が。九州長崎は大村湾の「サンポート・アルパマ」だ。大村湾といえば、ハウステンボスをはじめ、テーマパークが目白押し。長崎市内にも近く、観光スポットとして申し分ないうえ、ほとんど湖のようなエリアで荒れる心配も少ない。おまけに、湾内に空港があってアクセスはばっちり。ビギナーを招いて観光と釣りの両方を楽しむにはこれ以上ないってくらいの環境だ。
サンポート・アルパマのHPをチェックすると、どれどれ......シロギスが釣れ始めたらしいゾ。たしかイイダコも大村湾の名物だったはず。手軽に釣れるシロギスとイイダコはビギナーにぴったりのターゲット。場所もターゲットもそろったとあって、さっそく長崎へ飛んだ隊長でありました

「琵琶」湖と「琴」の海

アルパマは大村湾の南端に位置している。世界初の海上空港である長崎空港から車で約45分。直行してもほとんど有料道路なのでドライブは快適だ。
アルパマという名前は竪琴をあらわす「アルパ」という言葉と、「マリン」のマを組み合わせたものらしい。「アルパ」はイタリア語かスペイン語だから、本来、海は「マリン」じゃなくて「マーレ」か「マール」だろう。でも、イタリア語なのかスペイン語なのかわからないそうだから、マ、どっちでもいいんだろうな。
そんなことより忘れちゃいけないのは「琴」のほうだ。大村湾は昔から「琴の海」と呼ばれている。形が似ているからとか、穏やかな波音が琴のようだとか、理由は諸説あるようだけど、隊長としては頼山陽(江戸時代の学者ですね)が琵琶湖の「琵琶」に対して「琴」と言ったという説がお気に入り。一見したところ、大村湾は湖そのもの。実は隊長も飛行機や長崎自動車道から大村湾を眺めて琵琶湖みたいと思ったくらいだ。
実際、細い2本の水路で外海とつながっている大村湾は、海面が今より100メートル以上も低かった氷河期まで湖だったらしい。その後、地球が暖かくなるにつれて海面が上昇。大村湾が海になったのは縄文時代のこと。
そんな成り立ちの海だから、大村湾の平均水深は15メートルと浅く、岸際にはアマモがたくさん生えている。アマモは多くの魚の産卵場所や隠れ家になっていて、平成13年に行われた調査では、107種の魚と10種のイカ・タコ類が確認された。
おっといかん。いつになくカタい話になってしまった。けど、ちょうど夏休みだし、自由研究風ってことで、どうかお許しを。

旅先の朝はゆっくりと

ゲストを呼ぶことを想定した今回は、開始時刻をあえて遅めに設定した。ビギナーに早起きは禁物。寝不足だと酔いやすいからね。
現地入りしたのは近所の釣具店が開店する10時ごろ。そこで仕掛けとエサを買ってからマリーナへ。いつになく余裕たっぷりの釣査隊である。
アルパマでは、ハーバーマスターの山崎良二さんとルアーフリークの山口雅樹さんが歓迎してくれた。基本的にビギナー向けメニューということで、釣りはシロギスとイイダコをリクエスト。加えて、クルージングスポットを回りたいとお願いすると、前半はシロギスを釣りながら足を延ばし、休憩を挟んで、後半は近場でイイダコというプランに決定した。
そうと決まればすぐに出航だ。まずはシロギスの実績が高い前島周りへ。
大村湾は見たとおり実に穏やかで、AS-21を走らせているだけで気分は爽快。海に出るのが当たり前の隊長でさえゴキゲンになるほどだから、ボートに初めて乗る人はクルージングだけでも相当うれしいんじゃないかな。
前島周りのシロギスポイントは岩場の間の緩やかなカケアガリだった。岸際はゴロタ石で、その沖側は藻場、砂地と続いている。驚いたのは水のよさ。透明度が高く、海底の様子がはっきり見える。風も波もほとんどない。この感じは......そう、昔よく通った芦ノ湖にそっくりだ。こんなところでシロギスが釣れるなんて不思議な感じがする。
「シロギスは浅いほうがいいですよ。ゴロタや藻のすぐ沖にもいますから」と山崎さん。
岸に向かって仕掛けをキャストする。と、たちまちビビッと小気味いいアタリが来た。まずまずのシロギスだ。その後もワンキャスト、ワンヒットが続く。ボート下でもアタリがあるから、キャストできなくても大丈夫。ジャリメを付けられれば釣りになる。あ、ムシエサが苦手な人はオキアミでも釣れますよ。ご心配なく。
それにしてもシロギスって魚はつくづくエラい。これだけ手軽に釣れて、楽しくて、おいしい魚はいないだろうね。ビギナーがエントリーするターゲットにはうってつけ。パールピンクの魚体は美しいし、アタリとヒキがまた気持ちいいんだな。中型まではモーツァルトのピアノソナタみたいにシャープで軽やか。かと思えば、手のひらサイズを超えると、ベートーベンの「運命」並みの迫力がある。ドドドジャーンって感じでサ。
なんて思ってたら、ドドドジャーンってヤツがきましたよ。リールを巻く手が思わず止まる。たまりませ~ん。同時に山崎さんも良型をキャッチ。釣具店に入るなり「今年はシロギスの当たり年です」って流れたアナウンスはウソじゃなかった。
このサイズがいるなら、藻のなかを丹念に探っていけばサイズアップするだろう。しかし、今回はそういう釣りが目的じゃない。釣果も十分。いったんサオを置いて、大村湾のクルージングとしゃれ込むことにした。

