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ヤマハ発動機株式会社 Revs Your Heart

ヤマハマリンクラブ・シースタイル

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Vol.01 舞鶴・若狭湾

全国のマリーナでボートをレンタルして釣行脚。今回は舞鶴・若狭湾のアコウをご紹介。

この記事はヤマハマリンクラブ・シースタイルのレンタルボートでの釣行です。

第1回は、関西のボートアングラーに絶大な人気を誇る高級魚アコウ。小アジを釣ってエサにする、ハラハラドキドキのノマセ釣りに挑戦だ。ボート倶楽部2003年12月号 [ 文:齋藤海仁 / イラスト:名取幸美 ]

レンタルボートでニッポンを釣ろう

 ボート釣りって、面白い。
これまでいろんな釣りを見たり聞いたりしてきたけれど、最近あらためてそう思うようになった。
北は北海道から南は沖縄まで、対象魚はゆうに100を超える。それぞれに対して何種類もの釣り方がある。たとえばマダイひとつとってみても、フカセ、シャクリ、ビシマ、ドウヅキ、テンテン、コマセ、ジギング等々。極端な話、港ひとつ違えば釣り方が変わることもあるし、釣り方に制約のないボートフィッシングならではの釣法も数知れず。これほどバラエティーと奥行きのある釣り、いや、趣味は滅多にないだろう。
実に多彩な表情を持つニッポンのボートフィッシング。その無限大の魅力の一端をご報告すべく、このたび光栄にも"釣査隊の隊長"(でも隊員はゼロ)を仰せつかったわけだが、調査にあたって問題となったのがボートだった。
カートップボートも一案だけれど、陸上にしろ水上にしろ、目的が目的だけに「足」を考えるとやはり物足りない。
そこで目をつけたのが「ヤマハSRVレンタルボートクラブ」である。これは非常にリーズナブルな料金のレンタルボートシステムで、なにより全国120カ所(平成16年8月現在)で展開しているのが最大の強み。ベース艇のSRV20に加え、UF-21HTやUF-21CCといったフィッシングボートをレンタルできる場所もある。僕のようなご当地釣法マニアには、この上ないクラブなのだ。

憧れの魚をねらって若狭湾へGO!

 記念すべき第1回の取材地はすぐに決まった。
若狭湾の舞鶴だ。
若狭湾といえば、日本三景のひとつである天橋立や三方五湖など、風光明媚な景勝地として知られる海。対馬海流の影響を受ける複雑な地形は多くの魚を育み、日本有数の舞鶴魚市場を擁する近海魚の宝庫でもある。ボートフィッシングではマダイの完全フカセ釣法が有名だ。
しかし、今回のターゲットはマダイではない。その名はアコウ。標準和名はキジハタである。
このアコウという魚、関東以北の釣り人にはあまりなじみがないけれど、関西では人気絶大の超高級魚。ハタ科のなかではクエやマハタをしのぐ美味とも言われ、とくに夏はおいしく、ポン酢でいただく薄造りは最高。
もちろん、釣りも魅力的だ。
定番はノマセ釣りといって、生きアジをエサにドウヅキ仕掛けでねらう。僕がノマセ釣りを知ったのは田原隊長率いる「ボー研隊」諸氏の若狭湾釣行記だったが、それによると、どうやらこの釣りは大変興奮するものらしい。というわけで、「若狭湾=アコウ 」の黄金律が刷り込まれてしまったのである。

人んちの庭先で小アジ釣り!?

 レンタルボートの拠点となるアオイマリーナは、国道175号線から府道601号線に入り、車で10分ほどのところにあった。
豪華客船のブリッジをかたどった白いビルがとてもクールだ。到着したのは午前9時前。まもなく今回のガイド役を買って出ていただいた切東真二さんが登場した。切東さんはヤマハFC-27を所有するボートアングラーで、ノマセ釣りだけでなく、完全フカセ、ジギングなど若狭湾周辺の釣りに精通するエキスパートである。
マリーナでレンタルボートの手続きを済ませ、タックルとボートの準備を整えたらさっそく出航。まずはエサの小アジを釣らなければならない。ノマセ釣りは忙しいのだ。
アコウのポイントは伊根鷲埼沖(いねわしざき)とのこと。小アジもなるべくその近くで釣ろうと伊根港を目指す。緑豊かな海岸線に囲まれた美しい内海を抜け、そこからさらに30分ほど走り、舟屋で有名な伊根の港に到着した。
小アジのポイントは港の入り口にある舟屋の目の前。人んちの庭みたいで妙な気分だったけれど、ベストサイズのアジが入れ食いなのは幸先がいい。

