【その4】下処理の方法
大漁時のお裾分けに気配りを。今号では、貰う人が嬉しい魚の下処理方法をご紹介します。
大漁時のお裾分けに気配りを。今号では、貰う人が嬉しい魚の下処理方法をご紹介します。 会報誌See Sea Style vol.29 [2019.10] 掲載 <文・写真:お魚かたりべ 山嵜清張>
あなたの釣果を喜んでもらえる下処理とは
澄み渡る秋空に誘われ、気ままに舵をとり、出逢ったポイントで思いもよらぬ大漁となり、とても近日中には食べきれないと、お裾分けにあげたりする時、どの様な形態でお渡しすれば良いものか。他の食材とは違い、鮮度保持はもちろん、難易度が高いと思われている下処理作業が必要である魚を譲るにも、送り手の気遣いが求められます。
魚を丸々、そのままの姿で受け取り、さばくことの出来る人は稀と思える現代、家人友人であっても、あなたの釣果が歓迎されないことにすらなりかねませんね。
そこで最低限必要な下処理を済ませてしまえば、貰って喜ばれ、保管するスペースも取らず、何より魚の鮮度落ちを遅らせることも可能ですので紹介します。
タイやハマチなど比較的大きな魚の場合
ウロコを取り、頭と内臓も外し、血合いを綺麗に洗い流した後、更に尾、ヒレをハサミで切り落とします。ウロコが飛び散らないよう、大きめの透明ビニール袋に魚を入れ、手を差し入れてウロコ取り作業をすることでキッチンは汚れません。
下処理を行う時に軍手をはめておくことが必須。ヒレや包丁などでの思いがけない怪我予防であり、魚体に手のひらの温度を伝えないことで、わずかでも鮮度を落としません。また流水を当てながらの作業も、魚の温度を上げることとなりますので厳禁です。しっかりと水分を拭き取り、開いた腹中にはキッチンペーパーを丸めて詰め入れ、空気を遮断するかのようにラップで密封すれば出来上がり。
アジやメバルなど、小さめの魚では
お頭付きの料理をすることが主ですので、ウロコや内臓の他に、必ずエラを取り外しておきます。腹やエラブタを開け、覗き見える血合いは歯ブラシを使い、しっかりと洗い流してください。魚に残る血と体表のヌメリが、時間経過により魚嫌いの元凶である匂いを誘発するのです。下処理作業が終われば水気は丁寧に拭き取り、エラブタ内と腹中にペーパーを抱かせラップします。
ここまでの処理を済ませておけば
魚体を重ねることで冷蔵庫内での保存スペースも少なく済み、後の料理やさばきも、素早く効率的に行うことが出来ます。気配りで下処理された魚を貰ったら、誰もがあなたの大漁を心から一緒に喜んでもらえることでしょう。
この記事は、会員制マリンクラブ(レンタルボート)Sea-Style会員様向けの会報誌に連載された内容を紹介するものです。