【その13】血抜きで魚を美味しく
味わいに大きな差が出る魚の血抜き作業。鮮度を保ち、より美味しく戴く方法をご紹介します。
- キーワード:血抜き
味わいに大きな差が出る魚の血抜き作業。鮮度を保ち、より美味しく戴く方法をご紹介します。 会報誌See Sea Style vol.38 [2024.03] 掲載 <文・写真:お魚かたりべ 山嵜清張>
魚の鮮度を保ち、美味しく味わうために必要不可欠な作業が活ジメであり、中でも重要なポイントが血抜きです。
重要なポイントが血抜きです。
魚が保有する血の多い少ないに限らず、しっかりと抜き切ることがその後の愉しみ、魚を美味しく味わうという最も大事な時を、最良にも気まずい時間にも替えてしまいかねませんので、この工程はしっかりと行いたいものです。
そもそも活ジメした時、血をたくさん放血する魚は個体が元気であり、疲れていない美味しく食べられる可能性の高い魚です。血は見た目赤いですが、時間経過により濃い色となり、加熱すれば黒くなります。身の中の毛細血管に残った血に気付かず調理をすると、調理前と同じ魚とは思えない姿へと変化、血が固まったことにより食感にも微妙な変化を及ぼし、血の持つ匂いを増幅させ現れます。
血抜きを疎かにすることで「見た目」「食感」「匂い」悪化の他、死後硬直までの時間が早くなりますので、美味しくいただけるタイミングすらも短くしますし、死後硬直が解けて(腐敗へ進む)使えなくなるのも早くなります。嬉しい自慢の釣果が、血抜きを疎かにしたことで美味しく食べられないばかりか、お裾分けが喜ばれないことにもなりかねません。
まずはしっかりと脳殺、脊髄切断、神経抜きを行い、海水へ浸け置きます。
血抜きの方法は下記の記事でも紹介しています。
ボートに生簀や海水ポンプがある場合、容器等に流水・溜め水を作り、流れ溢れる海水から赤い血の色が消え去るまで浸け置けば血抜きの完了です。
流水がなくバケツなどに汲んだ貯め水しかない時は(陸上での場合)、魚体の健康度とサイズによりますが、最短でも5~10分は浸け置きます。途中、水を入れ替える(海水を足し溢れこぼす)ことができるならばお勧めします。流水を確保できるなら、頭側と尾の前側の骨も切断する二箇所切りをして水中へ投入。水が充分でないバケツなどの場合は、頭側一箇所のみとします。シメた直後は心臓がしばらくは動いていますので、そのポンプ能力で一箇所から抜ける放血効率に任せます。
青魚ではもちろん、一見、血の気が見えない白身魚の身の中にも血は留まっているということも理解し作業することで、より美味しく、長く味わえる魚へと変化させることができるのです。
血抜きの手順
血抜き 魚種別例
マダイ
カワハギ
マサバ
この記事は、会員制マリンクラブ(レンタルボート)Sea-Style会員様向けの会報誌に連載された内容を紹介するものです。