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ヤマハ発動機株式会社 Revs Your Heart

ヤマハマリンクラブ・シースタイル

Vol.28 福岡県・糸島半島

全国のマリーナでボートをレンタルして釣行脚。今回は福岡県・糸島半島のチヌ・ヤズほかをご紹介。

この記事はヤマハマリンクラブ・シースタイルのレンタルボートでの釣行です。

今回のフィールドは、福島県の人気観光&釣りスポットである糸島半島から出航。玄海マリーナの「チヌ釣り講習会」で、乗っ込みの丸々太ったクロダイにターゲット、ロックオン!ボート倶楽部2010年6月号 [ 文:齋藤海仁 / イラスト:名取幸美 ]

「チヌ釣り講習会」開催中

地球温暖化が叫ばれつつも、けっこう寒かった今シーズンの冬。春になっても比較的寒い日が多かったけれど、さて、みなさんはいかがお過ごしでしたでしょうか。
なんてNHKのラジオみたいな始まり方だな。それはさておき、この春の隊長はというと、想定外の北風がよく吹いたせいで、釣りの取材がズレまくって予定がぐちゃぐちゃだった。釣査隊もご多分に漏れず、三度目の挑戦でようやくボートを出せる始末。
と、はるばるやってきたのは、福岡県糸島半島にある玄海マリーナである。理由は、今年から始めた乗っ込み限定の「チヌ釣り講習会」だ。
実は、玄海マリーナにはずっと注目していたんだよね。きっかけはマリーナのブログだった。次はどこを釣査しようかと思いながら、シースタイルHPから玄海マリーナのブログに飛んでみたところ、豪華な釣果が目白押し。しかも、書いているスタッフの釣り好き度がビンビン伝わってくる。なので定期的にチェックしていたら、チヌ釣り講習会の案内を見つけちゃったわけだ。
ブログで過去の春の釣果をチェックすると、大きなチヌ(クロダイ)がたくさん釣れていた。これは見逃せないゾ、とさっそく申し込んだのでありました。

イケスはチヌだらけ!

糸島半島までは福岡市内から車で30~40分ほど。海、山ともに豊かな自然が広がり、風光明媚かつお洒落なドライブスポットで、もちろん、釣りも盛んなエリアである。
玄海マリーナは糸島半島西側の付け根付近にあった。目の前には白い砂浜。芝生の庭でバーベキューが楽しめたり、クラブハウスが快適だったりして、玄海マリーナも糸島半島らしくお洒落なマリーナである。若きハーバーマスターの吉田浩一郎さんも感じがよくて、ホントにいいマリーナだよ、ここは。
今回の釣査は「チヌ釣り講習会」とほかの釣りとの二本立てのため、2間サオを出す予定だった。このうち、初日は地元のシースタイル会員が講習会を予約しており、隊長が受講するのは2日目。だから、初日は昼からの半日レンタルにして、チヌ釣り講習会の様子をうかがいつつ、ベストシーズンというヤズ(イナダ)を一人でねらう作戦にした。
ということで、安全講習とポイントの説明を受けてすぐに沖へGO!
吉田さんによれば、チヌ釣り講習会は、姫島から南に延びる「姫島曽根」でやっているという。エリア内ではチヌのベストポイントだそうだ。また、ヤズの釣り場も姫島沖だから、まずは姫島曽根に向かった。
糸島沖は、釣査が二度も延期になったのがウソみたいなベタナギである。鏡のような海でAS-21を走らせること約20分、姫島曽根に到着すると、アンカリングしたYF‐21の姿が見えた。スターンから棒ウキが2本流れている。講師の吉村康幸さんに声をかけてみた。
「こんにちは~。チヌ、釣れますか?」
「いやあ、釣れませんねえ」
「全然ダメですか?」
「午後はね。午前中は釣れましたよ。10尾ほど」
「えっ、そんなに!」

せっかくだから写真を撮らせてくださいとお願いすると、快くOKしてくれた。チヌをキープしたイケスのゴージャスなこと! サイズもグッド。YF-21のイケスはまるで満員電車だ。

いきなり"ダブルヒット"