さすがの4連発にあ然

 30分ほどで十分な数のアジを確保し、ノマセ釣りのポイントへ向かう。
鷲埼沖には、魚礁や過去に定置網を設置したときの捨てアンカーブロックなどが点在している。水深30~60メートルでそんな障害物をねらうのがアコウ釣りの定石。
周辺は泥や砂底のため、少しでもポイントを外れるとアコウは食わない。魚礁が非常に小さいから極めてシビアな操船が強いられる。GPSプロッターの表示を目一杯拡大して、40メートル前後の水深で魚探をにらみつけながらボートを走らせた。
あった、あった。すかさずGPSにマーキング。しかし、こいつは本当に小さいなあ。魚探の海底の幅が少し厚くなってゴツゴツする程度。これじゃ遊漁船は無理なはずだ。
とりあえず風と潮の利き具合をみるために仕掛けを下ろしてみる。と、南西寄りの風に対して潮はほぼ反対だった。
さあ、いよいよ本番である。
釣り方は底ダチを取りながら待つだけ。生きエサ釣りのご多分に漏れず、前アタリでは合わせずに、しっかり食い込ませた本アタリで合わせるのがコツだ。
期待に胸を躍らせつつ第1投。すると、切東さんにすぐアタリが来たのには驚いた。サオ先がモゾモゾしているのがはた目にもわかる。しばらくそんな状態が続いたあとでタイミングを見計らって合わせると、ムーチングアクションのサオが満月に。「あんまり大きくないけれど、なにか掛かってますよ」と言いながら切東さんが取り込んだのは、小ぶりのアオハタだ。
アオハタはアコウにも劣らず美味だそうだが、砂泥地にもいる魚。ちょっと操船が甘かったのかもしれないと、新たな魚礁を見つけてリスタート。
で、このあとがすごかった。切東名人はアオハタを1尾追加してから、なんと本命アコウ2尾の4連続ヒットを披露する。「今日はちょっと小ぶりですねえ」などと涼しい顔だが、とくに2尾目のアコウなどは前アタリを待って、大きな引き込みの本アタリでしっかり合わせるセオリーどおりの見事な釣技だった。

若狭湾よ、ありがとう

 魚はいる。アタリもある。でも、焦ったのなんのって。同じボートで同じことをしてるのに、隊長に釣れないのはナゼだ!?
徐々にヘコみ始める私。と、そのとき待望のアタリが訪れた。心臓ドキドキで数秒待って、サオ先が勢いよく引き込まれる本アタリで快心の大アワセ!
スッポ抜けた。
力も抜けた。
おかしい。
アタリの大きさはバッチリだったはずなのに・・・頭のなかは口惜しさと"???"が渦巻いている。結局、前アタリから数秒しか経っておらず、アワセのタイミングが早すぎたとしか考えられなかった。いくら大きなアタリが来ても、次はじっくり食い込ませようと気持ちを切り替えて仕切りなおし。
アタリはすぐに来た。今度は逃してなるものかとじっくり粘ってみたら、振幅が大きくても意外に食い込まない。つまり、前アタリ自体がけっこう激しいのだ。体長数10センチの魚にしてこの出方は相当なもの。食い込みに時間がかかるし、心臓ドキドキで本アタリを待つ絶頂感の長さはほかの釣りの比ではない。関西のボートアングラーがハマるのも、もっともだ。
重量感のある引き込みで合わせると、ズシリとした手応えが伝わった。魚は掛かったが、アコウとは限らないので油断は禁物。実はこの前に、外道のマトウダイを2尾も釣っていたのだ(それもヘコんでた理由だったけど)。
期待と緊張が入り混じりながらミチイトを見つめる。PEラインが最後の1色になり、やがて魚影が見え、褐色の体に黄色い斑点を散りばめた憧れのアコウが浮いてきた。
感動。
このあと僕がもう1尾アコウを追加したところで潮が緩み、食いがパタリと止まってしまった。潮が利いている間に釣れてホントによかった。やれやれ。
前アタリの間の緊張感。アワセが決まったときの手ごたえ。青ものと違って、ピンポイントをねらい撃ちするイメージもいい。
それにしても、家に帰ってから食べたアコウのうまかったこと。こんなに美味しい魚をこんなに面白く釣れるなんて、西日本のボートアングラーがつくづくうらやましいゾ。
ノマセ釣りはエサの小アジが釣れる夏から秋に限られるものの、マダイの完全フカセや青もののジギングなど、ほかにも魅力的な釣りが目白押しの若狭湾舞鶴周辺。おまけに、自然海岸が続く緑に囲まれた海はとても美しかった。この海が豊かなのは、きっと森のおかげもあるのだろう。
次は完全フカセでマダイを釣りに来よっと。