クルージング&ランチタイムも満喫

ハウステンボス、長崎空港、無人島。大村湾をひと巡りしたらマリーナにもどってランチタイム。こんなことをしたのは釣査隊始まって以来のこと。いつも目の色変えて釣りをしてるからな。たまにはいいね、こういう贅沢も。
大村湾を眺めながらご飯を食べて、一服したあとは後半のイイダコだ。ここからガイド役が山口さんに交代した。

 「イイダコのポイントはシロギスとほぼ一緒。マリーナの前が実績ポイントですから、そこでやってみましょう」
近場とは聞いていたけれど、イイダコポイントはホントにマリーナの目と鼻の先だった。走行時間約1分なり。なんだかんだ言って、ポイントが近いのはビギナーでなくても楽。ゲストにとってはなおさらだろう。
昨年の岡山編でも釣ったように、イイダコにはテンヤという特殊な仕掛けを使う。釣具店に行くと、羽子板とかパール玉とかいろいろあって、テンヤを見ているだけでもおもしろい。うれしいことに釣りも簡単だ。なにしろ昨年岡山で初めてやった隊長でもたくさん釣れたくらい。
タックルはシロギスと同じでOK。片テンビンをテンヤに結び替えて投入する。水深は10メートル前後。もったいないので、シロギス仕掛けは予備のタックルで置きザオにしておいた。
イイダコの釣り方はテンヤを着底させて10~20秒ごとに軽くシャクるだけで十分。広く探ったほうがいいので、ボートコントロールはシロギスと同じ流し釣り。実にのんびりした釣りだ。でも、これがおもしろいんだな。一番の魅力はやはり手ごたえだろう。見た目は小さいけれど、タコは抵抗が大きく、イイダコが釣れたときのねばっこい重量感は格別。手軽に大物感が味わえる釣りですよ。
結果から言うと、イイダコにはまだ時期が早かったせいで、シロギスに混じってポツポツという感じだった。それでも山口さんと短時間のうちに4、5ハイをゲット。秋から冬にかけては入れ乗りになるそうだ。
荒れにくく、クルージング&お遊びスポット満載で、釣りも簡単。ビギナーを釣りに招待するにはぴったりのやさしい海、大村湾。夏休みや連休の旅行のついでに、たまにはこんな釣りはいかがですか? あなたの大切なゲストもきっと感動してくれますよ。

隊長:齋藤海仁(かいじん)

【隊長:齋藤海仁(かいじん)】

キャストがちょっと岩場にずれるとクサフグが釣れる。隊長が怒ってる? いえいえ、愛嬌たっぷりのフグも好きですよ。いつもパンパンに膨らませてからリリースしますけど、何か?

