本文へ進みます

ヤマハ発動機株式会社 Revs Your Heart

ヤマハマリンクラブ・シースタイル

Vol.23 千葉県・館山湾

全国のマリーナでボートをレンタルして釣行脚。今回は千葉県・館山湾のカワハギ・アオリイカほかをご紹介。

この記事はヤマハマリンクラブ・シースタイルのレンタルボートでの釣行です。

浅場から深場までいろんなターゲットを選べる千葉県の館山湾。シースタイル釣魚アラカルトで100年に一度の津波を吹っ飛ばせ!ボート倶楽部2009年3月号 [ 文:齋藤海仁 / イラスト:名取幸美 ]

信じる者は救われる

 どういう根拠か知らないけれど、最近は"100年に一度の大不況"だそうで。右を向いても左を向いても暗いニュースばかり。こんなに暗い話ばかりじゃ気もふさぐとお嘆きのアナタ。
チヨットマッテクダサイ。
不況やデフレはあくまで人の世の出来事。海や魚には関係ないし、魚が釣れる釣れないも景気と無縁。でもって、釣りは不況に強いといわれているコト、ゴゾンジデシタ?ブラックバスブームはバブル崩壊後だったし、アオリイカやソルトルアーが盛り上がったのはITバブルがはじけたあと。世知辛い人間社会ですさんだ心を癒すには、自然と触れ合う釣りは最高デス!シアワセになりたければ、釣りに行きましょう!アナタは釣りをシンジマスカ?
失礼。
釣りを信じるとか信じないとかはさておき、景気に関係なく魚が釣れるのは事実。実はこの原稿を書いているのはまだ08年の12月だけど、今シーズンは各地でマダイ、ワラサ、カワハギ、アオリイカ等々、いろんな魚が比較的好調だった。おまけに、秋から冬にかけてはおいしい魚がめじろ押しだ。カワハギのキモ和えに、アオリイカの刺身。マダイの松皮造りもいいな。カサゴの煮付けも食べたいゾ。よし、今度の釣査は舌が悶絶するような魚たちのアラカルトで・・・・・・と妄想を膨らませるうちに、はたと思い浮かんだのが千葉県館山の高尾商会だ。湾内でも水深が300メートル以上ある館山湾なら、深場から浅場までターゲットはよりどりみどり。しかも、今期はカワハギとアオリイカが絶好調ときている。イェ~ス。館山湾、シンジマ~ス!

浅場&深場の豪華二本立て

 館山といえば、以前はだいぶ遠いイメージがあったけど、07年に富津館山道路が全面開通してからはぐっと近くなった。釣具店に寄っても、アクアラインを過ぎてから1時間ちょっとで高尾商会に到着。
お店でいつもの手続きと安全講習を済ませ、船形港に車で直行。先代は漁師で、古くから館山で営業している高尾商会のバースは船形漁港の一角にある。ボートの目の前に車を止められるのはすごく便利だ。
今回のガイド役は、スタッフの高尾直克さんが引き受けてくれた。館山生まれの館山育ち。地元の釣りに詳しいのは当たり前。そして、今回は釣りのほかにもうひとつ期待のイベントがある。それは釣った魚を近所の料理店で料理してもらうこと。今回は近場なので、たまにはゆっくり夕食を楽しんでから家に帰るのも悪くない。プロに料理してもらうのはやっぱりおいしいしね。
ということは、釣果が夕食のメニューに直結するわけで、ますますがんばらなくちゃ。そこで2日間の釣査のうち、北西の風が強い初日は風裏の浅場がメインとなるカワハギ&アオリイカ。風の弱まる2日目は、もう少し深い場所で赤い魚をねらうことにした。

We Can Change!

