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ヤマハマリンクラブ・シースタイル

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Vol.10 沖縄本島・中城湾

全国のマリーナでボートをレンタルして釣行脚。今回は沖縄本島・中城湾をご紹介。

この記事はヤマハマリンクラブ・シースタイルのレンタルボートでの釣行です。

今回のフィールドは沖縄本島の中城湾。特大号のスペシャル企画ってことで、ギビナーからベテランまで楽しめるルアー天国をばっちり釣査してきたぞ!ボート倶楽部2006年2月臨時増刊号 ボートフィッシング特大号 [ 文:齋藤海仁 / イラスト:名取幸美 ]

はじめまして、隊長です

 ボートフィッシングって面白いよねェ。おそらくこの特大号を手に取った方はすでに味を占めていることでしょう。でも、大きな問題がひとつある。それは釣り場が限られがちなこと。そう、あっちこっち行きにくいのだ。
ところが、釣り人にはいろんな場所でいろんな魚を釣りたいという欲求があるもの。1カ所で100尾釣るより、100カ所で1尾ずつ釣りたい、という人も多いのでは? 地方によっていろんな釣り方もあることだし。
ボートフィッシングが好き。だけど、いろんな場所で、いろんな釣り方で、いろんな魚を釣ってみたい。そんなアングラーのために、全国各地に拠点を持つ「ヤマハマリンクラブ・シースタイル(旧SRVレンタルボートクラブ)」を利用して、津々浦々からボートフィッシングの魅力をレポートするのがこの「出動! レンタルボート釣査隊」であります(ただいま年4回『ボート倶楽部』でお届け中)。
でもって特大号。年に1度のスペシャルだ。
119もあるマリーナのうち、どこへ行くかでいつも悩むんだけど、いろんな場所、いろんな魚、いろんな釣り方と、そもそもいろいろ目当てのこの企画。とくれば、カラフルな魚を釣りに沖縄ってのはどう?いや、冗談はともかく、沖縄なら魚も釣れそうだし、旅のついでにボートフィッシングを楽しめるってとこもいいでしょ。それにせっかくの特大号なんだからさ、リゾート気分でパーッと行こうよ、パーッと!
ってことで、行っちゃうよ、沖縄。

沖縄屈指のリゾートビーチ

 目指すは沖縄本島、中城湾の沖縄マリーナである。那覇空港からレンタカーで1時間ほどで到着。朝から移動すれば午前中に着いちゃうんだから、沖縄もけっこう近い。
ハーバーマスターの崎濱秀尚さんに利用手続きをしてもらい、安全講習とエリアの解説を受ける。中城湾は外洋に面しているようでも、島やリーフに囲まれているおかげで意外に穏やか。気になるターゲットは、ハタ、ハギ、ベラ、フエフキ、アオリイカ等々で、とにかく種類が多い。なかでも注目はガーラだろう。ガーラといえばヒラアジだ。カスミアジ、オニヒラアジだけじゃなくて、GT(ロウニンアジ)もいるらしいぞ。
GTとカジキは一生に一度は釣りたい魚。お手軽なタックルじゃGTは無理としても、ガーラ、せっかくだから釣りたいなあ。
初日は午後だけの利用なので、釣りはしなくてもOK。できれば沖縄らしい場所に行ってみたいと崎濱さんにリクエストしたら、津堅島をすすめてくれた。
マリーナを出航して航路を走ると、正面に津堅島が見えた。天気は快晴。絶好のクルージング日和。レンタル艇のエアロスポーツ21を快調に走らせて、島に到着して驚いたのなんのって。絵に描いたような南の島のビーチがある。しかも海水浴客ゼロの、プライベート状態だ。
「ここは沖縄でも5本の指に入るビーチですよ」
と崎濱さんも太鼓判。ビーチングもできて、ここに来るためだけにボートを借りる人も多いらしい。そりゃそうだ。こんな砂浜を見たら本島のビーチに行く気はしないよ。釣りをしなくてもボートを借りる価値はある、と隊長ですら思うほど。
といっても、ごめんなさい。真っ赤なウソでした。だいたい釣りをしないでいられるわけがないんだよな。ビーチの脇においしそうなスポットを見つけちゃったからもうおしまい。ベレー帽みたいな岩の脇でジグを落としてゴン・ジー......ってホント!?底取る前からヒットだよ!
でも、なんだこりゃ? 青ものみたいなファーストランだけど、ときどきググンって大きく引き込む。ずいぶんメリハリが利いてるぞ、と思いながら、上がってきた魚を見てびっくり。なな、なんとガーラ!1投目から本命ときた。
こりゃたまりません。

