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Vol.36 福岡県・博多湾

全国のマリーナでボートをレンタルして釣行脚。今回は福岡県・博多湾のスズキ・クロダイほかをご紹介。

この記事はヤマハマリンクラブ・シースタイルのレンタルボートでの釣行です。

今回は福岡県の、福岡マリーナを釣査。内海の博多湾(福岡湾)と、外海の玄界灘の両方が楽しめる、魅力いっぱいのゲレンデだ。ボート倶楽部2012年6月号 [ 文:小野信昭 / イラスト:名取幸美 ]

プラスアルファの楽しみ

ヤマハマリンクラブ・シースタイルの会員となって、早くも4年が経過した。これまで各地でクラブ艇を利用してきたが、利用するホームマリーナごとに特徴があることを感じていた。例えば、一級ポイントに近い、海上から観光名所を見られる、アウトレットモールが併設されているなど、その魅力はさまざまだ。
ボーティングだけで終わらせるのではなく、いろいろなプラスアルファの魅力を楽しめるのも、全国約140カ所のホームマリーナを利用できるシースタイルの特徴といえる。
とはいえ、荷造りや宿の手配、釣った魚を持ち帰る手間などを考えると、遠征釣行には二の足を踏んでしまう人も多い。でも、せっかく島国日本に住んでいるんだから、いろいろな海を楽しみたい!そんなことを考えながら今回も釣査候補地を探していたら、釣った魚を調理してもらえる宿を併設しているという、願ってもないホームマリーナの情報を入手した。
そんなわけで今回お世話になったのは、福岡市内のリゾート地で有名な「海の中道」や志賀島に隣接する「福岡マリーナ」。訪問すると、スタッフの得能崇司さんが「ようこそ遠いところまで」と、笑顔で出迎えてくれた。さっそく海図を見ながら、翌日からの釣行計画を打ち合わせ。その後は近隣の観光名所を回るため、日が高いうちにマリーナをあとに。志賀島にある潮見公園の展望台や、「マリンワールド海の中道」などを観光した。

夕方、今回の宿泊先である、経営母体が福岡マリーナと同じ「大岳荘」へ向かった。ここでお会いしたのが、マリーナと宿の両方の支配人を務める山田靖之さん。聞けば、ほかにゴルフ場の支配人も務めているとのこと。
「シースタイルのお客様には、ボートに乗るだけではなく、宿泊やゴルフなども一緒に楽しんでいただけたらと思っています」と聞かせてくれた。
大岳荘の自慢が、玄界灘の新鮮な魚介類を使った、こだわりの料理。宿泊初日の夕食には、山田さん、得能さん、そしてロコアングラーとして協力していただく福岡マリーナの釣り名人、永井憲三さんも合流し、楽しい前夜祭となった。
絶品料理に舌鼓を打ち、おいしいお酒を飲みながらの釣り談議は本当に楽しく、時間を忘れてしまう。とことん飲み食いできるのも、あとは部屋に戻って寝るだけという安心感があるからこそ。宿でいただく食事は最高だ!と再認識しながら、夜は更けていった。

博多湾でシーバスゲーム

翌朝、予報どおり北西からの風がやや強い。この日はわれわれ取材班だけで出航することになっていて、得能さんから「午前中は博多湾の外に出るのは無理なようです。シーバスなら湾内でねらえますよ」とアドバイスをもらった。
ちょっと残念とはいえ、博多湾と玄界灘、つまり内海と外海の両方で遊べることも福岡マリーナのメリット。もし外海しかなかったら、この日は出航すらでなかっただろう。せっかくの遠征がムダにならずに済むのはありがたい。
昼過ぎに風が弱まることを期待し、午前中はアドバイスどおり、波静かな湾内でシーバスをねらうことにした。なんと今回が初稼働という、ピッカピカのYF-21で出航。教えてもらったマリンワールド沖や、湾奥のストラクチャー周りをバイブレーションプラグでねらい、なんとか40センチ級のシーバスをゲット。しかし、その後は数もサイズも伸びない。正午過ぎに風が弱まったので、湾口方面の様子を見るために移動した。

能古島の西側を航行中、魚探画面の宙層には小魚の反応が現れた。イトー記者がメタルジグをフォールすると即バイト。60センチ級のシーバスが釣れ、間髪を容れずに私も追釣した。湾奥の魚とは違って、銀ピカで、いかにもおいしそう。これで今晩、宿に持ち込む魚がキープできたと、ホッと胸をなで下ろした。

