第5回 GPS魚群探知機で海上での位置を把握する
今回はGPS魚探から得られる位置情報の緯度と経度の話をわかりやすく解説していきます。
今回はGPS魚探から得られる位置情報の緯度と経度の話をわかりやすく解説していきます。 会報誌See Sea Style vol.39 [2024.10] 掲載 <監修:小野信昭>
陸上の人間社会には、建物や交差点、道路標識などの目に見える目標物が存在することが多く、それらを利用して現在地を簡単に把握することができます。また、日本においては人が住む場所には県、市、町、番地など、現在地の位置情報を細かく伝えるための環境が整っています。
一方、道路や交差点がほとんど存在しない海上ではどうでしょうか?
陸上のように目に見える目標物が少ないため、遠くに見える灯台や電波塔、工場の煙突などを利用してある程度までは位置を把握することができます。しかしながら海域によっては灯台や煙突などが見えない場所も多く、位置の把握が困難なこともあります。そんな時でも役立つのが緯度と経度を使った位置の明確化であり、シースタイルのクラブ艇に装備されているGPS魚群探知機(以下、GPS魚探)で緯度と経度の情報を得ることが可能です。
今回はGPS魚探から得られる位置情報の緯度と経度の話をわかりやすく解説していきます。
1.緯度と経度の概念
緯度は、赤道を基準にして北緯または南緯で表されます。例えば、北緯35度は赤道から北に35度の位置を示します(図A参照)。
経度は、イングランドに在るグリニッジ天文台を通る本初子午線を基準にして東経または西経で表されます(図B参照)。例えば、東経139度は本初子午線から東に139度の位置を示します。
この緯度、経度の概念によって、地球上のどの場所でも位置を明確に表現可能となります。
【海上での具体例】
例えば、あるボートが北緯25度、東経130度の位置にいるとします。これは、そのボートが赤道から北に25度、本初子午線から東に130度の位置にいることを意味します。なお、より詳細な緯度・経度を表現するために○○度○○分○○秒という下の桁まで用いることが多く、度、分、秒という漢字の代わりに○○°○○'○○"と表現することもあります。
2.GPS魚探での緯度と経度の表示
GPS(Global Positioning System)は全世界的な位置測定システムで、地球上空を周回する人工衛星から発射する電波を直接受信し、自船位置を割り出す仕組みです。衛星からは極めて正確な時刻情報と軌道情報が発射されていて、複数の人工衛星からこれらの情報を得て距離を算出し、ボートの位置情報をリアルタイムで導き出します。その導き出された位置情報はGPS魚探の画面上に表示され、乗船者が現在のボートの位置情報を把握できます。
緯度の表示では、北緯を「N」、南緯を「S」のアルファベットの文字で数値の後に添えられています。経度の表示では、東経を「E」、西経を「W」のアルファベットの文字で数値の後に添えられています。
3.緯度と経度の活用
GPS魚探で得られた緯度と経度による位置情報は様々なことに役立てられます。
例えば、魚が釣れたポイントを記憶したければ、その場所の緯度と経度をメモすればよいことになります。なお、シースタイルのクラブ艇に搭載されているGPS魚探は、どれも位置情報をマシン本体にポイント登録する機能を有しているので、位置情報の記憶は簡単です。但し、ボート返却時は登録した位置情報を持ち帰る癖をつけておかないと、せっかくの釣れた実績情報を次のレンタル利用者に情報提供するだけになってしまうので注意が必要です。
その他にも、万一、海上にて何かのトラブルに見舞われ、相手に自船の位置を伝えなければならない場合にも緯度と経度による位置情報が欠かせません。
このように、緯度と経度を使うことで、地球上のどの地点でも正確に位置を特定することができます。
まとめ
- 海上での位置情報は緯度と経度で表すので、その概念を理解しよう
この記事は、会員制マリンクラブ(レンタルボート)Sea-Style会員様向けの会報誌に連載された内容を紹介するものです。