本文へ進みます

ヤマハ発動機株式会社 Revs Your Heart

ヤマハマリンクラブ・シースタイル

第4回 魚探では、立体的な水中景観を平面に表示する

GPS魚探を使いこなすには、基本原理や特徴を理解することが大切です。

GPS魚探を使いこなすには、基本原理や特徴を理解することが大切です。 会報誌See Sea Style vol.38 [2024.03] 掲載 <監修:小野信昭>

シースタイルのクラブ艇には、必ずGPS魚群探知機(以下、GPS魚探)が装備されています。
ボート上にて自船の位置情報や水中の様子を知る情報源がGPS魚探であり、それを使いこなすにはその基本原理や特徴を理解することが大切です。魚探は本体からケーブルで接続された送受波器(振動子)から超音波を海底に向けて発信し、水とは異なる密度の物体に反射して戻ってくるまでにかかった時間を計測、それを距離に換算して画面にドット(点)表示する装置です。使用者は水深や海底起伏、魚の有無等を画面上のドット表示から読み取り、水中の様子を推測します。
実際の水中景観は3次元の立体的なものですが、魚探画面は平面(2次元)なので、その違いから水中景観のすべてを画面上に表現できるわけではありません。
つまり、この違いを理解しないまま使用すると、海中景観を誤って解釈したり、実釣時においても誤ったアプローチを行なったりすることにも繋がります。
今回はGPS魚探の送受波器から発信する超音波の「指向角」の話と、画面に平面で表示されるときの盲点についてわかりやすく解説していきます。

送受波器から発信される超音波の「指向角」

魚探本体からケーブルで接続された送受波器から超音波が発信されますが、その方向によって超音波の強さが異なります。これを「指向特性」と言い、超音波の周波数や送受波器の大きさ、形状などによってもこの指向特性は異なります。

一般的な送受波器では真下に向けて発信される超音波の強度が最大となり、角度が斜めになるほど超音波の強度が小さくなっていきます。指向特性を表現するものとして指向角があり、超音波の強度が最大値の半分となる角度を「指向角」と定義します(図A参照)図Aでは指向角の定義を理解しやすくするために平面に描いていますが、実際には超音波は立体的に発信されるので、指向角を頂角とする円錐で模式的に表現するのが一般的です(図B参照)。この円錐を境に外側は一切探知しないということではなく、指向角は探知しやすい範囲の目安として扱うべきものとなります。

最新情報は右端縦1列のみ

魚探は探知した最新情報を画面の右端部分の縦1列にドットで表示し、次から次へと新しい情報が縦1列にドットで表示されるため、古い情報は画面の左側方向へどんどんと追いやられていきます。図Cでは、ボートが右の方へ進んでいく様子と、その時の魚探画面をイラストでわかりやすく表現したものです。ボートが進むことで円錐の範囲内に岩礁が入り始めると、魚探画面の右側から岩礁に該当するドットが表示され始めます。ボートがさらに進んで岩礁や魚群の上を通過し終わると、右端縦1列には新たな岩礁や魚群が表示されなくなります。とはいえ、先ほど探知した岩礁や魚群は、画面の左方向に追いやられつつも使用者はまだ見ることができる状況です。
このタイミングでまだ表示に岩礁や魚群が残っているからといって仕掛けを降ろしたところで、ボートは既に岩礁や魚群上を通過した後であり、手遅れで釣れないことになります。

立体的な水中景観を、平面で表現する魚探画面

魚探画面に図Dのような岩礁が表示されたとしても、実際に岩礁がa・b・cのどの位置に存在するのかはわかりません。円錐の範囲内のどこに岩礁が存在していても、岩礁が画面に表示されてしまうからです。円錐の底面積が大きくなればなるほど、つまり指向角が大きくなるほど広範囲の海中景観を捉えることになるので、岩礁や魚群が画面に表示されやすくなります。反面、表示されたものが実際の海中のどの方向に存在するのか?の判断が難しくなります(図D参照)

魚探画面で魚を捉えても、実際に存在する方向まではわからない

図Eでは、魚探画面の下層・中層・上層のそれぞれに魚が表示されています。前述したように魚探画面は平面で海中景観を表現するので、たとえ魚が表示されたとしても実際の海中ではどの方向に存在するのかはわかりません。この説明図のように、下層の魚はグリーン平面の方向に、中層の魚はオレンジ平面の方向に、上層の魚はブルー平面の方向に、というようにそれぞれ異なった方向に存在している場合もあり、魚探から得られる情報だけでは円錐内のどの方向に魚が実在するのかまではわからないことになります。

まとめ

1.
使用する魚探と送受波器の指向角を知り、探知可能範囲を把握しよう
2.
最新情報は魚探画面の右端部分の表示に注目する
3.
画面に表示された2次元情報から海中を立体的に推測しよう

この記事は、会員制マリンクラブ(レンタルボート)Sea-Style会員様向けの会報誌に連載された内容を紹介するものです。

あなたは釣るだけ!!キャプテン付きチャーターはこちら

魚の釣り方・調理法など、役立つ豆知識をご紹介!

ページ
先頭へ