チヌのフカセ釣りには、曽根にぶつかるように流れる上げ潮のほうがよく、この日は時合いが午前中だったそうだ。一方、下げ潮になってからは、潮流が曽根と平行に流れるため、状況はいまひとつだという。
いずれにしろ、曽根の潮上側にアンカリングして、船上からコマセを撒きつつ、コマセと付けエサが同調するようにウキを流すのがセオリー。といっても、特別むずかしいことはない。仕掛けを流すあとから寄せエサを数回投入するだけでOK。乗っ込みの時期はチヌが浮きやすいため、ウキ下は水深マイナス数メートルで、ウキは100メートル以上流すこともあるという。つまり、ボートポジションは曽根の頂点からそのくらい離すってこと。
とまあ、講習の基礎的な内容はこんなところ。詳しく書けばキリがないけれど、興味のある人はぜひ講習会に参加してみてください。玄海マリーナでは、乗っ込みが終わるまで開催するそうです。それにしても、この様子だと2日目もばっちり釣れそうだわ。ムフフ。
チヌの時合いも過ぎたし、十分満足したようで、YF-21に乗っていた福田雄一さんと児玉明廣さんと一緒にヤズを釣りに行くことになった。というか、釣査隊の到着を待ってくれてたみたい(ご協力ありがとうございました!)。
このところヤズは絶好調で、姫島沖の北側に行けば絶対に釣れるらしい。そう聞いてポイントに行ったら、ヤズねらいの漁船が何隻も操業していた。なかには潜行板を曳いている漁船もいたので、その邪魔をしないように、魚探に反応が出たところでジギングを開始。
すると、なんと1投目からダブルヒットだった。ん?隊長一人しかいないのに、ジギングでなぜダブルヒットかって?2本のアシストフックに2尾掛かっちやったのだ!
ヤズの魚影はたしかに濃かった。まさに入れ食いで、短時間のうちにダブルヒットがなんと計3回。アクションはスローなワンピッチが効果的で、ポーズを入れた瞬間にヒットするパターンが多かった。結局、ちょうど20尾釣ったところで釣りを終えて、天然記念物の名勝、芥屋ノ大門を見物してこの日は終了。
それにしても、2日目のチヌ釣りが楽しみだなァ。

まさかまさかの......

チヌへの想いが胸いっぱいに膨らんだ2日目の朝。一夜明けた玄海マリーナの沖では、その強い想いがあふれ出したように、北東の強風が吹きまくっていた。
あれ?なんで?予報ではこんなに風が吹くとは言ってなかったけど。
「このへんの天気予報ってあまり当たらないんですよね」
ロコアングラー役を引き受けてくれた吉田さんの哀れむようなまなざしが、チヌ釣りは明らかに無理だと物語っている。
「一応ポイントまでは行ってみますけど、ウキフカセはむずかしいと思いますよ」
YF-21で出航し、姫島曽根までなんとかたどり着いたものの、カカリ釣りはとうてい無理な状況だった。仕方なく沖ノ瀬に戻ってみたところ、アンカリングはなんとかできそう。そこで、試しにアンカーを打ってウキを流してみたのだが、風が潮と逆向きのせいもあって仕掛けが全然流れない。ボート際に投入したウキが目の前でじっとたたずんでいる。これじゃまるでヘラブナ釣りだ。よほど隊長の日ごろの行いが悪いのか!?残念ながら、チヌ釣りはあきらめざるを得ないなあ。
それでもターゲットに困らないのがボートフィッシング。そして糸島沖のいいところ。しかも、なるべく多くの魚種を釣るのが釣査隊の使命である。カサゴ、メバルなどの根魚と、シロギス、そしてアオリイカ用のエサとエギもちゃんと用意しておいたもんね。
沖ノ瀬は根魚の好ポイントでもあるので、メバルとカサゴをねらうべく、もっと根に近づいてアンカリングした。糸島沖では根魚を釣るときもカカリ釣りが一般的とのこと。
定番のドウヅキ仕掛けにサバの身エサを付けて、水深十数メートルの岩礁に仕掛けを送り込むと、すぐにヒットした。最初に釣れたのは、まずまずのメバル。その後は二人でポツポツとカサゴを追加した。風でボートが振られるとはいえ、一カ所でカサゴがこれだけバタバタと釣れるのは数が多い証拠だろう。