さっそく海上から山田支配人に連絡を入れ、魚の持ち込み可否を確認。調理可能とのことで1尾だけキープし、あとはリリースした。午後3時、翌日の玄界灘釣行に期待し、風が収まった海を沖上がり。
大岳荘2泊目の夕食には、自分たちが釣り上げたスズキの料理3品、煮付け、白子焼き、お吸い物が加わった。やはり新鮮な魚をプロが料理したので本当においしく、前夜に続いて至福のひとときを味わった。

ウキ流し釣法の威力

翌日、いよいよ釣査本番の朝を迎えた。ロコアングラーの永井さんは、興奮してあまり眠れなかったらしい。自分はおいしい料理とお酒でぐっすり眠れた、とは言えなかった。
午前8時過ぎ、ベタナギの海を湾口方面へ向かう。志賀島を通過し、玄界島を回り込むと、そこはもう玄界灘。水深は30メートル前後と比較的浅めの海域だが、晴天もあって海が青く、美しい景色が続いた。めざす一級ポイントの長間礁には、長間礁灯標がそびえ立っているのですぐにわかる。
今回、ロコアングラーの永井さんが見せてくれるのは、地元で盛んなウキ流し釣法。
「この釣りはアンカリングの精度が釣果を左右するから、少し時間をかけさせてくださいね」と言って、永井さんは風向きや潮流を読み、魚探画面を凝視する。その真剣な眼差しから、なんとしても釣果を出すという意気込みがヒシヒシと伝わってきた。
水深23メートルの険しい岩礁地帯にフネを固定し、いよいよ実釣スタート。永井さんが祈るようなしぐさで、船べりから仕掛けをそっと流した。その一部始終を見届けたあと、私は関東流のコマセダイ釣法でスタートした。
仕掛けを潮に乗せて潮下のポイントを攻めるウキ流し釣法と、ボートの直下でコマセを撒いて魚を寄せて釣るコマセダイ釣法とでは、どちらに軍配が上がるのか?興味深い対決のスタートだ。
「今日はいい速さで潮が流れている」と永井さんがつぶやいた直後、置いていたサオを手に取った。リールでイトフケを取って大きなアワセを入れると、長ザオが大きく弧を描いた。 「来ましたよ!」 永井さんはうれしそうにつぶやいた。水深が20メートル前後のため、魚が水圧変化で弱ることが少なく、最後まで抵抗を続ける。私が差し出すタモに収まったのは40センチオーバーのクロダイで、いぶし銀に輝く精悍な面構えをしていた。
「本当は赤い魚をねらっているのですが......でもよかった~!」
クロダイを持つ永井さんは、満面の笑みを浮かべた。
次は私の番だとコマセを振り出してタナを取るが、一向にアタリが届かない。少しずつタナを下げていくとアタリが出るものの、掛かるのはベラばかり。なんとか関東流の釣りで結果を出したいと粘っていたが、次に掛けたのもやはり永井さんだった。
先ほどとは比べものにならない強烈なヒキで、あっという間にラインブレイク。ハリスを見ると、どうやら根に擦れて切れたようだ。
「いまのは大ダイに違いない......」と悔しがる永井さんだが、大して時間を空けることなく、またしても長ザオが大きく弧を描いた。
途中、何度も訪れた強い引き込みをいなしながら、今度こそマダイを!と慎重なやり取りでキャッチした魚は、縞模様が消えかかるサイズのイシダイ。永井さんはやや複雑な表情を浮かべていたが、一方で私は「おそるべしウキ流し釣法!」と、感じた瞬間だった。