 北西の風が強いこともあり、初日のポイントは風裏になる大房岬の南側だった。水深は約10~20メートル。
「で、カワハギとアオリイカ、どっちのポイントなんですか?」
「シーアンカーで流せばどっちもねらえますよ。お好きなほうでどうぞ」
と高尾さん。アラカルトな釣査に好都合なポイントだこと。
シーアンカーを入れてみたところ、利きは良好だった。潮はあまり動いていないけれど、風下にボートがトロトロとうまい具合に流れてゆく。前号(09年2月号)の「BCコラム」にも書いたように(読んでくれたかな?)、隊長はマイブームのカワハギからスタート。高尾さんも渋い和ザオを手にしているところを見ると、カワハギは得意種目のようである。
ちなみに、カワハギがマイブームの理由は宙層をねらう釣りの味を占めたからだ。仕掛けをたるませる従来の釣りとくらべると、感度重視で偶然性が低いのが魅力。また、千変万化するカワハギのタナをアタリで見極めてから、ハリに掛けるまでの駆け引きもおもしろい。
と思って、中オモリを使わない隊長に対して、重めの中オモリでタルマセ釣りをする高尾さんは、第1投から本命をキャッチした。その後も高尾さんにはアタリが続き、確実に釣っている。一方、隊長は、やっとこさ1尾掛けただけ。
こりゃダメだ。
隊長に釣られてもいいという奇特なカワハギは少数派らしい。
どこかの大統領じゃないけれど、ダメなときこそ「チェンジ!」。この日はタテの釣りが合っていないとみて、エギングロッドに持ち替えた。
水深10メートル以上での流し釣りとはいえ、ボートが流れるスピードが遅く、中オモリを使わなくてもイケそうだった。重めのエギをチョイスして潮上に軽くキャストしたら、なんとか底が取れる。海底付近のタナをトレースするイメージでエギをシャクって待っていると、ラインがツンと引かれたのでデレッと合わせた。1投目からヒット!
「チェンジ!」、やっぱ利くわ。
このあとは水深10~20メートルの間を流し続け、高尾さんと手分けしてカワハギとアオリイカを順調に追加した。
ところが、しばらくして西風が一段と強くなり、いったん風裏に避難して小休止。カワハギとアオリイカは十分確保できたし、楽しめたので、午後になって風が落ちてからはアジ、サバねらいに挑戦した。アジは釣れなかったものの、さらにサバとカミナリイカを追加して、この日は終了とした。

だんだん赤くなる

  予報どおり打って変わってナギに恵まれた翌日は、予定どおり日の出とともに出航。「え、ウソでしょ?」と思った人もいるのでは。「シースタイルの出航時刻がそんなに早いわけないだろう」って。ところがどっこい、高尾商会では朝6時から利用可能なのだ。釣り人にとって、朝マヅメはゴールデンタイム。こういうマリーナが増えてくれるといいですネ。
でもって、ターゲットも予定どおり赤い魚である。冬の赤い魚というと、隊長の頭には真っ先にアマダイの姿が浮かぶ。
「アマダイはあんまり数がいないんですよね。マダイのほうが確率は高いでしょう」
  高尾さんはこう言っていたけれど、今回はバラエティー重視だから1尾でも顔を拝めればよしと割り切って、厳しいほうのアマダイからねらってみた。
アマダイ仕掛けは片テンビンに吹き流しの2本バリが定番だ。マダイと違ってあまりコマセを使わないのは、外道が極めて多いことと、アマダイがナワバリを作るせいもあるのだろう。食い気を誘うには、誘い上げや誘い下げでエサを動かすのがセオリー。
アマダイのポイントは、大房岬と洲崎(すのさき)を結んだライン際の水深80~100メートル付近である。ボートコントロールは流し釣りだ。パラシュートを使えれば楽だったけれど、風と潮のスピードが合わず、手前船頭で操船しながらの釣りとなった。
高尾さんはここでもやってくれた。さっそく本命のアマダイと良型のホウボウをキャッチ。
一方、隊長といえば、エサ取りの猛攻を受けただけ・・・・・・。消防車はドコデスカ?郵便ポストはドコデスカ?違った。シアワセの赤い魚はドコデスカ?
チェンジ!!
バラエティー重視なので、アマダイは1尾釣れればOKと思っていたし、隊長にはぜひともマダイを釣りたい理由があった。実はエサを買った「釣吉」で、隊長の好きなシャクリマダイ用の豆テンヤと冷凍アカエビを発見し、即バイトしていたのだ。アマダイ釣りの最中からシャクる気マンマンだったのです。正直言うと。
マダイのポイントは、湾央部のバラ根という急なカケアガリだった。魚探をかけたところ、水深100メートルから30メートルくらいまで一気にかけ上がる壁のような場所でびっくり。とりあえず水深60メートルからシャクると、ガツンと来た。けど、なんだか引かない。正体はマハタ。続いて50メートルでヒットしたのはカサゴ。だんだん赤くなってきたゾ。で、ついに40メートルでヒット! と思いきや、すっぽ抜けた。快心のアワセだったのにおかしいな~。と、上がってきた仕掛けを見たら、親バリが折れてるわ・・・・・・。
教訓。テンヤは自分で作りましょう。
これでシャクリマダイはジ・エンド。コマセ釣法に切り替えて、ビシを基準にハリス分プラス3メートル海底から上げて置きザオにしたら、しっかりマダイとハナダイ(チダイ)が釣れた。やっぱりいたんだ・・・・・・。
てなわけで、まずまずの釣果に恵まれた隊長は、首尾よくお昼に納竿した。そのあとはいったん魚を料理店に預けて館山観光を楽しみ、夜は海の幸をすっかり堪能しちゃいました。
ターゲットはバラエティー豊かで、とても密度の高い釣りが楽しめる館山湾。シースタイル的満足度120パーセントの海でありました。