ロコ・アングラー

【ロコ・アングラー】

山口雅樹(やまぐち・まさき)さん
アルパマを運営するヤマハマリン西九州のスタッフで、シーバスからシイラ、マグロなどの大物もこなすルアーフィッシングフリーク。今回はおもにイイダコを担当した。

釣果カレンダー

釣魚カレンダー

平均水深が15メートルと全体に浅く、シロギスやイイダコは広く岸沿いに分布している。図に示したポイントはなかでも有望な場所だ。アジ、サバ、マダイ、イサキなど、潮通しのいい根につく魚は針尾瀬戸の潮流が影響するポイントがねらいめ。シーバスはムラが大きいが、ベイトフィッシュを追っていると比較的簡単に釣れる。ロコアングラーによれば、まだまだ未開拓のポイントが多いとのこと。

大村湾周辺のフィールドマップ

大村湾周辺のフィールドマップ

大村湾は長崎県のほぼ中央にあり、南北約25km、東西約10km。面積は琵琶湖の半分ほど。針尾瀬戸、早岐瀬戸の2つの水道でしか外海とつながっていない湖のような環境のため、非常に穏やか。ただし、11月から2月にかけての北西の風が強い日は、マリーナ周辺では波が高くなる。大串湾内や二島、高島の周辺など、危険な浅瀬がいくつかあるので、事前の安全講習でしっかり確認しておこう。

アルパマ

大村湾で最も長い歴史を誇る。安全かつ快適にボーティングを楽しめるよう、親切、ていねいにイチから教えてくれるビジター&ビギナーにはとてもありがたいマリーナだ。約30分の安全レクチャーは、ロープワークから同乗しての操船まで指導してくれても無料。もちろん、レンタル時間には含まれない。

■交通アクセス
車利用=長崎自動車道長崎多良見ICから長崎バイパス、川平道路を経て、国道206号を約10分

■問い合わせ先
〒851-2107 長崎県西彼杵郡時津町久留里郷1439-10
TEL:095-882-1829
URL:http://www.yamaha-marine.ne.jp/<

マリーナ名称が、昨年2007年12月に『サンポート・アルパマ』から『アルパマ』に変更になりました。

今回使用したタックル

全体に浅く、瀬戸の周辺以外は潮流も速くないので、基本的にライトタックルで十分。パックロッドも便利だろう。夏前までは大型のシロギスがねらえるので、仕掛けは太め。逆に小型が中心となる夏以降は細めの仕掛けが向く。オモリは10号前後まで、エサはジャリメがいい。イイダコは市販のテンヤで、60グラム前後までが使いやすい。

【ROD】ダイワ・極鋭キス180(左)は、穂先に超弾性チタン合成穂先「スーパーメタルトップ」を採用することで抜群の感度を実現した、シロギスザオのトップモデル。 ●全長:1.80m ●継ぎ数:2本●自重:103g ●オモリ負荷:5~30号
ダイワ・アナリスターキス180(右)は、活性の低いときも食い込みのよいしなやかな穂先を備えたシロギスザオのベストセラーモデル。 ●全長:1.81m ●継ぎ数:2本 ●自重:105g ●オモリ負荷:5~20号

【REEL】ダイワ・カルディア KIX2000(左)、フリームス KIX1500(右)はハイパートーナメントドラグ、アルミ鍛造スプールなどの高い基本性能を備えた、海水での使用に対応する高性能スピニングリール。カルディアとフリームスの違いは、ボールベアリングの数や自重など。
「カルディア KIX2000」 ●イト巻き量:1.5号190m 2号 150m ●自重:230g ●ボールベアリング:5個(ローラー1個)
「フリームス KIX1500」 ●イト巻き量:1.5号 130m 2号 100m ●自重:255g ●ボールベアリング:4個(ローラー1個)

今回は出番がなかったが、二島と黒島の周辺ではアオリイカとコウイカが釣れる。どちらもエギでどうぞ。

イイダコテンヤ。釣具店に行くとさまざまなタイプが売られている。どれも釣れるから、いろいろ試すだけでも楽しい。

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