【その14】魚のアラの取り扱い方
捨てるのに困ってしまう方も多い魚のアラ。今回は美味しく有効利用する方法を伝授します。
捨てるのに困ってしまう方も多い魚のアラ。今回は美味しく有効利用する方法を伝授します。 会報誌See Sea Style vol.39 [2024.10] 掲載 <文・写真:お魚かたりべ 山嵜清張>
魚をさばくと必ず生まれるアラ。釣行が燃やせるゴミ収集日の前日とは限りません。
釣りが好き、魚が好きでも、生ものであるアラを放置し、お家が匂うのは別問題。冷凍庫で凍らせてしまうのがベストなのでしょうが、捨てるために他の食材を押しのけてスペースを確保するのには無理があり、アイスクリームが冷やせないと家族に嫌われたくはないものです。
それなら、アラも美味しく有効利用してみませんか。
一番シンプルな料理は塩焼き。塩を振りグリルで焼くだけです。出どころが解らない魚ならば、振り塩をし、汗がにじむ様に水分が出てきたら拭き取り、焼くというひと手間が必要ですが、自分が釣ってさばいたというコンディションが解るなら、この手間を省き、直接焼いて良いでしょう。
続いて万能に使える魚出汁の取り方
続いて万能に使える魚出汁の取り方ですが、下処理は不可欠となります。アラから出るダシを取るために不必要となるヒレや尾、エラは取り除きます。骨や、骨に残った身からは旨みや香りが出ますが、ヒレ、尾からはそれらがなく、付着していた汚れが、雑味と香りではない匂いとなるだけなので、先に外しておくのです。
次に湯通しします。骨と身に残った血合い、皮に残ったヌメリと汚れを、まずは固めることが目的です。長い時間漬け置く必要はなく、血の赤い色が変色する程度で湯から上げ、流水を使って血を取り除きます。この時、ハブラシなどを使えば凸凹の奥に残る部分も綺麗に落とせます。同時に皮表面にはヌメリが白く固まりますので、そちらも残さないよう洗い流します。
下処理を終えたら、アラを水から鍋に入れて加熱し始め、沸騰寸前で火力を弱め、水面がふつふつと揺れる程度をキープし、15分だけ加熱します。強火のままでは鍋中をアラが暴れ回り、ダシが濁ります。味わいを最大限出し切るには、85度程度の方が沸騰しているよりも効率が良いのです。なお、15分以上加熱を続けると、出し切ったアラを煮詰めているだけとなり、せっかくの味わいを崩してしまいますので、ご注意を。
加熱を止めた後、ザルで漉せば魚出汁の完成です。これをベースとして、いろいろな魚料理をお楽しみください。
残ったアラのアラは加熱されていますので、生の時とは違い嫌われることは減るでしょう。
魚出汁(マダイ)の料理例
★一番お手軽なのは、「魚出汁に味噌を溶いた味噌汁」です。
この記事は、会員制マリンクラブ(レンタルボート)Sea-Style会員様向けの会報誌に連載された内容を紹介するものです。