その後、ポイントを中の瀬に移動し、一つテンヤやタイラバーを試してみたが、カサゴ(現地名 アラカブ)をポツポツ追釣するにとどまり、午後2時過ぎに沖上がりした。

大満足の2泊3日

今回、釣果面では不完全燃焼に終わった私だが、トータルで考えると、とても満足度が高い釣査となった。その理由は、スタッフやロコアングラーとの出会いはもちろんのこと、マリーナに隣接した宿泊施設や、持ち込んだ魚を料理してもらえるサービスなどを満喫できたからにほかならない。
新鮮な魚を入手できるのが釣り人の特権だが、釣行から帰ったあとに調理するのはかなり大変、というのが大方の本音ではなかろうか。むろん、早めに釣りを切り上げれば問題ないのだが、なかなかそれができないのが釣り人の性。魚の宝庫といわれる玄界灘でボートフィッシングを楽しみ、リーズナブルな値段で宿に泊まり、自身が釣った魚を料理してもらって食べる。こんな魅力的な釣行は、なかなか体験できないだろう。
また福岡マリーナは、玄界灘を見下ろす本格的なゴルフコースや、隣接する手軽なショートコースもグループ経営しているので、例えば、初日はシースタイル艇で釣りを楽しみ、翌日はゴルフを楽しむ、そんなプランを立てられるのも、当マリーナならではの遊び方かもしれない。
取材から2週間ほど経った4月中旬、永井さんからメールが届いた。添付されていた画像には、両手に大きなマダイを持ってにこやかに笑う永井さんが写っていた。どうやら本格的なマダイのシーズンに突入したらしい。
あぁ、取材があと2週間遅かったら僕にもあのマダイが......と、少し悔しい気持ちになったが、また一つ再訪したいと思えるマリーナが自分のライブラリーに加わったことも、収穫の一つに違いない。

隊長:小野信昭(おの・のぶあき)

【隊長:小野信昭(おの・のぶあき)】

1963年東京生まれ、神奈川県在住。DAIWAフィールドテスター。ヤマハマリン塾「ゼロから始めるボートフィッシング講座」の企画・運営に携わる。著書に『必釣の極意』(舵社刊)、共著に『魚探大研究』(同)など。ダイビングの経験も豊富。本誌に「Nonoの旅」を連載中。ウェブサイト「気ままな海のボート釣り」
http://homepage3.nifty.com/miniboat/

今回のロコ・アングラー

【今回のロコ・アングラー】

取材に協力してくれた、ロコアングラーの永井憲三さん(56歳)。ヤマハUF-26のオーナーで、福岡マリーナ屈指の釣り名人。現在は魚類剥製業を営む。

釣果カレンダー

釣魚カレンダー

博多湾と玄界灘という内外の海がフィールドになるので、天候や海況に合わせて釣り場を選べば、一年を通じてボートフィッシングが楽しめる。湾内には砂地が多く、シロギスが春先から初秋まで釣れ盛る。ルアーでのシーバスも盛んで、イワシの群れが湾内に入ればハマチ(イナダ)も回遊してにぎやかになる。外海の岩礁では、ほぼ周年、カサゴに代表される根魚やマダイがねらえ、水温が高い時期には良型の青ものが多く回遊する。

福岡のフィールドマップ

福岡のフィールドマップ

志賀島をかわして外海へ出ると、好ポイントが多い。天候や海況のいい日には、一級ポイントの長間礁灯標周辺へも足を延ばせる。潮通しがいい岩礁地帯なので、大型の青ものやマダイ、カサゴなどが豊富なポイントだ。ただし、北西寄りの風が強いときの無理は禁物。スタッフの指示に従い、波静かな湾内で楽しもう。湾内とはいえ、シロギスやシーバスの魚影が濃い、ファミリーフィッシングにも適した魅力的なフィールドだ。

福岡マリーナ

海の中道や志賀島に隣接し、博多湾のベイエリアを一望する絶好のロケーションにある福岡マリーナ。水難救済会の救難所に指定され、万全のレスキュー態勢を取っている。食事と宿泊、ゴルフ関連施設など、ボート遊びと行楽の両立が可能なマリーナで、周辺には水族館「アクアワールド」などの観光スポットも。

■交通アクセス
福岡都市高速道路、香椎浜(かしいはま)ICから人工島(アイランドシティー)経由で、県道59号線を志賀島方面へ約15分。または九州自動車道、古賀ICから国道3号線を福岡方面へ。大森交差点から右折し、59号線に入り約25分

■問い合わせ先
福岡県福岡市東区大岳4丁目2-61
TEL:092-603-2268
営業時間:午前8時~午後5時
定休日:5~9月 無休、10~4月 火曜日
http://www.fukuokamarina.com/

今回使用したタックル

シーバスには、汎用性が高く遠征釣行には頼りになる、短めでパワーのある一つテンヤ用スピニングタックルを流用。コマセダイ釣法に使用したのは、ライトゲームロッドに、すべての操作を片手で行えるジョグパワーレバー仕様の小型電動リールの組み合わせ。コマセバケツなどで足元が狭くなるので、コードレスバッテリーをセットした。

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