沖縄の底力を痛感

 2日目はいよいよエキスパートを迎えての本格釣査である。
今回のロコアングラーは「沖縄ルアー天国」というHPを持ち、新聞や雑誌にも寄稿している望月 智さんだ。今はボートオーナーだが、少し前までレンタルボートの会員として沖縄マリーナからよく釣行したという。HPの写真はどうして? ってくらいコワモテなのに(ホントだよ)、実際はとても気さくで楽しい人だ。望月さんのアドバイスに従って、この日のプランはリーフ周りのシャローゲームとジギングに決定。いずれもライトタックルだが、一応、大物用にミドルクラスのタックルも用意しておく。
最初に向かったのは久高島周りのリーフだった。アプローチは風上側の水深20メートルくらいでエンジンを切り、風任せに流すだけ。これでリーフエッジにルアーをキャストするだけと実に簡単である。
初日のガーラに気をよくしていた隊長は、まずデカポッパーやらデカペンシルやらを投げたけど反応なし。で、望月さんおすすめのライトタックル+ソフトルアーに替えた途端、ビビッと来た。
とっさに合わせると、ジィーとドラグが鳴る。さすが沖縄。そうこなくっちゃ。何度もラインを引き出すトルクフルなヒキはまたもや未体験。こりゃ楽しいゾ。
上がってきたのは、やっぱり初対面の琉球ボーイだった。望月さんに聞いたら、沖縄名をクチナジ、和名はイソフエフキといって、とてもおいしいとのこと。
リーフのシャローでクチナジを何尾か追加したあとは、少し深場に移動してジギングにチャレンジ。水深40から20メートルくらいまでのカケアガリでリフト&フォールすれば、赤やら青やら黄色やら、派手な魚が釣れてくる。その魚の色や模様の面白いこと。顔中血走ってたり、全身ボツボツだったりしてまるで幼稚園児の落書きみたいだ。イケスにキープしたらプチ水族館ができちゃうな。
一方、望月さんはカラフルな魚に嬉々とする隊長に「好きですねぇ」と呆れ顔。でも、意外に受けてるのか、"もっと楽しい釣り場がありますよ"とほかの場所へ連れてってくれた。
そこは満潮時になると魚が差してくるという、湾内の浅いリーフだった。フローティングミノーをトゥイッチすると、リーフの陰からどんどん魚が飛び出してくる。クチナジ、ハタ、ベラ、そしてアオリイカまで猛チェイスしてくるよ、って脳天気にライトゲームを楽しんでいたそのときだ。
ギャーーー!
ミノーがひったくられると同時にドラグが猛烈な悲鳴を上げる。これまでと次元の違う勢いで突進され、あえなくラインブレイク。
その間、隊長は呆然とロッドを構えていただけ。手も足も出ないとはまさにこのこと。完敗だ。こんな場所で、こんな釣り方で、これほどパワーのある魚がいるなんて予想だにしなかった。この日はいくら魚を釣ってもこの圧倒的な敗北が頭から離れなかった。

その名はタマン

 望月さんによれば、暴れん坊の正体はハマフエフキ、地元名でタマンだろうとのこと。タマンは沖縄で大人気のターゲットで、大きくなると80センチ、6キロを超えるという。陸っぱりで釣っていると冗談抜きにサオを持っていかれることもあるそうだ。突然の大物の出現に、沖縄の底力を思い知らされた気がする。
ならタマン、釣ってやろうじゃん。
残るは3日目の午前中のみ。それも満潮前後と時間は限られているが、ここはいっちょ大艦巨砲主義の男釣りでタマンと一騎打ちだ。
台風接近中の3日目は、それまでのベタナギと打って変わって風も波もあった。警戒心の強いタマンには好条件と望月さん。
定番のシンキングペンシルを2人で投げまくる。たまにブルンとチェイスがあるものの、フッキングにはいたらない。活性が低いのか。昨日の完敗が脳裏にまざまざと蘇ってきた。でもって、ライトタックルに手を伸ばしたのがいけなかったんだよなぁ。フッキングしないから、昨日掛けたミノーのトゥイッチングもいいかなとつい日和っちゃったんだ。そういうときに限って来るもんなんだよ、大物ってのは・・。
PE0・8号の先のミノーは、弱ったイワシよろしく簡単に持ってかれた。"掛けたらとにかく強引に寄せるしかない"ってのに、今度もまったくなす術なくリーフの間に入られる始末。
でもまだ逃げられたわけじゃないゾ。根から出ることだってある。ボートを反対に回してラインを緩めたら、やった、出た! と思った瞬間、ラインが宙を泳いだ。高切れだ。そよそよ風になびくPEラインがあまりにむなしすぎる。情けなや......。
「なんでライトタックルにしたの? 男釣りじゃなきゃタマンは取れないよ。これじゃオカマ釣りだね」と望月さん。おっしゃるとおりです。
結局、タマンは釣れずに時間切れ。あ~あ、スペシャル企画の沖縄リーフフィッシングもこれで終わりかあ。タマンが釣れなかったのは残念だけど、ガーラが釣れたから、ま、いっか。タマンはまた釣りに来ればいいさ。
残るはキャスティングシーンの撮影だけ。だがしかし、ミラクルは起こった。なな、なんと、正真正銘のラストキャストでタマンがヒットしたのである。
思えば、ガーラが釣れたのはファーストキャスト。タマンが釣れたのはラストキャスト。なんだかマンガみたいだけど、これ全部ホントの話。
たくさんのドラマに彩られた沖縄釣行は奇跡の大逆転で閉幕。ビギナーもベテランも満足ゆく釣りができるかと思えば、沖縄で5本の指に入る美しいビーチもある。旅のついでに利用するもよし、釣りに来るもよし。まさにレンタルボートの醍醐味を満喫できる沖縄の海でありました。

