第2回 魚探の探知結果を基にしたポイントの絞り込みから停船まで
魚に近づくにあたり、さまざまなテクニックが存在します
魚に近づくにあたり、さまざまなテクニックが存在します 会報誌See Sea Style vol.36 [2023.03] 掲載 <監修:小野信昭>
シースタイルのクラブ艇を利用したボートフィッシングで釣果を得ようと思ったら、海のこと、魚のこと、ボートのこと、釣りのこと、など関連する様々な知識が必要になります。
ボート上に居ながらにして水中の様子を知ることができる唯一の情報源がGPS魚探であり、クラブ艇には必ず装備されています。岸辺からの釣りでは、仕掛けを魚のいる場所まで届けなければなりません。具体的には長い竿を使ったり、仕掛けを遠投したりする必要があります。一方、ボートフィッシングの場合は、乗船したボートを走らせることで釣り人自らが魚に近づくことが可能です。とはいえ、魚に近づくにあたり、さまざまなテクニックが存在します。
今回は、GPS魚探を使ったボートフィッシングにおけるポイントの絞り込みから停船までをわかりやすく解説していきます。
大きく移動する時は50kHz(キロヘルツ)、停船直前には200kHz(キロヘルツ)の周波数がオススメ
GPS魚探本体にケーブルで接続された送受波器から発信する超音波の周波数は、50kHz(低い音)と200kHz(高い音)の2周波のモデルがほとんどで、その音波の高低による性質(指向角、分解能力、到達距離)を知ったうえで活用していくことが大切です。
ポイントの絞り込みから停船までの使いこなしをざっくり言ってしまうと、マリーナを出航してから大雑把にポイントを探す時には50kHzの探知結果を参考にし、最終的な停船位置を決める時には200kHzの探知結果を参考にします。
この周波数の使い分けは探知範囲の違いを考慮したもので、まずは大きく移動する時は指向角が大きな50kHzを用い、最終的な停船位置をシビアに決める時には指向角が小さな200kHzを用いるというものです。
実際には、クラブ艇に装備されているGPS魚探は50kHzと200kHzの両方を同時に画面表示可能なモデルばかりなので、いちいち画面を切り替える必要はありません。
釣りのポイントを通り過ぎてしまったら...「後進」ではなく「Uターン」で入り直す
走航中のボートはスロットルレバーを中立に戻すことで減速しますが、クルマのブレーキに該当するような強制的な停止機構は備えていません。GPS魚探をチェックしながら釣れそうなポイントを発見してもすぐに停船できず、ボートは惰性で通り過ぎてしまうことがよくあります。通り過ぎた後に慌てて後進して戻ろうとすると、後進によって発生した気泡が船尾側から船底を伝って流れ、魚探の送受波器を覆ってしまい、魚探表示が途絶えてしまういわゆる「泡切れ」が発生しやすくなります。
釣りのポイントに正確に入ろうとしている肝心な時に魚探画面の表示が途絶えてしまったらお手上げです。そうならないためには、後進ではなくUターンすることでポイントに入り直すことをオススメします。Uターンしたら、魚探画面を確認しながら今度こそ通り過ぎないようにと徐行でポイントに近づきます。具体的な船速は2~3ノットが良いでしょう。
なお、魚種や釣法によって停船時に求められる位置の正確さが異なるので、そのあたりのことは本連載の次回以降で紹介していこうと思います。
まとめ
- 1.
- 釣りのポイントに正確に停船するためには、指向角が小さな200kHzを用いる
- 2.
- 後進は泡切れしやすく、肝心な時に魚探表示が途絶えやすくなるので要注意!
この記事は、会員制マリンクラブ(レンタルボート)Sea-Style会員様向けの会報誌に連載された内容を紹介するものです。