隊長:齋藤海仁(かいじん)

【隊長:齋藤海仁(かいじん)】

地元の料理店「こみや」で2日分の釣果を前にご満悦の隊長。プロに料理してもらうのはやっぱりおいしいよね。

今回のロコ・アングラー

【今回のロコ・アングラー】

高尾直克(たかお・なおよし)さん
館山生まれ、館山育ちの海の男。渋い和ザオと感度重視のワイヤ仕掛けによるタルマセ釣りで、じゃんじゃんカワハギを釣り上げたのはさすがだった。

釣果カレンダー

釣魚カレンダー

館山湾は東西に長い楕円形の北西側を切り取ったような形をしていて、湾口の中央部は水深400メートル以上という急なお椀形をしている。海岸の底質も砂地から岩場まで多様なおかげで、浅場から深場まで、実にいろいろな魚が生息していて、対象魚には事欠かない。また、夏から秋にかけては青ものも回遊する。冬のヒラメ、マゴチは、エサとなるイワシの群れ次第。

館山湾のフィールドマップ

館山湾のフィールドマップ

北西から西側に風を遮る陸地がないため、西寄りの風には弱い。特に北西の季節風が強くなる冬は、出航できない日も増えるが、逆に冬以外は「鏡ヶ浦」と呼ばれるように、静かな日が多い。平島と沖ノ島の周りには暗岩があるので、近づきすぎないこと。その他の場所で危険なエリアは少ない。基本的に初心者でも遊びやすい海といえるだろう。

高尾商会

創業40年以上の歴史を誇る、東京湾きっての老舗ボート店。販売、修理、保管を手がけ、特に技術力には定評がある。船形漁港にバースを持ち、ポイントがとにかく近い絶好のロケーションを誇る。全艇陸上保管体制で、保管艇(FB艇以外の27フィートまで)も募集中。

■交通アクセス
富津館山道路、富浦ICより約5分

■問い合わせ先
住所:〒294-0056 千葉県館山市船形1044
TEL:0470-27-2170
営業時間:シースタイルは午前6時(日の出)~日没まで
定休日:不定休(年末年始は休み)

今回使用したタックル

アオリイカとカワハギにはぜひ専用のサオがほしいところ。コマセ釣りや中深場の釣りには、中深場までカバーできるコマセ釣り用のタックルが1セットあると、使い回せて便利だ。また、硬調子のカワハギザオはシャクリマダイに流用できる。いろいろやろうとすると、タックルが増えてしまうけれど、高尾商会のクラブ艇はロッドホルダーが充実しているので、安心して何セットも持って行ける。

ページ
先頭へ