隊長:齋藤海仁(かいじん)

【隊長:齋藤海仁(かいじん)】

ファーストキャストで釣ったガーラの刺身に舌鼓を打つ隊長(でも隊員はいない)。ちなみに、よく聞かれるんですが本名です。ペンネームじゃありません。

ロコ・アングラー

【ロコ・アングラー】

望月 智(もちづき・さとし)さん
沖縄の釣り雑誌『釣王国』に連載を持つルアー釣りのエキスパート。05年の7月にマイボートを購入してからというもの、毎週のように海に出ているという。

釣果カレンダー

釣魚カレンダー

 4~6月の間は湾奥までベイトが入り、ガーラのナブラがよく立つという。その他の時期のガーラは散発的。神経質なフエフキ類は朝イチか潮の動いている間がねらいめだ。冬に浅場に差すタイワンダイはウフビシの手前がいい。その他、ハタ、ベラ、ハギ類を含め、ポイントはすべてリーフ周り。水深20m以内ならキャスティング、40m以内ならジギングでねらう。

中城湾のフィールドマップ

中城湾のフィールドマップ

 湾の東側が開けているようでも、島やリーフに守られているおかげでシケには比較的強い。1~2月の間は偏西風が吹くものの、強風でなければOK。基本的には周年楽しめるエリアである。注意すべきはリーフと夏のスコール。港内では必ず航路を通り、浅いリーフや、特に平曽根の灯台には決して近づかないこと。また、スコールの雲が遠くに見えたら早めに避難しよう。

沖縄マリーナ

沖縄が日本に返還される前に造成された屈指の伝統を誇るマリーナ。高い建物のない広々とした敷地は開放的で緑も多く、沖縄のリゾート気分を満喫できる。レンタルボートの利用者は県外の人が7割というのも納得

■交通アクセス
車利用=沖縄自動車道「沖縄南IC」を降りて約10分

■問い合わせ先
〒904-2172 沖縄県沖縄市泡瀬1-41-12
TEL:098-938-3397

今回使用したタックル

 ルアーに釣り方を絞った今回は、ライトとミディアムの2クラスを用意。ライトタックルは5~14gくらいまでのルアーをキャストできるもの。ミディアムクラスは30gまでのポッパーやシンキングペンシルをロングキャストできるタマン、ガーラ用だ。ジギングタックルを用意してもいいが、ライトタックルで十分のため、今回はエギングも含めてオールマイティーなロッドを選択した。リールはドラグのしっかりしたものが必須。

【ROD】
ダイワ・ソルティガA-ROUNDER70S(左)は、近海オフショアのキャスティングゲームにもっとも汎用性の高いモデル。変則2ピースで遠征にも便利。今回はタマンをキャッチ。
●全長:7ft
●キャスティングウエイト:10~40g
●適合ライン:MAX16lb(ナイロン)

ダイワ・ソルティストSTX-BC SHORT BITE69は、繊細さと粘り強さを持ち合わせるシーバスロッドだが、リーフのライトルアー五目にもジャストフィット。今回はガーラをキャッチ。
●全長:6ft9in
●キャスティングウエイト:5~15g
●適合ライン:6~10lb(ナイロン)

【REEL】
ダイワ・セルテートシリーズは、ルアーアングラーから大きな評価を得ているスピニングリール。ソルトウォーターでの信頼性が高く、遠征先でも安心して使えるハイグレードモデル。今回はミディアム用に「3000」、ライト用に「2506フィネスカスタム」をセレクト。
●イト巻き量:(3000)3号-200m/(2506)PE0.8号-140m
●自重:(3000)285g/(2506)235g

上からタマンとガーラのヒットルアー。
赤金は特にタマンのヒットカラーだそうだ。

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