さて、お次はシロギスだ。
シロギスのポイントは鷺ノ首と呼ばれる岬の沖だった。魚探で底の状態をチェックすると、水深が7~8メートルまでは岩場だが、それより深くなると砂地が広がっている。少しずつタナを深くしていくと、水深12メートルでシロギス特有のシャープなアタリが来た。

このころから相当風が強くなり、ほどなくシロギスさえも厳しい状況に。
そこで、岸際の風裏に移動してアオリイカにシフト。実は時期が少し早かったものの、吉田さんが600グラム級を釣ったところでさらに風が強まり、今回の釣査は終了となった。予報では午後から風が収まるはずだったのに、これほど予報が外れるケースもたしかにめずらしい。
風さえ吹かなければきっとチヌがたくさん釣れたんだろうなあ。フカセ釣りができなかったのはホントに残念......だけど、チヌとヤズが釣れることは初日に嫌というほどわかったし、2日目には手軽な種目も釣査できて、釣査隊の使命はなんとか果たせたんじゃないかな。
これからもっと暖かくなれば、北風が吹かなくなって、釣れる魚種もいっそう増えるとのこと。おまけに、海水浴やバーベキューもできて、玄海マリーナは、釣り好きも、それほどでもない人もたっぷり楽しめる、ホントにいいホームマリーナでした。

隊長:齋藤海仁(かいじん)

【隊長:齋藤海仁(かいじん)】

中原釣具本店の並びにあるホームセンターで炭を買った。もちろんマリーナでのバーベキュー用。食材と炭はセルフサービスです。

今回のロコ・アングラー

【今回のロコ・アングラー】

吉田浩一郎(よしだ・こういちろう)さん
ナギの休日はかならずボートフィッシングをしているというフリーク。周辺のポイントだけでなく、メバリングや一つテンヤなど、トレンドの釣法にも詳しいゾ。玄海マリーナのハーバーマスターで、ブログの執筆者です。ぜひご覧あれ。

釣果カレンダー

釣魚カレンダー

エリアは西側に開けているが、沖が荒れるために、北東の風が吹くと湾内も荒れやすい。波高2メートルの予報だと出航はまず無理。姫島曽根と仏埼周辺には暗礁が多いので航行しないこと。特に姫島曽根では、浮標と島との間を横切るのは厳禁だ。周辺には漁港が点在し、操業中あるいは走行中の漁船が多く、要注意。また、鷺ノ首と姫島の近くには定置網がある。

糸島半島のフィールドマップ

糸島半島のフィールドマップ

エリア西側の地形は変化が乏しく、姫島、沖ノ瀬、筒瀬、アタ瀬の周辺がおもなポイントになる。ヤズやネリゴをねらうには、食わせサビキ仕掛けも有効。また、ベイトが湾内に入れば、ヤズやスズキが奥まで追いかけてくる。シロギスを除き、一帯ではカカリ釣りが一般的。アンカー投入時は、先行者の迷惑にならないように気をつけよう。特にフカセ釣りのボートの潮下にアンカリングするのはマナー違反だ。

玄海マリーナ

別荘地にたたずむ隠れ家的な雰囲気のこぢんまりとした老舗マリーナ。釣り場が近く、スタッフからオーナーまでほとんどが釣り好きと、釣り環境もばっちり。クルージングから釣り、アフターフィッシングまで、いろんな楽しみ方ができる懐の深いマリーナだ。

■交通アクセス
電車利用:JR前原(まえばる)駅よりタクシー10分。
車利用:西九州自動車道前原インターより約10分

■問い合わせ先
〒819-1331 福岡県糸島市志摩久家627番地
電話:092-328-2723
営業時間:午前8時~午後6時(4~10月)、午前9時~午後5時(11~3月)
定休日:火曜日(11~3月のみ。正月・盆休みあり)

今回使用したタックル

チヌ用のフカセ釣りのタックルは、基本的に磯釣りと同じでいい。もし長ザオの扱いに慣れていなければ、4メートル以下の短めのサオが扱いやすいかもしれない。ジギングとエギングは、やはり専用タックルがほしいところ。だが、シロギス、カサゴ、メバルなどのエサ釣りの場合、ポイントはどこも水深がさほど深くないので、シロギスザオがあれば十分カバーできるだろう。

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