隊長:齋藤海仁(かいじん)

【隊長:齋藤海仁(かいじん)】

若狭湾は天橋立や三方五湖(みかたごこ)など、緑豊かな美しい海岸線を誇る風光明媚な海。朝方吹いていた南西寄りの風も次第に収まり、快適な釣りが楽しめた。舵を握るのが齋藤海仁(さいとうかいじん)隊長。

今回のロコ・ガイド

【今回のロコ・ガイド】

舞鶴の現地ガイド役をお願いした切東真二(きりひがししんじ)さん。ヤマハFC-27〈アンバージャックIV〉で若狭湾をホームグラウンドに釣りまくる。アオイマリーナ谷崎社長が「若狭湾に切東あり」と太鼓判を押す腕前で、ジギングや完全フカセもお手のものだが、「やっぱりノマセ釣りのほうが面白いよ」というノマセフリーク。船頭倶楽部所属。

釣果カレンダー

舞鶴周辺の釣魚カレンダー

 春の乗っ込みダイは徐々に沖から湾の内側へ移動する。釣り方は完全フカセかテンビンフカセ。夏の大アジは45cmオーバーがターゲット。夏過ぎから晩秋までの青ものは年によって差が激しい。冬は海が荒れて出られないのでシーズンオフに。なお、ヒラメは周年ねらえる。
ほかに湾内でシロギス、クロダイ、スズキ、岸寄りでメバル、ガシラ(カサゴ)など。

若狭湾フィールドMap

若狭湾フィールドMap

 レンタルボートの航行範囲内は全体に砂泥底。シロギスやスズキ、クロダイは湾内がよく、マダイや青もの、根魚は舞鶴湾外の魚礁がねらいめ。地形を見ればわかるように、南寄りの風には強いが、北寄りだとかなり荒れやすいので注意しよう。

アオイマリーナ

レンタル艇にはSRV20が3艇のほか、フィッシング向きのUF-21HTとUF-21CCを配備。100mのアンカーロープとウインドラス、GPS魚探を装備し、魚礁を網羅したポイントマップや、オキアミ、アミエビ、氷もマリーナに常備とフィッシング環境はこの上なく充実している。クラブハウスには温水シャワーがあり、アフターフィッシングも快適

【交通アクセス】
クルマ利用=中国自動車道・池田ICから舞鶴若狭自動車道へ。舞鶴西ICから国道27号線、175号線、県道601号線で約20分
電車利用=大阪からJR福知山線、舞鶴線で西舞鶴駅まで約2時間半。京都からはJR山陰本線、舞鶴線で約1時間半。西舞鶴駅からは車で約15分

【問い合わせ先】
アオイマリーナ
〒624-0942 京都府舞鶴市青井75番地
TEL:0773-77-0387
URL:http://www.osaka-marine.co.jp/

ノマセ釣りタックル

食い込みのよい軟らかめの穂先を持ったサオが好適。手前船頭の場合は電動リールが便利だが、水深30~60mなので手巻きでも十分だ。アコウの歯はとても鋭く、ハリスは太めがおすすめ。

左:【ROD】
ターゲットや釣り方に応じてオモリ負荷30号、60号、100号と3本の穂先が選べるボートロッド「ダイワ・ハーバートリオ240」。今回は食い込みの良さを重視して30号負荷の穂先をチョイス。リーズナブルながら、中深場までの釣りに広く使える1本。
●全長:2.4m
●オモリ負荷:20~60/40~80/80~160号

【REEL】
基本性能をしっかり押さえた中型両軸受けリール「ダイワ・スーパーダイナミック-S 300C」。PE3~4号を巻いておけばほとんどの釣りに使える出番の多い1台。
●ボールベアリング:3個
●イト巻量:PE4号-270m

右:【ROD】
極先調子の穂先、先調子の穂持ち、胴調子の元ザオという3段調子を採用した「ダイワ・ファイアバロン30号-240」。変則2ピースにより負荷を元ザオに逃がす設計で、前アタリと本アタリを見分ける感度と、食い込みの良さが求められるノマセ釣りにも好適。
●全長:2.4m
●オモリ負荷:20~80号

【REEL】
最高水準の回転フリーとパワフルな巻き上げを実現した「ダイワ・スーパータナセンサーZ-250W」。デジタルカウンター仕様ながら耐水・防水設計で、ボートフィッシングにも安心。
●ボールベアリング:6個
●イト巻量:PE4号-200m

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